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132.海鮮『何だか分からないけど打ち上げらしい』

 「おおい!ラビ!そんなところで何してるんだ?」


 どれだけぼんやりしていただろうか、特に何を考えるでもなく海を眺めていたら、誰かに呼ばれて振り返る。


 そして、自分が屋根の上にいる事を思い出した。


 下の通路にいたのは、ジョンさんと女子三人組だ。大きく手を振って呼んでいるので、一旦ケーブルカーの方に向かおうとすると、何やらジョンさんが指をさしている。


 よくよく見たら、店と店の隙間に梯子が掛かっていて、わざわざ遠回りしなくても屋根の上に登れるようになっていた。


 そのまま合流するなり、4人に取り囲まれる。


 「おい!大丈夫だったのか?」


 「はい、お陰様で大漁でした」


 「大量?って何がいっぱいあったの?」


 「いや、魚ですけど?思ったより一杯獲れたので、当分素材とごはんには困りそうにないですね」


 「えっと……狂暴な魚がいっぱいいるって聞いたんだけど?」


 「いっぱいいましたよ」


 「じゃあ、何で無事なの?みんな避難してたのに」


 「え?別に避難なんてしなくても適当に魚獲りながらぶらぶらしてましたけど?」


 「ジョンさん?危険で全容が見えないレイドクエストって話じゃ?」


 「ボーナスタイムじゃなかったんですか?魚欲しい人向けの」


 「まぁ、なんだ?ラビ位になれば、これ位余裕で生き残れるって事だな。ちなみにどんな敵が出るんだ?」


 「上層は小魚ですね。それからやや大きい魚と大きい蟹、その下がすごく大きい蛇とか鮫とかですかね」


 「へ~!ちなみに魚ってどんなもの落とすの?多分情報サイトにはほとんど無かったよね?」


 「情報サイトあまり見ないんで分からないですけど、自分は主に毒ですかね~あとは白身とか赤身とかご飯系?そういえば、蛇とサメなら皮が手に入りましたよ」


 そう言って、皮を取り出す。


 「え!凄い!何これ!何に使うんだろ?」

 「確かに!魚の皮だけど、普通の革製品に使えそうな感じだよね?」

 「う~んでも蛇の方の品質が低いのは何でだろう?」


 女子達が一斉に皮に群がり話し込んでいるが、一個気になる。


 「品質って何ですか?」


 「えっとね~専門のスキルとかクラスとか持つと見えるようになる素材の状態みたいな物かな~」


 そういえば、羊毛の時も品質がどうとか、言ってたかも?


 蛇の皮の方が品質が低いのは何となく心当たりがある。〔灼粘液〕をぶっかけたからだ。


 逆にサメは〔灼粘液〕を食べさせたので、皮には影響がなかったのだろう。


 「素材屋さん!私にこれで何か作らせてもらえませんか?」


 急にカスミさんがキラキラした目でこちらを見てくる。


 「えっと……まぁ、蛇の皮は既にこのアンダーアーマー持ってるし、サメの方はどうしよう……」


 正直、皮毛骨肉店に持ち込んだらどんな品が出てくるか興味がないと言えば嘘になる。


 「そのアンダーアーマー見せて!」


 今度はHIMARIさんに服を見せろとせがまれる。


 「まぁまぁ、一旦落ち着けって、こんな街中じゃなくてどこか落ち着くところでやったらどうだ?」


 ジョンさんが、とりなすように間に入ってくれたお陰で一旦落ち着きを取り戻し、とりあえず食事にしようという事になった。


 ジョンさんが、最近品質が上がったと噂の安くて旨い食堂があるからと、小さな船着き場に行き、皆で船に乗り込む。


 「いらっしゃい!ってお客人か!ゆっくりしてってくれ」


 ついたお店は、いつもの食堂だった。


 「何だ、ラビはすでに常連だったのか」


 「まぁ、一応そうですね。すみません!いろいろ手に入れたんで、お願いしてもいいですか?保存食になるものは保存食でお願いします」


 「あいよ~」


 とりあえず手に入れた白身や赤身、それに蟹なんかを渡してしまう。


 「もしかして、ここの質が上がったのって、ラビが素材を卸してるのか?」


 「一応そうですね」


 「プレイヤーが店売りして、店の質とか上がるんですか?」


 「ああ、一応な。基本的にNPCの売る物の品質は下から2番目固定なんだが、種類に関してはプレイヤーが売った物に比例して増えたり減ったりするんだわ」


 「じゃあ、質が上がったっていうのは……」


 「品ぞろえが増えて、旨い物が食えるようになったって事だな」


 成る程な~今まで品質なんてろくに気にしたこともなかったけど、ちゃんと区分があったんだな~とぼんやり聞いていると、アンダーアーマーの話に戻っていたので、とりあえず装備を外して渡しておく。


 女子三人組はさっきに引き続き皮素材に夢中だったが、店の主人がお刺身の盛り合わせとスープを持ってきたら、一斉に気がそれた。


 「うわーすごー!!」


 「確かにこりゃあ豪勢だな」


 「料理か~料理もありかも!おいしそうだもん!これで下から二番目の品質なんでしょ?スキル鍛えたらもっとおいしい物が……」


 確かに刺身の盛り合わせは見た事なかったし、見た目は派手だけど、自分はいつもの白身魚の焼き物で良かったんだけども?


 「こっちがお客人御所望の保存食だな。開きにして干してあるから<製作>でもあれば、食うだけは食えるぞ」


 何と燻製ではなく干した魚らしい。確かに自分はまな板の作業台を持ってるので最低限の料理は出来るし、これはこれでありなのか?とりあえず受け取った白身魚の開きをしまっておく。


 ついでに、そろそろアンダーアーマーを返してもらおうかと思ったら……。


 「素材屋さん!これ私にグレードアップさせて!」


 と、カスミさんが言ってきた。


 「別にいいですけど……」


 押しの強さにそのまま受け入れ、預ける事になった。これでまた数日街にいる用事が出来たが、海に潜る時はどうするか?


 

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