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9.製作『このゲームはRPGだった』

 困った事があったら、と言われて早々尋ねるのもちょっと恥ずかしかったが、今の自分に頼るべもなく、コットさんジョンさんの店に向かったが、残念ながらお休みだった。


 そう言えば、あちこちの街を点々としていると言っていたし、そういつもいつも会えるものではないのかと、がっくり肩を落として一番街区の大通りをとぼとぼと歩く。


 あと聞ける場所と言ったら、試射場か銃砲店か保安官舎か……レストランに行って流石にネズミの倒し方教えてくれる訳ないもんなぁ。


 大してお金があるわけでもないが、一度銃砲店で武器を見てみるのもありかと、とりあえず向ってみる。


 「イラッシャイマセ 当店デハ 地球ヨリ オ越シニ ナラレタバカリ ノ オ客様デモ オ買イ求メ イタダケルヨウ 格安ノ 中古品 型落品 等 取リ扱ッテオリマス」


 「ネズミを倒すのに役立つ武器ってありますか?」


 「溝鼠ノ事 デシタラ 大抵ノ 武器デ タオセマス」


 「う~ん、クロスボウで倒そうとしたんですけど、矢が上手く当たらなくて」


 『ピーンポーンパーンポーン!店長!一階にお客様がお見えです。至急お越しください』


 相変わらず音が大きく、急な呼び出しに、耳を押さえていると、いつも通り機嫌悪そうな店主が現れた。


 「またお前か!次は何だってんだ!欲しい物があるなら買え!金がないなら稼げ!」


 「溝鼠駆除ニ 失敗シタ ソウデス」


 「あ?あんなネズミ如き子供でも倒せるだろ!何があったんてんだ」


 「すみません、上手くクロスボウの矢が当たらず……」


 「幾らクロスボウの攻撃力が低いったって、溝鼠だろ?足遅いんだから引き付けて撃つなり、試射場である程度熟練度貯めてから駆除に向うなり、罠張って足止めするなりいくらでもあるだろうが」


 「わ、罠?」


 「トラップ デシタラ ククリ罠 虎バサミ etc etc ……」


 「最初なら毒餌で十分だろう。ドローンなんかにゃ効かないが、動物なら毒餌が確実だ」


 「そ、それって幾らで買えますか?」


 「んなもん、DEXに少し振ってスキルから<製作>でも取得しろ。あとは食料になる物に毒混ぜるだけだ」


 「スキル?」


 「ステータス画面カラ スキルタブ ヲ 選択 レベル上昇ニ 伴ッテ 取得デキル SPヲ 使用シテ スキル ヲ 獲得可能」


 早速開いてみると、確かにいくつかのスキルツリーが見えるが、殆ど真っ黒、DEXに一個振ってみると<製作>と言うのが見えた。


 どうやら<製作>と言うのもただ取得するだけではなく、更にSPを振る事で出来る事も増えるらしい?


 まあ、今はとりあえず毒餌というのを作らねば先に進まない。早速取得してみる。


 「製作系の工房は隣で部屋をレンタルできる。初心者の内は無料だから、行ってみればいい。あと毒餌で思ったんだが、かなり空腹になってないか?定期的に食事しろよ?」


 何のことだ?と思って首をかしげると、


 「今開いてるステータスにあるだろ?それがなくなるとまともに行動できなくなるぞ。普段は少しづつしか減らんが、ダメージを負って、それを自然回復したりすると、すぐに減るから気をつけろよ」


 そう言えば、ドブネズミから貰ったダメージはどうなったんだろうと、左手の甲を見るとHPゲージが元に戻っていた。


 ちなみにHPと現実(リアル)の時間だけは一々ステータスを開かなくても手の甲を見るだけで分かるようになっている。


 課金すれば色んなデザインの時計とHPゲージに変えられるらしいが、現状自分はそこまでお金を費やせないので、デフォルトのままだ。そんな事より問題は、空腹ゲージの回復の仕方だ。


 「どうやったら回復しますか?」


 「んなもん、レストランで飯食うか、自分で作るか、パンでも何でも食べるかだな」


 そういえば、クエストでパン貰ったと思って、アイテムボックスを開き、パンを取り出す。


 「おい!店の中では食うなよ!食べかすを誰が掃除すると思ってんだ!」


 言われてみればその通りなので、食べるのは外に出てからにしよう。


 と、言う訳で隣の建物に入ると、何やら幾つも扉の並ぶ変な建物だった。


 「工房のレンタルですか?初心者は無料ですよ!」


 あっさりと、少年風のNPCに言われ、空き部屋に連れ込まれた。


 そこには何やら炉のような物から製図板?ノコギリに、謎の台とあらゆる物がゴチャッと置いてある。


 その中でも、あからさまにキッチンと分る場所に包丁があり、思わず手にとって眺めてしまう。


 すると、意図してないウインドウが目の前のまな板の前に表示された。


 『何を作りますか?』


 音もなく、ただ無機質な文字の質問に『毒餌』と答えると、ソレデハ肉と毒を提示してください。


 その表示にそう言えば、肉を拾ったなと思い出し、アイテムボックスから取り出すと、その肉を使って作れるであろうリストが並び、『餌』というのがあったので、そのままそれを選択。


 肉は、ミンチ肉へと変わり、更にそれを団子状に固めた物が、餌だそうな。


 さて、次の問題は毒をどこで拾ってくるかだ。


 とりあえず、餌へと変わった肉団子が三つ出来たので、アイテムボックスにしまって、誰か話を聞けそうな人を探す為、次は試射場に行ってみる事にする。

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