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146.呼出『一番偉い人が裏切ってたらそりゃまずいか』

 ある日の事、鉱床警備という名のドローン狩りを終えると、非正規警備員用宿舎に事務方の人が待っていた。


 「小ミーティング室の方へお越しいただけますか?」


 「俺か?」


 「はい、当鉱床の管理責任者が話があるので戻り次第お越しいただきたいとの事です」


 どうやら相部屋のNPCを例の変な管理責任者が呼んでるらしい。


 そのまま相部屋のNPCが、小ミーティング室へと向かう。


 ちなみに小ミーティング室は、自分達が来た時に集められた大部屋の隣の部屋だと思う。


 「怪しいですな」


 「怪しいですね」


 事務の人が二人の時の雰囲気に戻り、そのまま相部屋のNPCを距離を空けて追い始める。


 その後ろを更に自分がついて行くと、階段を上ったところで相部屋のNPCの足音が止まったので、事務の人の肩を無言で叩く。


 それだけで分かったのか、事務の人もそのまま動かずじっとしていた。


 相部屋のNPCが動き出したのでまた追い始めると、それに反応するかのようにすぐ止まる?


 事務の人に肩を叩かれ、少し廊下を戻った。


 「なにがしかの方法で、警戒されてますな」


 「何かそうみたいですね。ついて行ってるのが分かるんでしょうね」


 「もし、よろしければお一人でついて行かれますか?」


 「一人で行っても同じじゃないですか?」


 「どうでしょう?あなたはかなり気配が薄く感じますし、物は試しですよ」


 言われてみれば<隠形>とかいうスキル取得していたなと、スキルレベルを上げておく。


 そうして相部屋のNPCを追うと、確かに今度は止まる事なくスムーズに小ミーティング室まで向かい、入っていった。


 幸い隣の大ミーティング室が開いていたのでそこにこっそりと入り、隣の話に耳を傾ける。


 「まさか、協力者があんただとはな」


 「そうだね~!ただ私も立場があるんで、あまり派手にやられるのは困るよ」


 「俺だって単独潜入だしそんな事にはしたくないが、その為にもあんたの情報が必要だ」


 「ああ、そうだね。それじゃこれがシフト表だよ。ちなみに宿舎の方に潜入するのはおススメしないからね」


 「なんでだ?」


 「そりゃ、一応それなりの規模の鉱床だし?正規警備員も手練れが揃ってるからかな?君の腕がどれほどのものかも私にはよく分からないし」


 「まぁ、確かに索敵に優れたのがいたりしたら困るか」


 「隠形術の方はあまり得意でない?」


 「この星の連中と比べればだいぶ劣るだろうな。戦術が違うんだから」


 「そうですよね。私も詳しくはないですけど、地球では基本的に兵器に搭乗したまま戦闘を行う事が多いんだとか?」


 「勿論歩兵もいる。だがまぁ、ユニットもなしに撃ち合うあんた方には狂気しか感じないよ。ドローンとの戦闘で最近はいくらか慣れたがな」


 「私は撃ち合いなどしませんから、全く門外漢ですけどね。しかしユニットですか~。私も火星(ここ)の生まれですから、地球には憧れますね~」


 「どういうイメージか知らんが、少ない資源を巡って殺しあって、殺しあう資源を手に入れる為に火星から搾り取る。そんな所に行っても何が楽しいんだか?」


 「それでもあなたは任務を終えたら帰られるんですよね?」


 「すぐにではないが、多分な。噂よりずっとこの星の方が楽しく生活できそうではあるが……」


 「そうですかね~?右を向いても左を向いても野蛮な輩ばかりですよ」


 「否定はしないが、言う程生きづらい所でも無いだろ?」


 「いつでも赤砂が舞ってて、危険なドローンがそこらじゅう徘徊してて、挙句に獣まで狂暴、海に入れば毒だらけ。昼は暑く、夜は寒い。それでいて技術は地球に比べて大いに後れを取ってる。どこをどう切り取れば、そう悪くないのか?理解できませんね~」


 「余計な技術が持ち込まれないから戦域もそこまで拡大しないし、一般人が巻き込まれるケースも少ない。砂だってテラフォーミングの差異で、そこまで舞ってない地域だってあるんだろ?獣に海生生物だって逆に言えば食料資源が豊富な証拠じゃないか。まぁ、ドローンは面倒だろうが、ある程度自衛の力さえあればこの星で暮らすのは悪くなさそうだがな」


 「この話は平行線の様ですね~。それでは健闘を祈りますよ」


 「ああ……最後に一つ。あんたは仲間を裏切る形になるが平気なのか?」


 「別に仲間とは思ってませんよ。この星じゃ個があるだけで、敵も味方もないと私は思ってますからね。それぞれが持つ力で、それぞれが生き延びればそれでいいんじゃないですか?」


 「その割にこの鉱床を持ってる町は、地球相手に派手にやったって聞いたがな」


 「一方的な搾取に耐えかねて暴動を起こしたことになってますね。それだって先祖がやったことで、当時の状況は私も直接見た訳じゃないですからね~よっぽど搾取が酷かったんじゃないですか?」


 「返す言葉も無い。上の連中ならやりかねないし、何なら俺たち末端の兵もユニットを動かす道具としか見てないだろうし……」


 「まあそう悲観的にならずに、さっと『うみねこ』を撃って、さっと出ていくといいですよ。さすがにこれ以上の協力は出来ませんし、お任せします」


 「上とどういうつながりか知らないが、協力感謝する」


 「見返りのある話なのでお気になさらず」


 そう言って、小ミーティング室からバラバラに出ていく二人。


 十分に足音が離れたところで自分も大ミーティング室から出て、部屋に戻ると事務の人が待っていた。


 「どうでしたかな?」


 「何か猫を撃つって言ってました」

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