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14.夜間『夜だろうと時間は有限』

 蜂やら狸やらを狩りつつ、枝を拾い、更には時々稀にハーブのような葉っぱも拾えるだけ拾い、レベルが一つ上がった所でその日はログアウト。


 翌日学校が終わり、夕飯も食べ、一通りやるべき事をやって、やっとログイン。


 その日火星は夜だった。一体どういうサイクルで昼夜が変わっているのかは分らないが、一つ言えるのはまだ自分の実力で、夜間外に出るのは無理だろうという事。


 何しろ門の所にいた兵士さんに夜間は冷えるし、暗いが準備はで来ているか?と聞かれノータイムで準備出来てないと答えるほどには、準備出来ていない!


 ただ、一個だけ思い当たる事がある。確か、鼠の皮って最低限の防寒効果があった筈だという記憶……。


 本当は火星が昼の時にログインして狩りを進め、装備を充実させたいというのが本音だが、しかしログインできる時間は限られている。夜なら夜なりにやれる事をやっておくべきだ!


 何しろ、昨日散々狩ったり拾ったりした物品をどう扱えばいいか分らない上、どこに売ったらいいかすら分かっていない、そんな状態で装備を充実させるも何もないだろう。


 流石に銃砲店に狸の肉やら蜂の毒針持ち込んでも怒られるよな……。


 でも、現状頼れるのって銃砲店の店長か、試射場の人か、新人に優しいガンスミスか、あとは保安官?


 保安官から行ってみるかな?本当はなんか荒い感じであまり好きじゃないが、前に鼠を引き取ってくれたし、動物系はこの人かもしれない。


 あまり気乗りしないまま、保安官舎に向うと夜だろうといつも通り、机に足を投げ出して、だらしなく迎えてくれる保安官。


 「よう、溝鼠!何の用だ?」


 「実は森で狸と蜂を狩りまして、引き取ってもらえたりするのかなって」


 「ふん!俺の斡旋した仕事じゃないし、知らねぇな」


 「そ、そうでしたか……それじゃ……」


 「まず、狸だがな燻製屋に持って行けば、いくらかで売れる。間違っても素人が煮たり焼いたりするなよ?とても食えたもんじゃない……火星狸は食い方にコツがいる。毛皮関連は何であろうと皮毛骨肉店に持って行きな。変り種の装備なんかもそこで手に入るが、必ずしも性能がいいとは限らんから注意しろ。蜂の甲殻や羽なんかも皮毛骨肉店だが、毒や針は薬屋だな。どれも一番街区にある土着の怪しい店ばかりだが、お前が下手なことをしなけりゃ普通に取引は出来るから安心しな」


 「土着の怪しい店ってどういう事ですか?」


 「ふん!お高くとまった地球人の最新科学技術のうんたらなんぞ、ここじゃ早々手に入らん。ある物でずっと何とかしてきたんだ。そういう連中が非合法ぎりぎりで何とか食いつないでるのさ。獣素材なんぞ、正規店に持ち込んだ所で門前払いだぜ」

 

 「そういう事でしたか。親切にありがとうございます」


 「ふん!寄生虫だの害虫だのはコイツの錆びにするが、一応でもまともに働こうって奴には最低限生き方は教えてやるさ」


 そっと腰のガンベルトから引き抜く銃は、真っ黒いオートマチック拳銃の様だが、生憎自分はそこまで銃に詳しくない。


 ただ、妙に存在感があって、四角いフォルムの中に必要な機能が必要なだけ詰められたような妙にしっくりとした雰囲気に惹かれる。


 「ガバメントの良さが分るなら、もう一つ教えてやろう。お前の持つクロスボウだがな。弓ってやつは攻撃力が低いだろ?」


 「はい……でも今の自分にはこれしかなくて」


 「そういう事もあらぁな。人生にはある物で勝負するしかないって時がな。だったら今自分に使える手札を十分に理解する事だ。矢の先端に蜂の毒針をつけてみな。針の中に毒液を吸って、毒矢になる。毒を抜いて麻痺毒を吸わせれば麻痺矢だ。攻撃力が低い分、相手の動きを制限するのが矢の使い方だ」


 な!ただのネタ武器って聞いてたのに、デバフ武器だったのか!


 「よ、良かった……ちゃんとした武器だったんだ」


 「ふん!マシンガン持ってこられりゃ蜂の巣にされるのは見えてるぜ。油断せずにもっといい武器持てるように精進するんだな。用が終わったなら行け」


 保安官に追い出されて、早速燻製屋に向かい〔狸の肉〕を持っている半分を売り、そのお金で自分用に保存食として怪しい燻製肉をいくつか買ってアイテムボックスに詰めた。


 お次は皮毛骨肉店に行き〔狸の皮〕〔狸の甲殻〕〔蜂の羽〕〔蜂の甲殻〕を売ると、代わりに店頭に緑のポンチョ、脛当て、デコイ(蜂)が並んだが、デコイの使い方はさっぱり分からないので、ポンチョと脛当てだけ買って、店を出る。


 早速ポンチョを着ると、暗いグリーンのポンチョが結構暖かい。更に脛当ても装備しようとしたが、装備制限に引っ掛かったので、ステータスを一つVITに使用した。


 ちなみにスキル<生命>は取得していない。何しろ現状パッシブスキルの枠は埋まっているので、とりあえずSPをとって置くことにした。


 最後に薬屋に向かったが、よく考えたら毒も針も使うんだったと引き返し、例の銃砲店横の工房に行き、いかにも毒を抽出出来そうなフラスコの前に立つ。


 すると、いつも通りウインドウが出たが毒が出ているものの文字が暗い?


 少し考えた後、<製作>にもう一つSPを振ると無事解決した。


 要はスキルレベルが足りなかったという事だろう。だが更に問題が発生した。毒を抽出するにはそれを入れる容器が必要らしい。


 ……どう考えても薬屋だよな~。折角引き返したがまた結局行く事になる。


 まぁ、まだまだ序盤だし、そんな事はあるあるだ!気合を入れて火星の夜道を行く。

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