聖騎士副団長ウィークスの悩み(5)
聖騎士副団長ウィークスの悩み(5)
聖騎士副団長ウィークスは
ポーカーフェイスである。
37歳、女性、独身。
聖騎士国内において序列2位である。
いま目の前には聖霊エインセルが
ウィークスに抱きついている。
(初めてのハグが聖霊………)
「ウィークスは好きな人はいるの?」
聖霊エインセルが聞いてくる。
「いません」
「どんな人がタイプなの?」
「特にありません」
ウィークスはそっけなく答えてしまう。
「ダメ!僕の言うことは聞くの!」
エインセルはウィークス1日好きにし放題券を
フルに活用しようとしている。
「派手ではない堅実な人です。
それでいて筋が通っている人です」
「そんな人って今までいたの?」
「いませんでした」
ウィークスは嘘をつく。
ウィークスは聖騎士団長が好きだった。
といっても満月が転生する前の
団長のことである。
ウィークスは身の丈をよく知っている。
団長には許嫁デイズが存在していることを。
「ウィークスは嘘ついてるね」
エインセルの隣にはみたことのない
聖霊がいる。
「エインセル様、
隣にいるのはどなたですか?」
「僕の友達で本当のことを
知りたい時には呼ぶんだよね。
彼の名前はウンディーネ。
これからどこかで会うかもね」
「初めまして、ウンディーネ様」
「こんにちわ。あなたも大変ね。
エインセルに目をつけられるなんて」
「ウンディーネ、ウィークスの本音教えて」
「彼女は聖騎士団長が好きですね。
立場を弁えてるので隠してますが」
「なっ!そんなことはありません」
ウィークスは慌てて否定をする。
「さらに、エインセルがウィークスの胸を
褒めたことに対して喜んでますね。
ウィークス曰く、ミニウィークスが
万歳しているみたいです」
「勝手なことを言わないでください」
ウィークスは声を荒げる。
「聖霊には相手の心が読み取れる
聖霊もいるから気をつけてね。
まっ、気をつけようもないけど」
エインセルは今起きている状況を
ウィークスに教えてあげた。
「なのでウィークス、隠し事しても
すぐにバレるよ」
「わかりました。
ここでは隠し事ができませんね。
とりあえず何事にも
反応しないようにします
そうすれば心を読むこともできませんね」
ウィークスは何も考えないことを
決意する。
「ウィークスは実は団長が好きだって?」
エインセルはウィークスに
ちょっかいをかける。
「………」
ウィークスは無反応を貫く。
「ウィークスはポンコツだって
聞いたことあるよ?」
……… ……… ………
ウィークスの心の中は無風である。
……… ……… ………
「ウィークスの胸は小さくない!」
エインセルははっきりと大声で話す。
「……… ……… ………」
ウィークスは無言を貫く。
ウンディーネが声を発する。
「ウィークスの心の中では
いま、ミニウィークスが大宴会で
盛り上がっています」
「やはり、これには反応したね」
ウィークスはポーカーフェイスであるが、
ポンコツでもある。
本編をお読みいただけるとリンクしているので
さらに楽しめると思います(*゜▽゜*)