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174.交渉『って何すればいいの?』

 さっきから皆そういうノリみたいだから言ってみたけど、実際何すればいいのかは全然分かんない。


 「こりゃダメかな~分かった僕も交渉に応じるよ」


 「おい!P.W.!」


 あっさりと銃を提げて戦意を見せなくなったP.W.とまだ銃を構えているG.R.の反応が対照的過ぎて、今現状の自分の行動があってるのか、さっぱり分かんない。


 「G.R.ぅぅぅ……スリップダメージの量を見なよ?完全に僕たち詰んでるんだよ?」


 G.R.がもぞもぞと動き、そしてそっと銃を下す。


 「分かった俺も交渉に応じる」


 うん、どうしよう。


 交渉に応じるとは言ってるけども、別に自分の指示に従うとは言ってないもんな~ここからうまく話を運ばないといけないんだろうけど、ノーアイデア。


 とはいえ、殺しちゃったら交渉も何もないし、とりあえず瓶詰の解毒剤をタツの足元に放り投げる。


 「タツが皆に配って」


 自分がそう言うと皆が自発的に武器をホルスターや、背中に回して両手を空けて待つ。


 タツが瓶を拾い、中に入ったタブレットを一粒づつ渡して回ると、全員口に放り込み毒状態を治していく。


 「G.R.やめな!」


 空気が落ち着いたと思いきや、またもや冷え切ったP.W.の声が響き渡る。


 「何でだ?スリップダメージは無くなったし、ここからやりあえばいいだろ?」


 「違う。さっきも言ったけど現時点で僕たちは皆、詰んでるんだよ?ラビのナイフはあと何本?」


 「……一本だな」


 確かに、P.W.が銃を向けて来た時に反射で投げた分と、タツの上に落ちてきた人に投げた分、それにさっき毒瓶を割るのに投げた分で3本消費してるから、あと一本で間違いない。


 「つまりさっきのが最後通告って訳、今僕たち全員の生殺与奪は全部ラビが握ってる」


 「どういう事だ?」


 どういう事だろう?せいさつよだつってそもそも何?


 「俺も分かんねーわ」


 「私が思うに何をしたところで、先ほどの毒を撒く攻撃をされればこの場の4人は死に戻り、その時落とすKillメダルを集めて本選前にそちらの仲間一人だけ生き返らせればいいと、そういう事だと思う」


 ……タツの上に落ちてきた人は、何か凄く親切って言うかなんていうか、今のでよく分かった。


 どうやらさっきまでの会話で〔白金貨〕があれば予選と本選の間で仲間を生き返らせることができるっぽい。


 って事はつまり今は予選だったって訳だ。


 そして後は言葉通り、この場にいる全員を殺して〔白金貨〕を回収して本選まで生き延びれば、タツだけ生き返らせて、万事問題なしって事じゃないだろうか?


 それがいけるなら、それでもありって気がしてきた。


 「そういう事!特にラビは持久戦に関して多分このイベントに参加してるプレイヤーの中でも頭一つ抜けてるでしょ?ただ隠れてれば勝手に周りが殺しあうんだから、予選突破はそう難しくないと思うよ」


 「くっ……分かった。もう、銃には触れないから話を進めてくれ」


 それだけ言って、その場に胡坐をかいて座り込み、両手を膝に当てるG.R.


 「どうするんだ?ラビ?」


 「……」


 どうするって言われてもどうしたらいいか分かんないんだよね。


 「私達を生かしたというなら、まだ利用価値があると見てるのだろ?それに加えてKillメダルを貰えるなら十分に働くつもりだが?」


 タツの上に落ちてきた人は、交渉を持ち掛けてきただけあって、交渉と言う物を分かってるんだろうけど、肝心の自分が分かってないんだってば。


 「正直な所、僕とG.R.はただの荷物持ちだよね。ラビが拾った色んなガラクタって言うか、素材?これの運搬係としてギリギリ生かされてるだけって事じゃない?」


 「何でもいい。まずは予選突破だ。そこまではもうラビには逆らわん」


 なぜか投げやりのG.R.だけど、それが本当かどうなのかもよく分かんない。


 「まっ、確かに荷物は多いけど、荷物持ちとして生かしておいて、寝首をかかれたなんて事があっても、もうどうにもならないぜ?」


 実にタツらしい陰湿な物言いだけども、的は射ている気がしなくもない。


 「じゃあ、とりあえずタツの上に落ちてきた人の名前は?」


 「KAGEMARUだ。暗殺系クラスを持っている」


 「ああ、道理で気が付かない訳だ」


 「急に現れたもんな」


 「え?暗殺?」


 なんか物騒だけど、かげまるさんって言うらしい。まぁこのゲームが全体的に物騒って言うか、殺しあうのが当たり前だし、別にいいのか。


 「じゃあ、まずはP.W.に預けてある〔白金貨〕10枚をかげまるさんに先払いしようか。後は予選通過後って事で」


 「十分だ。それで私は何をしたらいい」


 「まぁ、順当に考えて僕たちの監視だよね」


 「ラビの荷物持ちとしてちゃんと働かなければ殺られるってか?少なくともそこのKAGEMARUが、一人分は持つんだろうしな」


 「じゃあ、二人の監視でお願いします」


 そう言いながら、木陰から姿を出す。


 またG.R.が動き出すんじゃないかと思いきや、大人しいもので、その場に座り込んだままだし、P.W.も両手をアメリカ人みたく横に広げて肩をすくめ、やられたよ。みたいな顔をしているだけだ。


 「んで、これからどうするよ?」


 「どうするって、自分に聞かれても……」


 「Killメダル30枚でやとわれた身、予選通過までは貴方が主だ」


 このかげまるさんは一体何言ってるんだろうか?

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