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39.ボス『環境実験区の生態系の頂点』

 「よう、掃除屋。どうやらこの街も少しは綺麗になったようだが、今日は何の用だ?」


 「実は新人を卒業したいと思っていまして……」


 「ふん!そうだな。まだまだ尻の青い駆け出しだが、赤襟は卒業してもいいかも知れんな」


 「え?スカーフの次は青いズボンになるんですか?」


 「ちげーよ!まだまだ蒙古班も消えないベイビーだって言ってんだ。まぁ俺の所に来たんだ環境実験区の親玉について少し教えてやろう」


 「つまり、ボスって事ですか?環境実験区だと……虫か、獣ですかね?」


 「残念はずれだ。あそこで最も幅を利かせてるのはずばり、植物だ!」


 「!!!確かに!街のすぐ横だって言うのに密林みたいで、木だらけですね」


 「ああ、その中でも獣や虫すらモノともせず、近寄ってきたものを殺して土の栄養に変える凶悪な木が一本生えていやがる」


 「つまりその木を倒せば、自分も無事新人卒業という訳ですね!それじゃ早速!」


 「ちょっと待て。そうやってすぐ焦ってろくすっぽ敵を知らないまま突っ込んでる内は赤襟卒業は無理だぜ?いいか?火星の植物は地球の物ほど生易しくはない。基本的に生命力は高く自然回復力も高い。つまり幾ら攻撃しても堂々巡りになる可能性がある。たかが環境実験区の親玉だからって舐めてかからん方がいいぞ」


 「……つまり攻撃力の低い自分が火力で押そうとしても勝てる相手じゃない?」


 「ああ、だから戦い方を工夫する必要がある。今手に入れる事の出来る手札を並べてよく計画を練る事だ。これからどんな敵に会うとも知れない。だが、ちょっと強いからって音を上げるわけにもいかないだろう。これがその一歩目さ。ベイビー」


 「分かりました!ありがとうございます!」


 そう言って、保安官舎を出て静かに計画を練るため、人気のない裏の裏道で今自分の使える手札を広げて確認する。


 つまり簡単に言えば、自動で回復し続ける敵だから、逆にこちらは自動でダメージを与え続けろって事じゃないだろうか?


 そうなると最有力候補は毒と言う事になるが、果たしてそれだけだろうか?何しろ相手は環境実験区とは言え、ボスと言う事で間違いないだろう。


 ……そう言えば、生命力も高いって言ってた?つまり、ただ回復するだけじゃない?


 生命力と言えば雑草とかか?つまり、幾ら踏まれても復活するみたいなアレだ!ただ倒しただけじゃ駄目なんだ多分!


 つまり、周辺の土壌から毒に漬けて、完全に立ち枯れさせる必要がある。


 コレは大仕事になりそうだ。蜂を一体何百……いや何千匹倒せばいいのやら?流石はボスだ要求してくる難易度が段違いじゃないか!


 コレは瓶の確保も大変だし、一回薬屋さんに行くか!


 そう思った時には足が薬屋さんに向かい、お婆ちゃんに話しかける。


 「あの、相談なんですけど」


 「うちは買い物する奴を客って呼ぶんだよ。客以外は帰りな」


 「いえ、必要なものが大量なんで相談しに来たんですが」


 「なんだいなんだい改まって!仕方ないね。何が欲しいんだい?」


 「実は今度環境実験区の木を倒しに行く事になって、大量の毒が必要なんですが、瓶を大量購入しないといけないかと思って……」


 「そういう事かい。あんたも新人脱して駆け出しになるのかい。じゃあ、相談に乗らない訳にも行かないね!まず大量の瓶は必要ないよ!」


 「え?何でですか?なんでも生命力と自然回復力が高いって聞いたんですけど?」


 「間違っちゃいない。毒が有れば自然回復力は封じれるけどね。生命力、つまり高いHPを削るのには不十分だよ」


 「生命力ってHPの事だったんですか?何かこう……何度攻撃くらっても生き返るみたいなそういうのじゃなく?」


 「生き物は死ねば死ぬんだよ。新人にヒント出しすぎるのもアレだけどね。多重で継続ダメージを与え続けるのさ。そうすりゃいくらHPの高い敵でも削りきる事が出来る。馬鹿正直に弾さえ当てればいいってのは機械と同じ、人なら考えてこそさ。地球から送られてきた連中みたいに言われるがまま弾をぶっ放すだけってのはやめときな」


 FPSって弾ぶっ放すゲームだと思ってたんだけど、そうでもないのかな?まぁ、それより今は継続ダメージを与える方法か……。


 「〔改造ボルト〕で穴を開ける?」


 「残念ながらそこまで大量の樹液が出るタイプの木じゃないよ。木と言えば、弱点が分かるだろ?」


 「〔炸裂ボルト〕で燃やす?」


 「惜しいね!それだけじゃ燃えない。〔金属粉〕を使うんだよ。<調合>をスキルにセットしておいて酸に漬ければもっと燃えやすくなるさ。あとは火種だね。あんたの手持ちの矢によく燃える物があるだろ?」


 「〔粗末な矢〕ですか?これに火をつける?」


 「そうさね。じゃあこのよく燃える木のヤニを売ってやろう。こいつを枝につければ〔粗末な火矢〕になるさ。あとは廃品回収屋で火をつける道具が欲しいって言ってみな。私の紹介なら買えるさ」


 それだけ言って〔木のヤニ〕を出してきたのでそのまま購入。


 廃品回収屋に行けば、溜息をつきながらくすんだ銀のZIPPOを出してきてくれたので、それも購入。


 とりあえず、必要そうな物は全部揃ったし、あとはやるだけだ。

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