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151.怪盗『なんか事件らしい』

 「うん、本当に気を付けた方が良いぞ。殺る前に一呼吸!って姉御に教わらなかったか?」


 「教わってないと思います」


 「ラビはそのままでいいんだ。その迷いのなさと真っ直ぐな殺意が強みなんだから、余計なこと考えなくていい」


 「相変わらずジョンの中のラビ像が俺にはよく分かんねぇんだけど、とりあえずそっちの変態は悪い変態じゃないんだな?」


 「俺っすか?当り前じゃないっすか!俺は常に旦那一筋!他の男も女も目もくれないっすよ!」


 「やめろって!気持ち悪い!ただの情報屋だろ!」


 わいのわいのと以前も来たオープンテラス?な食堂に集まる事になった。


 何でかは分からないが、流れ的なもので6人で食事しながら話をしているものの、一人完全に浮いている人がいる。


 「それで、この前しつこく迫られてたそっちの……」


 「あっ!僕はアルバーです。助けてもらったお礼にと思ったんですけど、お邪魔しちゃってすみません」


 「なーに言ってんだって!迷惑かけたのはうちのツレなんだし気にすることないぜ。それよりこっちの方こそ悪かったな。って言うかお前が自分で謝れ!」


 「すまなかったっすね。本当に話が聞きたかっただけなんですけど、情報屋の性分って言うかなんて言うか、しつこくしちゃって」


 「ああ、いえ大丈夫です。それより保安官に連れて行かれてあの後大丈夫だったんですか?」


 「何か警備の仕事して、ドローン倒して素材もいっぱい手に入ったし、狙撃手殺しに来た偵察兵?の人を倒したらお金も手に入ったし、いい事しかなかったですね」


 「捕まっていい事しかなかったとか、神経の図太さが尋常じゃねぇ……」


 「だからお前にも勝てたんだろ?決闘は心の持ちようがものを言うからな。ラビはちょっとやそっとじゃ動じない」


 「うん、お前ら本当に自由にさっきから喋ってるけどさ。俺達なんで集まったんだ?どんどん話が流れていって、そろそろ趣旨が分からないんだが?」


 「何だ?コットは駄弁ったりとかしない派か?姉御とあちこちうろうろしてた頃はそんな事も無かったろうに」


 「いや、駄弁るのはいいんだけどよ。本当に駄弁る為に集まったのか?」


 「他に何か用事でも?」


 「用事っつうか、先ずはアルバー君が何でしつこくされてたのかとか、色々気になるじゃん!別に世間話が嫌とかじゃないんだけどさ。気になる所からちゃんとしていかないと気持ち悪いじゃん!」


 「ああ、それは大円の関係者だったから何か面白い話の一つも持ってないかと思って、誘っただけっす」


 「そうだったんですか。よく僕が関係者って分かりましたね」


 「そりゃ、有名っすからね。自覚無いっすか?」


 「無かったです」


 「じゃあ、これでコットの疑問は解消されたな。それで、最近この町でもよー……」


 「え?もう?俺の時間終了?普通にいきなり世間話に戻るんだ!まあいいや!それでこの町でどうしたんだ?」


 「号外!ごうがーーーい!」


 唐突に話を途切れさせるほどに大きな声のNPCが店の前を通り抜けた。


 「何だありゃ珍しいな」


 「そうっすね。ちょっと気になるんで行ってみてもいいっすかね?」


 そう言い置いてそそくさと悪く無い変態の人が号外のNPCに走り寄って、何かを受け取って戻ってきた。


 その手には何やら紙が握られているが、何て言うか未来の世界観の割にこういう所アナログだよな~なんて思ってしまう。


 席に戻った悪く無い変態の人が一通りその紙の中身を読むと、内容を説明してくれた。


 「どうやら、漆黒のノワールの予告状があったそうっすね。腕と頭脳に自信ありの方募集中らしいっす」


 「漆黒のノワールって、黒の黒って事ですか?何でまたそんな真っ黒な名前なんでしょう?」


 ノワールが黒っていうのは何気に自分も知っていた。


 なんか同級生にいるから、中学二年生が罹患する不治の病になっちゃった人。


 「成る程な~怪盗案件か~、不定期イベントに縁があるな~ラビは」


 ジョンさんが自分の事を話しているが、何故かちょっと遠い目をしているように見えるのは気にせいだろうか?


 「怪盗案件って何ですか?」


 「ああ、深紅のクリムゾンとか深碧のビリジアンだのと何故か色を重ねた様な変な名前の怪盗が現れるんだよな」


 ベルさんも怪盗について知っているようだが、どこか虚ろな表情なのは何でだろうか?


 「二人とも急に元気ないっすね。どうかしたんすか?」


 「そうですよね。怪盗案件ってそんな不味い感じなんですか?」


 悪く無い変態の人とアルバー君が尋ねるが、二人は顔を見合わせてため息をつくばかり。


 これはよっぽど面倒事なんだろうと思ったら、コットさんが立ち上がる。


 「こうしてはいられないぞ!号外にある館に向かうんだ!」


 「どうしたんですか?急に」


 「奴ら怪盗とは深い因縁があるんだ。今回こそ必ず奴らのしっぽを捕まえてみせる!その為には俺の頭脳だけじゃ足りない!皆の腕も必要なんだ。書いてあるだろ?腕と頭脳って!」


 「いや、大体毎回頭脳の方が足りてないんだって……」


 「おい!ベル!それを言うなよ!」


 「な、な、な!!!!!大体いつもぎりぎりの所までは追い詰めてるだろうが!結構惜しい所まで掠ってるよ俺の推理は!あと一歩の所を逃げられてるだけなのに!おま!お前!クロノスとか調子こきな二つ名名乗りやがってよ!」


 「おうおうおうおう!言ってくれるじゃねぇか!俺がこれまでどれだけ苦労してこの町の平和を守ってきたか!体に教えてやらねばなるめぇ!」


 「やっちまえ!旦那~!」


 なんかよく分からないけど、元気出たみたいで良かった。ジョンさんだけはさらに深いため息ついてるけど。

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