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109.調合2『やはり自分の生命線は毒と薬』

 ブルーベリーはというと、あっさりと見つかった。


 何しろこの森の獣は大人しいし、かなり近くをついて行っても何事も起きない。


 時折ふわふわっと飛んでくる蛾だけ気を付けていればいい。


 まぁ、蛾にしたって攻撃の意思はないようなのだが、近づくと粉が降りかかって目が見えなくなることは先刻情報収集済みだ。


 そうして見つけたブルベリーの低木?周囲の木と比すれば低めの細い木になるブルーベリーだが、ナイフを持って<解体>すれば一回でバックパックの一マスを埋めるほどには大量の実が手に入る。


 適当に森の中を散策しているだけでバックパックが埋まるだけのブルベリーを確保し、メープルシロップ屋さんに戻ってきた。


 ……ブルーベリーも扱っているなら、メープルシロップ屋さんではないのか?


 ひとまずバックパック半分のブルーベリーを納品した。


 「さすがお客様!いつも大量納品ありがとうございます!」


 「いえ、それで、夜でも目が見えるようになるにはどうしたらいいでしょう?」


 「そうですね~……お客様は薬を扱われるという事ですので<調合>で加工すれば夜目の利くようになるお薬が作れますよ!」


 成る程、ストレートな解決方法だった。


 元々メープルシロップも薬に混ぜる気だったし、一旦<調合>タイムとしゃれこもう。


 「ありがとうございます。それじゃあちょっとやってみますね」


 「はい!またのご利用お待ちしております!ところでお客様はどなたかに追われてませんでしたか?」


 急な話題転換に驚いたが、忘れちゃいけない。変質者が自分を探しているのだった。


 「そうですね」


 「それでは、ここから少し行った赤い大きな建物が貸し作業場になっているので、部屋を借りるといいかもしれませんよ?レンタル料はお一人様用の個室で時間500クレジットとなってます!」


 「へ~!ありがとうございます親切に」

 

 「親戚が経営しているので、ちょっとした宣伝です。そして何より腕のいいお客様には安全に作業していただきたいので、ご紹介したまでですので!」


 何だかんだこの店員さんも向こうから情報くれるようになったな?もしかしたら好感度的なものでもあるのだろうか?


 初心者の街と違って、町のNPCとの好感度的なもので貰える情報量が違ったり?


 まぁ、分からないことはさておき確かに大きな倉庫か体育館にも見える赤い屋根の建物があったので入ってみる。


 目の前の受付は外観から想像できないくらいこじんまりとして、通路も少し細いようだったが、受付を済ませ番号札の付いたカギを受け取って、その番号の部屋に入ると、一人用にもかかわらずそこそこの広さのある使い心地のよさそうな作業部屋だった。


 早速作業台を出し、ブルベリーを置いてみるが何故か、作れるもののリストが出ない。


 メープルシロップ屋のお姉さんに騙された?……NPCがそんなことする意味ないか……。


 材料が足りない?それでも何かは表示されるはず……。


 ふとスキルを見て、まだ<調合>のレベルを上げていないことに気が付き、貯めておいたスキルポイントを使って上げてみると、今度はちゃんとリストが表示された。


 何でもない事でちょっと焦ったが、落ち着いて確認していくと、主に2系統の薬があるらしい。


 一つ目は軟膏というやつだ。


 蜜蝋と植物油を混ぜるらしいのだが、蜜蝋は何気に持っていた。使い道の分からぬままバックパックの肥やしになっていたのだが、毒を集める時に大量に狩った蜂のドロップ品だ。


 植物油はどうやらブルーベリーからも採れるらしい?本当か?


 まぁゲームなので良しとしよう。もしかしたら元々の物とに日本語版になった時のズレとかもあるだろうしあまり気にしないのが吉だ。要は目に効く素材って事だと思えばいい。


 これは簡単に言うと塗れば状態異常が治る代物だ。


 今回出てきた蛾の様な目つぶしを使ってくる相手に対して、目に効く成分のブルベリー軟膏を目に塗れば、失明状態も回復するし、事前に使えば目が見えなくなるような不意打ちは食らわなくなる。


 メープルシロップも混ぜると、効果時間が延長されて尚良しみたいな。そんな感じ。


 しかしこれでは夜間行動の問題解決にはなっていない。


 そうして出てくるのが二つ目の系統で、強化薬と弱化薬となっている。


 これは液状の薬なので瓶が必要になるが、それについては本当に大量に買えるだけ買い込んであるので問題ない。


 名前の通り飲めば強化状態になるのが強化薬、相手にかけるか飲ませるかすると弱らせる効果があるのが弱化薬との事。


 そしてブルベリーで作れるのが、目の強化薬であり夜間でも周囲が良く見えるようになる薬だ。


 例によってメープルシロップを混ぜることで効果時間が延長するので、これはいい物なんじゃないか?


 折よく外は夜になっていた。


 今日のログインできる時間は残り少ないがちょっとだけ、実験に行ってみようか。


 受付で支払いを済ませ、そそくさと森に向かう。


 甘く味付けされたブルベリー風味の栄養剤の様な薬を飲み干せば、確かに暗い中でもちゃんと見渡せる。


 何となくテンションが上がり、森へと踏み出していく。

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