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185.『何か怖い姉さんと二人きり』タツ

 影丸とラビはそそくさという表現がぴったりの様子で、どこかへと立ち去ってしまった。


 自分は敵が来たら狙撃しなきゃいけないし、当然ながらここから動けない。


 生産職の牡丹さんもそこいらをうろつく訳にはいかないのだろうが、何とも気まずい。


 「ねぇ?タツはさ~何が目的でこのイベントに参加したんだい?」


 気まずいな~と思ってたら向こうから話を振ってくれた。もしかしたらいい人なのか?


 「俺は一応、賞品目当てですけど」


 「ふ~ん?何が欲しいんだい?」


 「対物ライフルです」


 「……物好きだね……」


 気まず!なんか凄い気を使われてる気がするんだが、対物ライフルって駄目なのか?


 賞品を見た時に運命を感じたと思ったのだが、勘違いだった?


 「えっと、駄目ですか?」


 「いや、駄目なんて事は無いよ。好きな武器使ったらいいじゃん。ただ珍しいなって思っただけさ」


 何というか奥歯にものの詰まった言い方だ。


 「俺も偶々見かけてこれだって思っただけなんで、対物ライフルが良くない理由があったら教えてもらってもいいっすか?」


 「う~ん……まず対物ライフルの利点なんだけど、有効射程が抜群に長い」


 「狙撃手としては助かりますね」


 「長すぎて、その狙撃距離を有効利用できないっていう欠点もあるね」


 「そうなんですか?」


 「うん、だってさ~今そのライフルでも視認が難しい距離当てられるじゃない?それよりも長いんだよ?そもそも敵を見つけるのも大変なら、そんなだだっ広いフィールドで敵に当てて、ドロップはどうやって拾うんだい?」


 「確かに……一方的に撃つだけの武器ですね」


 「うん、まぁこういうイベントとか大会で、倒せばそれでいいって言うなら、使えない訳じゃないんだろうけど、あまり活躍の場が見えないね」


 「なるほど、射程距離が長すぎても意味がないか」


 「後は、遮蔽物に使ってるオブジェクトの貫通能力も利点だね」


 「え!いいじゃないですか!壁とか木の向こう側にいる相手に攻撃できるとか!」


 「見えない相手にどうやって当てんのさ」


 「そうりゃそうか」


 「一番の問題は必要なステータスが高すぎて、かなり偏ったビルドになるって事だろうね」


 「あ~狙撃銃の時点でかなりのSTRが必要になりますもんね」


 「そそ、威力の高い武器は反動も大きく設定されてるし、有効射程の長い武器は重量を大きく設定されてる。しかも超長距離を当てるとなればDEXも相当必要だし、仮に動いてる乗り物に当てようってんならSNSも相当さ。よっぽど思い入れが無きゃ使える代物じゃないね」


 「そっか……やっぱり諦めた方がいいのか……」


 「そもそも何で、普通の狙撃銃じゃ駄目なんだい?」


 「え?ダメって訳じゃないっすけど、今の所普通の狙撃手だし、もっと上手い奴がクランに入ったらどうしようかなって」


 「あ~特徴みたいな?自分が必要とされる場面を作る為に使い手の少ない武器を使おうと思ったんだ?」


 「そんなとこっす」


 「普通でいいと思うけどね~?思い入れがあるなら特殊な武器使ってもいいけども、貢献したいだけなら普通が一番だよ。普通にスキルを磨いた奴が仲間でいてくれる方が周りだって安心して任せられるだろ」


 「確かに焦る必要ないとは言われるんですよね。そもそも狙撃手自体なり手が少ないって」


 「う~ん……確かに狙撃手は少ないけど、癖の強いのも多いからねぇ」


 「そうなんすか?」


 「何だい、知らないのかい?」


 「あまり他の狙撃手の事は教えてもらってなくて」


 「調べたりは?」


 「ネットの情報だと規制が……」


 「ああ、喋り方とかで思ったけど、若いのか。じゃあ教えてやらないとね~」


 「お願いします」


 「有名な所だと、やっぱりクラン大円のジェミニだね。大円は分かるだろ?」


 「所属してるんで」


 「所属してて幹部の一人を知らないってことあるんだ?スポッターと狙撃手の二人組で、かなり攻撃的なスタイルで有名だよ」


 「攻撃的?」


 「そそ、普通狙撃手ってAGIに振れない分、逃げ足が遅いじゃない?だから、攻撃するタイミングや距離が大事なんだけど、ジェミニはガンガン殺りにいくのよ」


 「一人倒しても、仲間が押し寄せてくるんじゃ?」


 「スポッターの方が、近接戦闘にかなり強くて返り討ちにするのさ」


 「そりゃあ凄い。近接戦闘が強い仲間がいればって感じか」


 「後は、ゴルゴン三姉妹のエウリュアレとか?三姉妹揃ってても強いし、単独でも強い。複雑な地形が得意で、普通の狙撃手みたいに見通しのいい場所なんて選ばず、森の中に潜伏してどこからともなく刈り取るっていうこれまたセオリー無視」


 「ゴルゴン三姉妹は先輩がやられたって話は聞いてたけど、そんな凄いんだ」


 「ああ、アタシは末っ子のメドゥーサと付き合いがあるから偶に話すけど、普段はそれこそ全然すごい感じしないね~」


 「あっ!そうなんすか?」


 「うん、三姉妹みんな癖が強くて面白いんだけどさ……」


 何か怖そうな姉さんだと思ったが、思ったより話が弾む。

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