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180.忍者『自分はNINJAだけども?』

 「いや、ただのかんしゃく玉で喜び過ぎじゃない?って言うか、流石にそんなおもちゃと調理道具一式交換なんて出来ないよ」


 「え?感謝玉?名前までいい!」


 「ああ、ダメなやつだコレ」


 「これいくつ位くれるんですか?」


 「あるだけ持っていきなよ。でもそんなもので喜ぶんじゃ後は何で調整するか……C4とかどうだい?」


 「しーふぉー?」


 「駄目だね。ごめんね。出来るだけ単純なやつだと……ああ……このパイナップルなんてどうだい?」


 「フルーツも売ってるんですか?」


 「いや、いわゆるMkⅡ手榴弾の改造品なんだけど」


 「ああ、投げるタイプの爆弾ですね」


 「そうそう、時限信管をいじってあるから、ここのグリップあるじゃない?これが外れた瞬間爆発するから、手投げには向かないんだけど」


 「……えっと……糸かなんか巻いておいて、糸が切れた瞬間に爆発する?」


 「そう!そういう感じ!せっかくだから糸もつけようか」


 「助かります!これは捗るな~!なんか粘液とかも無いですか?」


 「そういう薬系はちょっと苦手だねぇ……後はどうするか……本当はお金で調整するのが簡単なんだけど、死んだ時に落っことしちゃって手持ちが……」


 「え?じゃあ、生き返ったんですか?」


 「まあね。相方が運よくと言うか、図々しくというか、Killメダルを貰って来てくれたおかげでね」


 「それは、良かったですね」


 「良かったのかどうなのか……とりあえず礼だけは言わなきゃならないし、その恩人とやらを探してきなとは言ったんだけど、どこまで行ったんだか」


 何となく空気が停滞したと思いきや、唐突に聞き慣れた声が掛かる。


 「主殿!」


 「あっかげまるさん」

 「あんたどこ行ってたんだい!」


 ほぼ同時に反応してしまったが、目を見合わせ、何となく察してしまった。


 「かげまるさんの相方だったんですね」


 「まぁ、ちょっと遠めの血縁関係でね。って言うかあんたが恩人か……ほとんどろくに何もしてないのにKillメダル30枚もくれたっていう」


 「いや、あの……組んでた人に裏切られたんで、監視とかしてもらいましたよ」


 「その裏切り者とやらは完全に諦めてて随分と大人しかったそうじゃないか」


 「そう、なんですかね?」


 「はぁ……こりゃ流石にちゃんとした取引しなきゃね……仕方ないアレ出しな!」


 「いや、でもアレはイベント後に売ってお金に換えるのでは無かったのか?」


 「いいんだよ!レア装備って言ったって、ほぼ使い手なんていないんだから、珍しい物好きに売れるかどうかずっと取引所の肥やしにしておくなら、恩人にやっちまった方がいいだろ」


 「いや、レア物なんて別に……」


 そう言いかける自分に差し出されたのは黒い皮で出来た指ぬきのグローブ。


 「その腰につけたナイフは投擲用だろ?このグローブはさ防御力は皆無だけど一応<投擲>スキル1が付いてるんだよ」


 「装備品にスキルが付いてる?」


 「そう!初心者みたいだし知らないかもしれないけど、装備には時々スキルが付いてるものがあるのさ。このゲームはどんだけベテランだろうが強かろうがセットできるのはPスキルが5個Aスキルが5個と決まってる訳だけど、装備でスキルを追加できるのさ。本当は邪魔にならないアクセサリーなんかの方がよりレア度は高いんだけどね」


 「そんな凄そうな物、貰っても困ります」


 「いいからいいから!世話になったお礼とレアな調理器具を出してもらったんだから、こっちも相応のもの出さなきゃ釣り合わないだろ」


 そう言って押し付けてくる指ぬきグローブはなんか、見れば見るほどいい物の様な気がしてきた。


 ディテクティブスペシャルの時の様に光ってこそ見えないが、受け取った瞬間手に吸い付くような感触が、まるで自分の手の為にあるグローブの様にすら思えてくる。


 「ありがとうございます」


 「いいって!それよりこいつ何か変な事言ってなかったかい?」


 「私は変な事なんか言いません」


 「言ってないですね?」


 「そもそも他人を主殿って呼ぶ時点で変なんだよ」


 「雇い主を主って呼ぶのは当然でしょう!」


 「そう言えば主って呼ばれてました。かげまるさん変な事言ってます」


 「ごめんね!こいつ結構ちゃんと日本語喋れてるから気が付かないかもしれないけど、外国人でさ……しかも忍者にかぶれてるから、偶に変な事言うんだわ」


 「かぶれてません!ただ日本の長い戦争の歴史の中で、遠い昔から情報を大事にしたり山林の様な特殊な地形での戦闘を得意とすることで、武将に雇われたりしてきた忍と言うものにとても興味があるだけです!」


 「にんじゃ……」


 「そうなのよ。そんなに忍法とか使いたいならファンタジーゲームでもやればいいのにさ。なぜかこのゲームの日本サーバー限定職になりたいらしくて困ってるんだよね」


 「忍者は魔法使いじゃありません!忍法で氷とか火とか生み出したら超能力者じゃないですか!」


 「あの、限定職の忍者ってステータス画面の名前の下にあるクラスみたいな所がNINJAになってるって話ですか?」


 「そうだけど、心当たりあるの?結構サイトとか探してるんだけど、実際になったって人見ないのよね」


 「それはそうです!忍がその正体を知られる時は死ぬ時です!いや!死ぬ時ですら人知れず死体も残さず、ただ消えゆくのです。その儚さこそ日本の美と言うものじゃないでしょうか?」


 「いや、自分NINJAですけど?」

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