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138.逮捕『悪い変態を許さない』

 「さっ!行こうぜ!」


 自分が食事が終わるのを見て、そう言いだした相談屋さん。


 「どこにですか?」


 当然の疑問の筈だが、どうやらいつの間にか時計台を案内してくれるつもりだったようだ。


 さっき一人で行くって言った気もするが、まぁ悪い人でもなさそうだしとついて行く事にした。


 だが……本当に『だが』ばかり、思い通りに事が運ばないのが人生って事なのだろうか?


 そんな疑問も頭をよぎるが、目の前には二人の男の人が揉めている?


 「やめてください!」


 「いいじゃないか!ちょっとくらい!悪いようにはしないから付き合ってくれよ~」


 「嫌です!手を放してください!」


 「まぁそう言わずにさ~」


 どう見ても男の人が男の人を無理にナンパしている。


 男の人が女の人をとか、女の人が格好いい男の人をなら想像できなくもないのだけども、現実は小説よりなんとか……世の中不思議な事ばかり……いや、待てよ?


 ナンパしている方の男性の声は大人で間違いなさそうだ。対してナンパされてる方は若そう。


 っていうか若そうな方は、以前黄金の森で何人かに絡まれてた人だ!でっかいランドセルを見て思い出した。


 いかにもちょっとあの気の弱そうな感じ……まさか……そういう虐めたい趣味の人の嗜虐心的な何かを刺激しちゃうんじゃ?


 「つまり、変態って事?」


 「へ?なんだって?」


 「あっ……いや」


 隣に相談屋さんがいるのを忘れて、つい口から思っていたことが漏れてしまった。


 「ん~まぁ、そうも見えなくもないのか?でもこのご時世誰が誰を好きであろうが、どんな趣味であろうが、あまり責めたり口に出したりするのはマナー違反だぜ」


 「す、すみません」


 言われてみればその通りで、他人の趣味をどうこう言うのはいけない。誰に教わらずとも、世間がそういうものだという事は自分だって分かっている。


 しかし若い方は本当に嫌そうだし、このまま放置していてもいいのだろうか?


 ……待てよ……そういえば、学校で誰かが誘い受けがどうとかって話してた気がするな。女子は皆そういうのが好きなんだって……もっとちゃんと聞いておけば良かったか。


 いつどんな時にどんな話が役に立つか分からない。折角このゲームでは<聞き耳>を手に入れたんだし、もっと積極的に人の話を聞こう。


 「なぁ、いいじゃないか!ちょっと話を聞きたいだけなんだって!お礼に一杯奢るからよ!そこにいい飲み屋があるんだって!」


 「未成年なんでダメです!」


 その言葉を聞いた瞬間に、左手が薬のウエストバッグに延び〔灼粘液〕を引き抜く。


 そのままナンパ男の顔に向かって投げつけた。


 「ぎぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!熱い!助けてくれ!」


 「お、おい!あんた何やってんだ!」


 「あれはダメです!例えどんな趣味であろうとも、成人者が未成年を無理やり誘うのは犯罪です!つまり、あれは悪い変態なので……」


 「なので?」


 「殺します!」


 「いや、え?本気で言ってんのか?ああ……マジの目だ。ちょっと待て!いや、あの庇おうとかじゃなくてな……ああ!くそ!ベルラリアーーーーット!」


 相談屋さんが叫びながら走っていき、ナンパ男の首を上腕で刈り取ると、クルッと垂直半回転したナンパ男が後頭部から地面に叩きつけられた。


 「なんだ……あの、あれだ!さすがに未成年に変態の相手はさせられないからな。後は俺に任せとけ!町案内はまた今度な!」


 そう言いながら、その場に倒れて動かないナンパ男を連れてどこかに行ってしまった。


 急に取り残されてしまうと、それはそれでちょっと困る。


 「あ、あの……」


 そこにナンパされていた未成年の男の人が話しかけてきたので、返事をしようとすると後ろから肩を叩かれた。


 「ちょっと君、話を聞かせてもらおうか」


 後ろに立っていたのは、白いカイゼル髭の男の人だ。


 まったく知らない人だが、その見た目で無視してはいけないとすぐに分かる。


 上下古風な三つ揃いのスーツ姿で形の綺麗な揃いの色の帽子、そして胸元には目立つバッヂ、腰のガンベルトには大型の拳銃が一丁……。


 どこからどう見ても保安官です。


 しかも、初心者の街の無頼な感じと違って、随分と小綺麗でしっかりした雰囲気。


 初老の様だが、背筋はしっかりと伸びており、体も引き締まっている。


 これは、素直について行くほかあるまいと、観念した。


 「自分がやりました……」


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-時計台の町保安官舎-


 「ふむ、つまり成人男性が未成年に無理やり言い寄っているのが見えたから、思わず〔灼粘液〕を投げつけたという事で、間違いないね?」


 「はい、その通りです」


 「この町では、許可なき私闘は禁じられている事は知っているね?」


 「はい、時計台の鐘の音で撃ち合う決闘しか認められてません」


 「〔灼粘液〕は場合によっては死に至る危険な物だという認識はあったね?」


 「はい、殺す気で投げつけました」


 「うむ……実に勇ましい!」


 おかしいな~。逮捕されて何らかのペナルティが与えられるのだろうと思って神妙についてきたのに、なんか褒められてる。


 「それで、自分はどうなるんでしょう?」


 「うむ、何もおとがめなしという訳にもいくまい。それは理解しているね?」


 「はい、罰金でしょうか?懲役でしょうか?」


 「じゃあ、仕事を一つ頼もうか」


 どうやら労働と引き換えで許されるらしい。これが無法者の星、火星って訳か?

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