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162.素材『アルバー君は結構お金持ち』

 「殺人事件の後はいつも世界がちょっとだけ色褪せて見えるのは何でなんだろうな?」


 「特に見えた事ないので分かりませんけども」


 「そう言わず、付き合って上げましょうよ。ずっと取り逃がしてた怪盗を捕まえられたんだから、誰だって嬉しくなりますって」


 保安官舎の帰り、コットさんとアルバー君が報酬受け取りがてら待っていて、そのまま連れ立って歩いているのだが、コットさんはずっとこんな感じ。


 「まぁ、最後を決めたのはラビだし、今回の所は譲ってやるか!いや~二人みたいな物分かりが良くて、頭も回る仲間を持てたのは、やはり天の思し召しなんだろうな~探偵としてもう一段上に行けって事なんだろう!」


 「分かりませんけど、でもあの事件って別に推理も何もなかったと思うんですが?」


 「え?!あんなに完璧に犯人を上げて、事件の真相をすべて貫いてたっていうのに……これがプロフェッショナル……」


 何やらアルバー君もちょっと様子が変かもしれない。


 「んで?これからどうするんだ?」


 「どうもこうもないですけど……装備一新とはいかないまでも、グレードアップは済ませてるし、それ用の弾も手に入りましたし……とりあえず消費した粘液類でも採りに海でも行こうかなって感じです」


 「……あの!ちょっと伺ったんですけど、ラビさんって素材屋さんって呼ばれてるんですよね?」


 「そうだぞ!可愛い女子二人組……とその師匠の女の子だったか?ラビ達と近いレベル帯の女の子にそう呼ばれてるな」


 「そうですね。何か欲しい素材でもありますか?」


 「もし、あればなんですけど~……ドローンからドロップする回路やメモリボードにCPU関連とかそういう素材はありますかね?」


 「ラビはあまりドローンとか倒さないもんな~取引所やなんかに無いのか?」


 「ありますよ」


 「取引所に出てるのは銃で無理やり破壊したようなジャンクパーツばかりで、状態のいいものは出回ってる数自体少ないんですよね~……あるんですか?!!」


 「……あっ!ラビが持ってるって事か?相変わらずいつの間にか変なもの手に入れてるよな。どこで見つけてくるんだか」


 「普通に捕まって強制労働してたら結構手に入ったので、欲しい物があれば……」


 「じゃあ、もうすぐ海辺ですし、人の邪魔にならないところで少し広げさせていただいてもいいですか?」


 という事で、そのまま三人連れ立って砂浜に降り、誰もいない砂浜にアルバー君がアイテムボックスからブルーシートを広げてそのまま座り込む。


 自分はアイテムボックスからドローン系素材の入ったアイテムバッグを取り出して、そこから更に適当に素材を並べていく。


 「相変わらずラビのアイテムボックスはすごい事になってるな」


 「アイテムバッグにしまってからアイテムボックスにしまうんで手間がかかるんですよね」


 「え?っていうか、そんな事できたんですね~……今までアイテムボックスに入りきらなかったアイテムが急にもったいなく感じてきた」


 「まぁ、これからじゃないか!正直そろそろ必要な素材の種類も増えて煩雑になってくる頃だろうし、自分に合ったアイテムバッグを探すのもいいんじゃないのか?」


 「アイテムバッグはあると便利だとは思うけど、そのランドセルみたいなバッグにはドローンが入ってるんでしょ?」


 「え?何で知ってるんです?」


 「そりゃ、自分でドローン使いっていってたもんな?」


 「森で……そうですね。コットさんの言う通りです。ドローンしまえそうなのってそのバッグだけですもんね」


 森では正体を見せてなかったのを忘れてつい口から漏れ出そうになってしまった。


 「???そうでしたか。まぁ、その通りなんですけど、レーヴェの強化に使える素材を探しに来たって言うのが今回この町に来た目的だったんで、とても助かります」


 そう言いながら、並べた回路何かを片っ端から確認しつつ、アレをいくつ、コレをいくつと指示をくれるので、その通りにまとめて出していく。


 「ずいぶんと出したが、お代は大丈夫なのか?」


 「別に偶々手に入れただけなんで……」


 「お金はあります!兄に貰ったお金があるんで十分払えます!」


 「うん、アルバー君がいい奴で良かった!ラビはすぐにあげちまおうとするから、本当にいつも心配なんだわ」


 「あっ……いや、一個修理して欲しい物があったので、それの修理と交換でもいいかなって……」


 コットさんに言われてつい焦って適当な事を言ってしまったが、羊の村で手に入れた旧型環境服の一部に確か回路みたいなのが詰まっていた筈だ。


 直せる物なら直してほしいので、取り出してブルーシートに置く。


 「見た事ない形のヘルメットですね~ヘルメットですよね?」


 「だろうな?」


 「多分?」


 「ラビさんまで疑問形なのは置いておくとして、見てみた感じとりあえずの修理は出来そうですよ。ただ万全に元の状態に戻せるわけじゃないみたいです」


 「ふーん、それじゃあその修理代の分引いた額を貰ったらいいんじゃないか?」


 「じゃあ、それでお願いします」


 そう言って、ヘルメット?を預けて回路系の部品類も渡す。当然ながら十分な額のお代も貰った。


 何となくお開きって感じの空気になったので、そのまま海にでも入ろうかと思ったら、遠くからざわざわと大勢の人の声が聞こえる。


 「何でしょうね?」


 「この時期だと多分イベントだろうな」


 「イベントって、この前決闘やったばかりですけど?」


 「そんなにイベントって連続するもんなんですかね?」


 「そりゃ、イベントだって色々だからな。決闘はある意味じゃ個人戦だろ?それが終わったらこの町だとタッグチームのイベントご招待じゃなかったか?」


 「タッグチーム?」

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