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魔術師リアムと庇護者

昨夜は寝落ちしました。すみません!


挿絵(By みてみん)

 祐介の背後で繋がれた手の力が強過ぎて、前の様子が気になるが確認することが出来ない。半袖の下に伸びる腕には筋が浮かび上がり、リアムを背中に隠そうと必死なのが分かった。


 何か非常に拙い事態が起きているに違いない。この警戒の仕方は、パーティーの仲間にグール(死体喰い)が紛れ込み誰がグールかと疑心暗鬼になった時に覚えた緊張感と同じだ。あれは大変だったな、とリアムはしみじみと思い出す。


「何って、散歩だよ散歩」


 羽田(はだ)と呼ばれた中年男性が明るい声で答えるが、対する祐介の声は低いままだ。


「羽田さん、家この辺じゃないですよね?」

「休日出勤して、仕事が終わったから歩いてたらここに着いたんだよ」

「へえ」

「山岸こそ、昨日十時まで会社にいた癖に早起きじゃん」

「いつもこんなものです」


 どうやら同じ職場の人間らしい。そして祐介が警戒する位だ、何かある人物なのだろう。


 リアムが息を潜め隠れていると、羽田が尋ねた。


「あれー? 山岸、後ろの子誰? 彼女? あれ、お前彼女いないって言ってたの、あれ嘘?」

「……ちょっと忙しいんで、また」

「彼女の顔、ちょっと見せてよお」

「失礼します」

「隠すなよ!」


 急に羽田が声を荒げ、祐介の肩を前に引っ張りリアムの顔を覗き込んできた。なんて強引な奴だ。


 リアムと男の目が、合った。何とも冴えないむさい親父だ。リアム本体と同じ位の年齢だろうが、顔色は茶色くあちこちが弛んでいる。鍛錬が足りないのだろう。


 そして言った。


「……やーっぱりね、怪しいと思ってたんだよな」

「行こう」


 祐介は羽田を無視し、背中のリアムを庇いながら道を塞ぐ羽田を避けて前に進む。


「サツキちゃんいくらチャイム押しても出ないからさあ」


 羽田がニヤニヤとしながら続けた。


「あーそっか! 木佐ちゃん、山岸のファンだもんな! サツキちゃんが虐められない様に隠してたって訳か! 納得!」


 背後で羽田が喚き続ける。ぐいぐいリアムを引っ張る祐介の顔は、本当に怖かった。


「ゆ、祐介、痛い」

「我慢して」

「あの男は職場の人間なのだろう? 無視して大丈夫なのか?」

「あいつ、サツキちゃんちまで行ってた」

「へ? あ、ああ、その様なことを言っていたな」


 リアムには関係がよく分からないので、いい悪いも判断出来ない。


「木佐ちゃんに喋ったらどうなるかなー?」


 明確な悪意が篭った羽田のその言葉に、祐介のきつく結ばれた唇が震えながら開いた。


「どうぞ、ご自由に」

「へえー! じゃあそうさせてもらおうかなあ!」


 リアムが祐介と背後の羽田を交互に見ていると。


 祐介が手をぱっと離したと思うと、リアムの頭をぐいっと引き寄せた。


「見なくていい」

「お、おお、承知した」


 背後に視線を感じたまま、リアム達は無言で家へと向かった。

次回はサツキバージョンです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 人間関係がなかなか大変なところにリアムさん飛ばされてるみたいですな! ハードモードが始まっちゃう予感?
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