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2.運命『必ずしも最良とは言えない』

 太陽を反射し白銀に光る巨大な塔を背に、一歩踏み出すと舗装された道路の上に赤茶けた砂が被った至って普通の道路。


 やや、近未来的とも見えなくもないが、何か東京でもどこかにありそうな雰囲気の街並み?


 少し離れた場所には高速道路か、列車の高架線が見え、4、5階建てのやや寂れたビルが立ち並んでいる。


 寂れたというのはちょっと言い過ぎかもしれないが、多分そこら中に砂塵が舞うのだろうか?ちょっと煤けて見えるのだ。


 そしてそんな赤茶けた砂塵と同じ色の癖っ毛に、何かの映画の脇役の様な地味なソバカス顔の白人少年?青年?が自分のアバター。


 海外産のゲームの所為だろうか、年齢相応の顔にするとAIがある程度作ってくれるのだが、ちょっと老ける気がする。


 服装も近未来的な印象の世界観と全くマッチしないボロ目のカーキ色したシャツと濃いベージュのカーゴパンツにややゴツ目の革ベルトと皮ブーツって感じ、田舎から出てきた迷子みたいだと我ながら思ってしまった。


 結局自分がやる事にしたのは『MF』だ。


 陰湿な幼馴染の後を追う様でちょっと嫌だったのだが、やはり銃というのに心くすぐられてしまった。


 そして、ここからチュートリアルを受けていくのだが、右手にあるのが射撃場で、試撃ちをしながら銃のレクチャーを受けられる。


 そして左手にあるのが銃砲店で、ここで好きな銃を買う事が可能なのだが、同時に銃の説明なんかも受けられるとか。


 自分のアバターを作り終えて、軽く歩いたり走ったりと謎の白いだけの空間でやらされてから、その二つとちょっと基本だけ説明を受けたのだが、随分とシンプルな説明にちょっと拍子抜けしてしまった。


 そして謎空間から出た場所がここで、丁度誰もいなかったし、とにかく移動しよう。


 一応誰もが最初に来る本当に初心者用の街なので、街中であれば一切のPKは出来ないし、ハラスメント系も厳しく取り締まられるとの事なので、慎重に行動する事を心がける。


 ん~まずはどんな銃があるのか説明を聞いてから、試撃ちして自分に合った最初の銃を選ぼうかな?


 行ったり来たりになっちゃうけど、やっぱり最初が肝心だと思うし、どんな銃を持って歩きたいかって、見てみないとイメージ湧かないもんな。


 と言う事で、左手のビルの扉の前に立つと自動で開き、そこは思ったより明るくちょっと驚いてしまった。


 しかし、直後、


 ピンコーン!


 と言う電子音にもっと驚いた。


 「凄いクリアに音が聞こえる……」


 中に一歩踏み込むと、客は全然いないが、スーッとタイヤの音共に1m位の接客ロボが近づいてきた。


 「イラッシャイマセ 当店デハ 地球ヨリ オ越シニ ナラレタバカリ ノ オ客様デモ オ買イ求メ イタダケルヨウ 格安ノ 中古品 型落品 等 取リ扱ッテオリマス」


 うん、中古品と型落ち品って言い切るところが凄い。


 とは言え、自分が持ってるのは最初から持っている500クレジットだけだし、慎重に銃を選びたい所だ。


 まぁ、その500クレジットがどれくらいの価値かは分らないけど、初期費用だし大した事無いだろう。


 そしてその金額の確認だが、どちらの手でも良いから平を上に向けて手にボールを持ったつもりで、3クリックすると、指ごとにショートカットが割り振られていて、とりあえず初期状態だと親指にステータス及び所持金なんかが登録され、手の上の空中にA4位のPad画面が表示されるようになっている。


 ちなみに他人からは覗けないらしいが、明らかに手を上にして動かしていると、その画面を見ているとばれて、不意を突かれるかもしれないとの事、見るのは街中でみたいな事をちょっと説明された気がする。


 説明されて間もないのに、既にうろ覚えって事は、やっぱり最初の説明なんてのはシンプルくらいで良いのかもしれない。


 さて、奥にはエスカレーターもあるし、もしかしたら各階毎に違う種類の銃があるのかもしれないと、ちょっと両側をチラチラみると、入ってきた階は明らかに拳銃の階だと分る。


 撃ち合いの世界で、最初から拳銃なんてそんな尖った事する人は早々いないだろうと、さっさと上の階に行こうとした時、光って見えたとでも言うのだろうか?


 まるで100円セールの籠の様な雑然とした、銃の取り扱いとしては最悪な状態の中に、一丁の小さい拳銃が目に飛び込んできた。


 黒々と艶めく回転式拳銃、所謂リボルバーってやつだろう。アニメとかで何かやたら銃の得意なキャラが好きな銃だ。


 木製のグリップには小さなメダルが嵌められ、銃身は短く、撃鉄も何か小さくて細くて頼りなさそうなのに、触れてみると妙にしっくり来る。


 「コルト ディテクティブ スペシャル ガ オ気ニ召シマシタカ ?」


 「い、いやあの……最初の銃だし……でも……」


 一度持ったら、まるで手に貼り付いたように剥がれなくなった。いや自分が握りこんでるのは分ってるけど、コレを逃したらもう出会えないかもしれないと言う不安が、胸に不快感を感じさせる。


 気がついた時には、店の外。


 「買っちゃった……」


 .38弾とか言う専用の弾もサービスしてもらい、最低限このディテクティブスペシャルの扱い方だけ聞いて、試射場に向う。

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