20.技能『まだまだやれる道はある』
試射場に向う道すがらステータスを確認すると確かに熟練度と言うタブが存在している。
軽く目を通すと確かにクロスボウと思われる簡略化した絵の横のゲージが一番長い。
ハンドガンと思える絵もアクティブ化してると思われるがゲージは殆ど全く無いに等しいか。
しかしこの熟練度武器にのみ設定されているわけではないらしく、皿から湯気が出てるマークは多分料理?試験管から泡が飛んでいるようなのは毒か、薬だろう。
トゲトゲした丸はなんだろうか?……触れてみたらちゃんと説明が出たコレは罠のマークだ。
他にも色んなアイコンがあって全部見てると日が暮れそう……、ちょっと多すぎて訳分んないと思いつつ、一旦閉じる。
とりあえず今はメインウエポンのクロスボウだろう!丁度試射場に着いたので、アビリティについて聞いてみよう。
「すみません」
「何を謝る?何かやらかしたのか?」
「いえ、あの……アビリティを使えるようにしたいんですが?」
「なる程な。ここでは武器に関する基本的なアビリティの取得が可能だ。そのクロスボウに関するアビリティでいいのか?」
「はい!お願いします」
「ふむ、まずSTRが10以上有る場合に取得できるのが……」
「無いです」
「それならば、AGIが10以上有る場合に取得可能なのがレン……」
「無いです。SNSとDEXだけならどちらも15以上あります」
「なる程な。ならばDEX10以上で『精密射撃』SNS10以上で『反応射撃』と選べる。更にDEX15SNS15以上なら『弱点射撃』が開放されるぞ。ついでに<感知>スキルレベルが……」
「スキル熟練度に関しては<製作>と<聞耳>を上げてますけど……」
「そうなのか?<精密>と『精密射撃』を重ね掛けする事で一発だけ『必中』効果を発生させる事もできるぞ?更にだ<感知>『反応射撃』で……」
「その辺は取得してなかったり、育てて無かったりなんですけど、やっぱりレベル上げて育てた方がいいですか?」
「いや、全ては自由だ。一つ油断すれば死ぬこの星で、生き抜くにはまず絶対的な意思が必要だろう。それは強制されて生まれるものじゃない。おまえ自身がどう生きたいか?それこそが生きる原動力となるんだ」
「そうですか、それじゃあ<聞耳>か<製作>に関するアビリティってありますか?」
「どちらもここでは習得できないアビリティだな。ここ以外にもアビリティを習得できる施設や機会はある。焦らず多くのこの星の開拓者達に声を掛けるのだな」
「分りましたありがとうございます。一応今西の工場のドローンを倒せなくて困ってるんですけど」
「ふむ、それなら『弱点射撃』を薦めるぞ。クロスボウの攻撃力でドローンの装甲を抜くのは難しかろう。本来なら徹甲弾や貫通弾を使う所だが、もしクロスボウを使い続けるなら強酸系で防御力を下げるか高電圧系で回路を焼ききるのがいいだろう」
……また何か新しいのが出てきたぞ?
「あの、強酸とか高電圧ってどうやって手に入るものですか?」
「まず強酸は比較的近場だと森の蟻を倒すと手に入るだろう。高電圧は<製造>スキルを使用し、ドローン系のパーツから生産可能だ」
「なるほど、そもそもまだ肝心のドローンを倒せてない自分には少し先の話ですね」
「しかし、未来を見るという事も時として重要だ。勿論一番大事なのは今だが、この先なにが出来るのか、何をするのか?それはとても重要なことだ。この星も一枚岩ではない。多くの人の利益や思惑がぶつかり合っている。そんな中確固たる自分がいなければ苦労する事になるぞ」
「そ、そうですか。よく考えてみます。ところで『弱点射撃』についてもう少し聞いてもいいですか?」
「ああ勿論だ。まず現状お前がセット出来るアビリティは二つまでだ。『弱点射撃」はセットしていればオートで発動するが、矢にせよ弾にせよ一発分のダメージを1.2倍、確率で2倍に引き上げる。ただし、クールタイムが初期は10秒ある。つまり連射は出来ん。デメリットは強いて言うなら手加減したい時にも発動してしまう事か」
「なる程、単発用のアビリティって感じなんですね。でもDEXやSNSを上げてる人ならそりゃ単発重視になりそうだし、そう変なアビリティでもなさそうですね」
「アビリティに変も変じゃないもない。全ては使い方次第だ」
「そうですね!分りました。『弱点射撃』取得します!」
「お代は1000クレジットだが、大丈夫か?」
「はい、それくらいなら十分持ってます」
「……ドローンを倒せないのにか?」
「はい、自給自足なので殆ど支出がないですから」
「そうか、じゃあ、無事に生き残る事を祈ってるぞ」
「ありがとうございます!それじゃ、森に行ってきます!」
「工場じゃなかったのか?」
「はい、森で棘の実を手に入れてからと思ってますけど?」
「それなら、蟻も出るから気をつけろ。ドローンほどじゃないが、固い装甲を持っている」
「……虫なら毒餌は効きますか?」
「十分効くだろう」
「じゃあ、毒でついでに狩ってきます!」
意気揚々と試射場を出て、まず向うはすっかり慣れた森、その奥だ。