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116.連絡『藍染めを依頼しよう』

 あくる日のログイン前に調べたところによると、あの青い液体は藍と言うらしく、藍染めは古くはピラミッドの時代?からあるらしく。日本でも伝統的な染色方法なんだとか。


 江戸時代の絵とか暖簾が青いのはどうやらこの藍染めをしたものなんだって。


 また新しく知識を吸収しつつ、今日の目標はHIMARIさんと連絡を取ることだ。


 例の服飾生産女子二人組の連絡先を交換した人だが、いざ連絡するとなると緊張する。


 あまり知らない人に連絡を取る時って、何から始めたらいいんだろうか?


 とりあえずステータス画面からメールを起動し、登録したHIMARIを確認すると、既に連絡が着ていた。


 というか、メールだと聞いていたのによく見ればそれはメッセージの画面だ。


 普通に会話するかのようにHIMRIさんのメッセージが流れているのだが、自分が全く確認していなかった為、ただの独り言になってしまっている。


 まぁ、ほとんどは近況報告の様なのだが、一番最新のメッセージで、絹はないかと質問されていた。


 絹……についてもちゃんと調べてある。と言うか藍染に関して調べていたら勝手に出て来ただけだけど、蚕の糸の事だ。


 一応、絹が服とかを作る糸だという事は当たり前だが知っていた。ただ何から作られてるとかそういうのは知らなかっただけだ。


 そして蚕というのは、蛾の蛹の事。


 つまり、自分が持ってるこの〔天蚕糸〕っていうのは絹の事なんじゃないか?という所まではすでに予測できた。


 【天蚕糸なら持ってますが、これであってますか?】

    【あー!やっと返事来た!って言うかソレ!素材の事なら一瞬だ】

 【じゃあ、ある程度の量集めたらまた連絡します】

    【ホントに?!ありがとう!じゃあどこで落ち合うかとか、また連絡するね】


 あっさりとしたやり取りだが、こんなものでいいだろう。


 今日の目標は達成。そして新たな目標ができた。


 〔天蚕糸〕集めの為には、作業用のナイフが必要だし、一旦マリーゴールドさんに連絡を取らねば。


 「その必要はないわよ~!愛しの同志!テル~!お・ま・た・せ!」


 うん、何で自分がここにいて、何をしようとしていたのか分かるのかは謎でしかないが、深く考えない方がいい。


 「ありがとうございます」


 「いいえ~どういたしまして!いっぱい愛を込め込めしておいたから、大事に使ってね~!」


 そう言って渡された装備一式は、どれも到底自分じゃ仕上げられないレベルの完成度だった。


 何がどうとは言いづらいが、先ずクロスボウは全体的に土台になっている木が換わっているだけのようでいて、持った瞬間のしっくり感が全然違う。


 滑らかでいて、それでいて艶やか、にもかかわらず存在を主張し押し付けてこない……まるで一歳の誕生日から一緒に育ってきたかのような妄想が一気に頭を駆け巡る。


 作業用ナイフはと言うと、グリップを掴んだ瞬間に分かった。


 何が分かったのかは全く説明できないのだが、刃先まで神経が繋がるような……それでいてその刃先が空気を切る感触まで伝わってくるような……。


 矢筒に関しては装備した瞬間完全に足に吸い付き、全く移動の邪魔にならない。


 更には薬用のウエストバッグの方式を採用しているようで、見えてるのは矢の一本づつなのにマスごとに登録された矢を20本づつ入れて歩けるようになっている。


 これで一々必要な矢を取り出す面倒が減ると思うと、なんだか30万ゴールドじゃ安い気もするのだが、いいのだろうか?


 「いいの!何も言わないで!テルならその良さを絶対分かるって思ったから、その値段設定にしたんだから、大事にしてよね!」


 「勿論です」


 新装備の感動に浸っていると、マリーゴールドさんが話しかけてくる。


 「それで?さっきは誰と連絡してたの?」


 「何で分かるんですか?」


 「そりゃ、手の動き見ればキーボード叩いてるんだなって、すぐ分かるじゃない?」


 「ああ、なるほど。服飾生産の知り合いです。藍を手に入れたので、装備を作ってもらおうかと」


 「へ~!服飾なんて木工ほどじゃないとしても結構少ないのに、知り合いがいるなんて、テルって結構顔が広いのね~!」


 「どうなんでしょう?ただ向こうは自分を素材屋さんって呼んでるので、素材集めに都合がいいと思ってるんじゃないですか?」


 「確かに!ハードメープル集める時も鮮やかだったものね!そっか~!テルは素材屋さんだったんだ~」


 「自分からそう名乗ったつもりはないんですが、基本自給自足なので色んな素材を集めてみたいですね」


 「そっかそっか~じゃあ、木材集めたら私にも連絡ちょうだいよ~買い取るわよ~」


 「それならホウノキならありますよ!」


 そう言って、読めないイエロー何とかの木を渡す。


 「あら!イエローポプラね!初心者の街の近くで手に入るとは聞いてたんだけど、環境実験区のボスが苦手で行ってなかったのよね~」


 「ああ、回復力が高いから、単発銃だと難しいって事ですかね?」


 「そうそう!助かるわ~!あるだけ買い取るわ!」


 そう言われて、特に今は使う予定もないので、本当にあるだけ売ったら、30万クレジット返ってきた。


 そのままちょっと世間話をし、さっきメッセージをしていたのが女子だと知ると、隅に置けないわね~などと言われたのだが、何故女子とメッセージをしないと隅に置かれるのかは謎のままだった。

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