OLサツキ、初級編二日目の宣言
ウルスラが、えへ、と笑った。
「私はリアムのこと好きだけど、でも何ていうか二人の言うこともよく分かるっていうか」
お前もか。サツキは愕然とした。これが一緒にドラゴンを倒した仲間に言う言葉だろうか。
「というか、全く相手にされてなかったのよ、私」
しみじみと腕組みなんぞしながら頷いている。まあリアムとウルスラではそこそこ年齢差がある。どうも話を聞いている限りリアムはかなり真面目そうな人間だった様なので、娘程とはいかないまでもかなりの年下の女性とそういう風には考えにくかったのかもしれない。
「だからそのお、サツキになってから、実は一気に心の距離が近付いたというか、その」
照れた様に笑いながら指をもじもじさせている。可愛らしい仕草ではあるが、この場合恐らく狙われているのは自分だ。だが何だろう、この他人事感は。
「えーとつまり、ウルスラも別に本物のリアムじゃなくてもいい……ってこと?」
「だって、あのリアムならきっとどこにいようが真っ直ぐに周りなんて関係なく突き進んで行くだろうし」
何だかどんどんリアムのイメージが崩れてきた。いや待て、そんなずんずん突き進む様な性格のリアムがサツキ本体に入っているとしたら、一体今頃どんなことになっているのか。考えたくなかった。
うん、これは戻らない方がいい。リアムが歩いた後を歩くのは、サツキには無理だ。
覚悟は決まった。
「皆ありがとう。そうしたら、私はこの先リアムとして頑張ります!」
「頑張ってサツキ!」
「よっ男前!」
「いいねいいねー」
「えへ、ありがと」
パーティー全員の拍手の元受け入れられたので、サツキはホッとした。そしてもう一つ問題が残っている。
「ということを踏まえて、アールとユラにははっきりと言っておきます!」
「まだあるの? 俺そろそろ頭がパンクしそう」
「お腹空いたなあ」
こいつらは、やはりちょっとあれだ。
「これは大事なことなの! 私はリアムとして生きていく以上、男として生きていきたいの! もう女なんてうんざり!」
「えっ駄目だよ!」
アールが即座に反応する。
「俺はまあ、実物が前にさえいなければ別に」
身体目当てのユラが言い切った。
「お風呂の時とか、そりゃ仕方なく女の姿になる時はあると思うけど、もう私を女として見ないで!」
「そ、そんなあ……」
アールが泣き始めた。ユラがポン、と肩を叩いて慰めている風だが、顔が笑っている。
「次に襲おうとかしたら、燃やします」
「さすがサツキ! いい覚悟ね!」
ウルスラが褒めた。
いつか、そういつか本当にサツキが心の底から自分が男だと思えたら、その時は何とかしてリアムに伝えるのだ。こっちはもう大丈夫だから、そっちを宜しく、と。
その日を目指し。
「頑張る!」
「いいねいいねー。さ、朝ごはんにしよう」
適当に拍手をしたユラが、手に持った怪しげな食材らしき物を掲げて見せた。
次回はリアムバージョン。




