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23.目標『ガンスミスになると決めたわけじゃない』

 「さってと、さっきの子達の件も片付いたし、ラビの話を聞くとしようか?俺からも聞きたい事はあるが、先に用件を済まそう」


 「あっ!それがですね。自分も……」


 「よう!ラビ!その感じだと何とか上手くやってみるみたいだな」


 話し始めようとすると、店の奥から気の強そうな逆立つ赤毛のジョンさんが現れた。


 「おい!ジョン!さっき見て見ぬふりしたろ!ラビが来なかったら面倒な事になってたかもしれないぜ」


 「何言ってんだよ。こんな新人の街で問題も何もないだろ?俺はキンキン声で騒がれるのが好きじゃないんだよ。それよりラビ、どんな具合だ?かなり慣れてきたんだろ?このゲーム」


 「あっはい!それで自分も武器を改造したいなと思いまして」


 ジョンさんを押し退けて今度はコットさんが興味心身で聞いてくる。


 「ほう!そうか!それで、何の武器を使う事に決めたんだ?」


 「え?あのクロスボウですけど?」


 「何でだよ?いつまでそんなネタ武器使ってるんだよ!上手くいってるんだろ?そろそろもう少しいい武器に手を出したっていいじゃねぇの!……そうだ!ディテクティブスペシャルはどうしたんだよ!」


 「え?あのいつも持ち歩いてますけど?」


 「持ち歩くじゃなくて、そいつがお前の運命の銃なんだろ?ガンガン撃ってんじゃないの?」


 「い、いえ普段はクロスボウです……」


 「ぬぁぁぁぁぁんでだよ!幾らなんでも攻撃力低すぎるし、あっという間に頭打ちになるぞ?」


 「まぁまぁ、落ち着けよコット。ディテクティブスペシャルってのは撃ち合う銃じゃないんだよ。全てが終わって、幕引きするための銃なのさ。そういう事だろ?」


 何かジョンさんがそれっぽいことを言っているが、何のことかは全くよく分らない。


 多分そうじゃないのだろうが、折角コットさんを納得させようとしてくれるのに邪魔するわけにも行かないし、どうしようか?


 「ま、まぁ銃の美学ってのはそれぞれだからな。確かにハンドガンってのは有効射程も短いし、小型なら尚の事だ。撃ち合いには向いてないか」


 「ユウコウシャテイ?」


 「ああ、まだその辺は理解してなかったか。一応コレはゲームだからな銃によって役割は違えど、強すぎたり弱すぎたりはおかしいだろ?ハンドガンは軽くて携帯性がいいし、STRの要求も少ない代わりに近距離じゃないとダメージがでない。俺はスキルやクラスで底上げして20m位は有るが、それより遠くなるとダメージがグッと下がる。ディテクティブスペシャルをノーマルで使ってれば3m位かもな。現実だったら当然もっと遠くで撃っても人は死ぬから撃つなよ?はは!ジョークだ!日本で銃撃つ訳ないじゃん!」


 ジョンさんの軽妙なジョークは、いまいち伝わらなかったが、つまり相当近い距離で当てないとダメージにならないって事か。


 「サブマシンガンなら有効射程20mは標準だが、連射出来る分単発の威力は落ちる。本来ハンドガンと同じ弾使ってれば威力は同じ筈なんだが、単発と連射じゃダメージ量が変わるのがゲームって事だな。ちなみにネットや何かで調べても現実の値はゲームには何の意味もないからな。そもそも200m有効射程だからって、スコープも無しに当る訳ないんだからさ」


 「あのークロスボウの有効射程っていくつなんですか?」


 「実は無い。ダメージ量が一定で低くて、当てるには山なりの軌道を使いこなさなきゃいけない事から、当りさえすればいい武器になってる」


 「それなら、もう少しクロスボウを使ってたいんですけど、駄目ですか?」


 「そりゃ、駄目って事はないけどよ。熟練度とかどうすんだ?クロスボウばかりに振ってたら、他の武器を強く出来ないだろ?しかも罠まで使ってるって言ってたよな?」


 「はい……罠で足止めしてクロスボウで倒してます」


 「うーん、大会や何かで拠点防御に使う奴は見かけるけど、それ専門に育ててるやつって少ないよな?」


 「あ?ああ……確かにサブウエポンっていうか、戦略の幅を広げる為の物で、メインにはならんけど、さっき裏で話聞いてた限りじゃ、自分で素材集めてるんだろ?」


 「あ!やっぱり聞いてやがった!だったらお前も……」


 「それはいいからよ!素材集めてたのって、ラビ自身でディテクティブスペシャルを改造したいって事じゃねぇの?」


 「あっ!はい!そうです」


 何か適当な事を言う人だと思ってたら、何だかんだジョンさんの方が自分のやりたい事を分ってくれていたようだ。


 「そうなのか!そっか!ラビはガンスミス志望だったのか!なんだよ~早く言えよ~!ガンスミスってのはこのゲームじゃ数少ないし、希少だからな!引っ張りだこだぜ!よし!俺がみっちり……」


 「いえ、あの……自分の分だけでいいんですけど?」


 「くっくっくつまり、あくまで自給自足ベースで攻略を進めるって訳か。正にフロンティアだな。結構大変だろうけど、マジでやる気か?」


 「え?大変なんですか?……でもやります!」


 「……ガンスミスじゃないのか~……でもそうだな。クロスボウ熟練度なんて上げてるんだし、変わり者連中には希望の光になるかも知れんし、それでも俺は手伝うよ。まず<製造>を取得して、更に〔基礎工作台〕を作るところからだな」


 早速コットさんによる改造のレクチャーが始まった。

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