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169.『幼馴染の殺意が高すぎる』タツ

 銃声が鳴り止んで木陰から顔を出すと突っ込んで行った二人が、敵のドロップを漁っている所だった。


 どうやら生き残ったという安堵と、ナイフだけ持って突っ込んで行って平然としている幼馴染への相変わらず訳の分からない物を見る時の感情がない交ぜになる。


 そもそも海辺で探してた時からそうだが、ナイフしか持ってないのにアグレッシブすぎやしないか?


 まだ序盤で周りもさして装備も揃ってないだろうと踏んでの事だとは思うが、それにしても思い切りが良すぎるというか、殺せると言う事に確信があり過ぎるというか……。


 そんな事を考えている内に二人が戻ってきて、再び顔を突き合わせるが、今度は狙われないように出来るだけ目立たない場所で、姿勢を低くして話始める。


 「戦利品はね~……ライフルと……金貨10枚と、白いコインが20枚って感じ」


 「ライフルはM1500か?誰が持つ?」


 「G.R.が持たないなら俺が持つけど、どうする?」


 本当はこの状況で飛びついてでも欲しい所だが、流石にはばかられるので、ちょっと遠慮がちに答えた。


 「……」


 相変わらず会話に参加しない奴だなと、幼馴染を振り返れば既に作業台を出して自分の世界に没頭してるし。


 「じゃあ、今回はタツだね。G.R.はショットガンが得意なんだよね~」


 「そうだな。狙撃銃使いならボルトアクションライフルでもいけるんじゃないか?それに銃を持つのが俺達ばっかりでもバランス悪いだろ」


 「そういう事なら遠慮なく俺が使わせてもらうよ」


 そう言って受け取ったM1500はシンプルな形状で無駄のないライフルそのもの。


 弾倉も箱型ではなく、内蔵型っぽい。安全装置も理解できたところで、弾を込める。


 装弾数は5発と多くは無いが狙撃手としては十分か?


 「どう?いけそう?」


 P.W.の問いにうなずく。


 「さて、準備が整ったところで、これからの方針だが……」


 「一旦闇商人ってのを見つけた方がいいんだろ?いくらかイベント専用のコインみたいなのも見つかったんだしさ」


 「確かに武器もまだ揃ってないですね」


 いつの間にやら幼馴染の方も準備できていたらしい。


 闇商人を探しに行くっていうのは、全員一致で妥当な意見だと思ったのか、とりあえずその場を立って、森の奥へと歩を進める。


 理由は簡単で遮蔽物が多いから、何にもない所を歩くよりマシだろうとそれだけだ。


 ガサッ!


 唐突な音に全員で警戒すると、茂みから出てきたのはどうやって茂みから出られたのか疑うサイズの蜘蛛だった。


 ここはオーストラリアか何かかよ!と言いたくなるような蜘蛛は足まで入れると学校の机位の大きさで、細部が気持ち悪い。


 P.W.があからさまに引いた雰囲気なのは虫が苦手だからか?まぁ苦手じゃなくともこのゲームの虫はとにかくでかくて、見えなくていいものまで見えちまうから、そりゃ誰でも嫌か。


 とはいえ、銃を持ってるのは自分とP.W.だけだしやるしかないかと、銃を構えた瞬間、蜘蛛が飛びかかてきた。


 思わず、その場にしゃがみ込むと、運よく頭上を抜けて背後に降り立った。


 すぐさま振り向くと、蜘蛛がぐらついた?


 よく見ると、ナイフが一本刺さっていて、それで動きが止まったみたいだ。


 そのまま近づいてきた幼馴染が、あっさりと頭にナイフをぶっ刺してとどめを刺してしまう。


 蜘蛛のドロップを確認して、なぜかニヤッと笑う横顔がちょっと不気味に見える。


 「普通の虫もいるんだね」


 「そうだな。素材回収して自活しながらの戦闘だし、いないとそれはそれで不便なプレイヤーもいるんだろ」


 「蜘蛛みたいなキモいのは嫌だな」


 「え?なんで?毒採れるのに。しかも多分通常のフィールドより一回に手に入る素材の量も多いみたいだし、凄く助かる」


 そんな事を言いながらさっそく作業台で、毒を瓶詰してるようだ。


 あっという間に作って、ホクホク顔でしまってるが、そんなに嬉しいか?


 ダーンンン……


 さて、再出発と思ったところで、今度は銃声が聞こえてすぐさまその場に伏せる。


 お互い目配せしながら、そう遠くないと確認しあうと、既に幼馴染が匍匐である方向に向かっている。


 何か確信があるのかと皆でついていけば、あるところで地面が途切れ、そこからは3~5m位の崖状になっていてちょうど見下ろせるようになっていた。


 そして、眼下では既に戦闘が終了しているのか、一人のプレイヤーの死体を漁っている二人のプレイヤーが見えた。


 どうするかと、自分とG.R.が目配せした時にはもう遅かったようだ。


 うちのアホ幼馴染がすでにさっき作ったばかりの毒瓶を二人に投げつけ、見事命中。


 当然警戒されて、慌てて周囲を確認する二人に対して、こちらはただた地に伏せ息を殺すばかり。


 少しすると幼馴染が勝手に動き出すので、止めようとするが、さっさと歩きだすのでやむなく崖下を見るが、既に人の姿は無い。


 しかし、状況が状況だけに声も出せずに、幼馴染についていくと、崖が少し低くなっている所から飛び降り、そのまま一直線で向かった先には二つの死体。


 自然な流れでドロップ漁り始めるんだけど……なんかもう、人殺すの手慣れ過ぎてないか?

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