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142.索敵『所詮はプログラムされた存在なのだろうか?』

 何で撃ってこないんだろう?


 銃口は確かにこちらに向いているのだが、空中に静止したまま一向に動かず、ファンの音だけが坑道内に響く。


 その時、相部屋の男が一気にドローンに走りよると、それを追うようにドローンも向きを変える。


 ドローンの動きに構わずそのまま真下に入ると、サブマシンガンをフルオートで一気に撃ち込む。


 パララララ


 と軽い音が響き、あっという間に弾を撃ちきると、うっすら立ち上る硝煙。


 そして、フラフラと落下し地面で動かなくなったドローンはボロボロもいい所だ。


 「こいつは動体センサーで標的を見定めるタイプだ」


 「動体センサー?」


 「動くものに反応するって事だ。銃口が向いた途端に、あんたが固まったから撃てなかったんだ多分」


 「あ~!機械だから必ずしも目で見てる訳じゃないのか!」


 「そういう事だな。もし熱感知だったりしたらとっくに撃たれてただろうし、今回が偶々運が良かっただけだから、やばくてすぐ固まるのはおススメしないぜ」


 なるほどな~ドローンは生き物じゃないんだから当たり前と言えば当たり前なんだろうけども、どうやって相手を知覚してるかなんて考えなかったな。


 でもそうなると、初心者の街にいたクリーナーなんかは、何に反応してたんだろうか?


 自分をゴミだと思って突撃してきたんだろうけども……。


 「それよりあんた、本当にこのまま奥に行くのか?」


 「え?そう言われたじゃないですか」


 「そうだけどよ。それ効かないんだろ?」


 そう言いながら自分のクロスボウを指さしてくる。


 確かに普通に狙って、そう遠くもない敵に当たったはずが跳ね返されて、問題無い訳ない。


 せめて強酸の矢を撃ち込めればと思ったんだが、刺さらないんじゃどうにもならないし……確かにこのまま奥に向って大丈夫なのか?


 「チャフ使うしか?」


 「高いんじゃないのか?足が出ても知らんぞ?」


 「自分は労働が目的なので、お金は仕方ないかな~?」


 「おいおい……他に武器は無いのかよ?」


 「ハンドガンにナイフと投げナイフと毒ですかね~。<設置>があるので罠もいけますけどドローン相手だと効くかな?」


 「そうだな……空中型がさっきの動体センサー付きだけなら、動かなきゃいいだけだし何とかなるだろうが、他に何が出るかにもよるだろうな」


 とりあえずクロスボウは一旦背中に戻し、投擲用のスリングをほどく。


 「とりあえず投げつけられるもの投げつけて、試してみます」


 「そんな紐でどうするのか知らんが、物投げて敵倒すなんて原始的だな」


 「そうですか?」


 「そうでもないのか?銃持ってる人間が多いと思ったんだが……」


 「いや、確かに銃使ってる人の方が多いですけど」


 「だよな。いくら地球の技術に依存してるって言ったって、手で物を投げて戦ったりしないよな」


 ん?何か違和感のある会話?でもないのか?


 確かに手榴弾でもなければあまり投げつけたりとかはしないのかもしれないけども、投げナイフ使いだっているし、変って事は無いよな?


 何か言動の変な人だ。


 倒したボロボロのドローンからドロップしたアイテムを相部屋の人が回収したので先に進む。


 キュルキュルキュル……


 また奥から音が聞こえてくる。


 今度は地面を走っているようだが、戦車のキャタピラのような音がするものの、同時に凄く軽い印象もある。


 鉱床内は一応一定間隔にライトはついているものの、今自分たちが歩いている所は結構暗い。


 時折ライトの反射はある物の全体像の見えないまま、音で大体の見当をつけて、先ずは〔灼粘液〕から試してみる。


 勘で投げたせいか、やや外れたがドローンの前に粘液だまりが出来て、そこに突っ込むと……


 ジュワァァァァ……


 ちょっと尋常じゃない量の煙が出て、ドローンの動きが止まった。


 「ホラーじゃん」


 と、思わず足がすくむ。


 何でホラーだと思ったかって……アレが人間に当たってたら大変な事に……この前ぶつけたばかりだったわ!


 気を取り直して、ドローンに近づくとシングルベットの半分もないサイズの戦車だった。


 自分の投げた〔灼粘液〕の所為で、キャタピラが溶けて、更にキャタピラではね上げてしまったのか、ボディまであちこち溶けたような穴が開いている。


 いくら何でも、溶けすぎだろうと思うのだが、同時にこんなもの今まで使ってた自分が怖い。


 使うのはやめないだろうけど、これからは気をつけて使おう。


 <解体>してみると劣化した鋼板やボロボロの回路と言った売れるかもよく分からないものばかりだった。


 「その薬はいざって時にするんだな。ろくなドロップが落ちそうもない」


 言われずともそんな気がしたので〔灼粘液〕は一旦しまっておこう。


 攻撃力は高い物の少々加減が難しい。


 次に取り出すのは〔白粘液〕だ。


 例の乾くと固まるやつだが、何か最初の頃に油罠とか粘罠とか聞いた気がしたので、試してみようかと。


 もし効くのであれば、乾いて固まって身動き取れなくなるとか……そんな上手くはいかないか?


 まぁ、元手は大してかかってないし、試すだけ試してみようとスリングにセットして坑道を奥へと進む。

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