OLサツキ、初級編二日目午後開始
アルバ蜥蜴を焼いた肉は、非常に美味しかった。最高の昼食だった。
その雰囲気を除いては。
「さ、リアム! 俺と前衛に行こうか!」
「う、うん! 男らしくなる為には、まず戦闘だよね!」
にっこにこのアールがリアムの腕をぐいぐい引っ張っていくが、そこにいやらしさは感じられない。常日頃そういった目でやたらと見られてきたサツキには、その違いはよく分かった。
こいつは本当に、何も考えていない。
「ちょっとユラ、あれどう思う?」
ウルスラの不機嫌そうな声が背中に刺さる。思い切り聞こえている。多分、わざと聞こえる様に言っている。仕方ないじゃないか、ここにいるユラよりまともな男はアールだけなのだから。
「お互い分かってないみたいだし、放っとけばいいんじゃね?」
「まあね、そこが救いではあるわよね」
それについては何のことだか分からないので、サツキは無視することにした。スライム少女は、アールとサツキの間を楽しそうに擦って歩いている。
アールの講釈が始まった。
「いいかリアム。あ、サツキって呼んだ方がいい?」
「どうせならサツキの方がいいかな。リアムって呼ばれると、未熟者の私でごめんなさいってつい思っちゃうから」
「そんなの気にすることないのに。でも分かった、じゃあ今からサツキな!」
「うん!」
こうしてみると、アールはとても気のいい男だ。ネチネチしてないし、嫌味も言わないし、仲間思いだし。あ、全部ユラの否定になっていた。
「じゃあ改めて。サツキ!」
「はい、先生!」
後ろから、「先生だってよ」「見てあのアールの得意げな顔」とか言う声が聞こえるが、気にしない気にしない。
「まずはその喋り方。とにかく女っぽい。リアムは自分のこと何て呼んでたっけ? えーと」
「私」
ウルスラが助け舟を出した。
「そう、私って言ってたけど、サツキはリアムじゃない! だからさ、ここは格好良く俺みたいに俺って言ってみよう!」
「えー……アールと一緒はやだなあ」
「ウルスラうるさい!」
アールと一緒云々は別にいいのだが、いきなり俺、はハードルが高い。
「だってさ、私、だと、あのかったーいリアムの口調を思い出すんだよ」
アールよ、そんな嫌そうに言わないで欲しい。
「じゃ、じゃあせめて、……僕?」
「はううううっ!」
背後からウルスラの何か変な声が聞こえてきた。アールは親指をぐっと出してウインクをしている。
「じゃあサツキは今度から自分のことを僕、と呼ぶこと!」
「はい!」
そんな呑気な話をしていると、次の敵が現れた。今度もまたアルバ蜥蜴だ。そしてやはり光り方が半端なく派手である。
すると、アールが言った。
「よおし! じゃあサツキ! 一人で倒してみるんだ!」
「はい! ……ええええええっ!?」
アール先生のいきなりの無茶振りに、サツキは思わずアールを二度見したのだった。
次回はリアムバージョン、連投します。




