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OLサツキ、腹が減らない

臭いのってきついですよね。


挿絵(By みてみん)

 頬をペチペチと叩かれ、サツキはハッと目を覚ました。ウルスラが切羽詰まった表情でサツキを見ている。


「あ、ごめん、匂いにやられて……」


 あれ? とサツキは自分の腕を見ると、いつの間にかリアムの姿に戻っている。ゴルガーラ蜥蜴(とかげ)の唾液が付いたズボンはいつの間にか脱がされ、下は下着一枚になっていた。幸い上は無事だった様でシャツを着たままだ。


「よかったサツキ! 気絶した途端イルミナの魔法が解けちゃって、お腹にズボンが食い込んでるし臭いし吐くしで大変だったのよ!」

「気絶すると、解けちゃうんだ……」


 ウルスラが真剣な表情で頷いた。


「ここは女人禁制なのよ! 何とか誤魔化してニーナ達が来ない様に食い止めてるけどもう時間の問題だったし、焦ったああ!」


 知らない間に苦労をかけたらしい。


「あ、じゃあイルミナをまたかけようか」

「イルミナは一日一回しか使えないのよ!」

「え……じゃあ」

「フルールアレで私の部屋に今すぐ飛んで!」

「わ、分かった! フルールアレ! ウルスラの部屋へ!」


 気絶していても握っていた杖の先端が光ると、二人は先程後にしたウルスラの部屋へと飛んだ。


 ウルスラは立ち上がると、急ぎドアを閉め鍵をかけた。ずるずる、とドアにもたれかかりようやく肩の力を抜いた。


「ふう、間に合った〜」

「な、何かごめんなさい」


 サツキが謝ると、ウルスラがひらひらと手を振って笑った。


「ろくに説明もしなかったし、こっちこそごめん」


 ウルスラは優しいな、サツキもほっとして笑うと。


「ウルスラ!? 何でまた部屋に戻ってるの!? ちょっとどうなったのか話を……」

「げ! ニーナだ!」

「えっわっ私どうしよう!?」


 サツキは立ち上がるとアワアワする。


「服を持って帰ったらここには暫く用はないから、そうね……あれを着て死んだふりをしてて!」


 ウルスラがビシッと指差した先には、例のどぎついカラーのイエティの毛皮。


 あれを着るのか? というか、臭うって言ってなかった?


 ひく、と顔を引き攣らせると、サツキは一歩後ろへと下がる。


「ほら! 私と一緒がいいんでしょ!」

「はっ! そうよ! 頼んだのは私なのに!」

「じゃあ早く着る!」

「ウルスラー? どうしたのー?」

「今着替えてるのよ!」

「早めにね! 寮長がイライラしてるのよ!」

「ったくあのクソババア……ほら! 早く!」

「はい!」


 サツキは急ぎハンガーから薄紫に赤の水玉の毒を持ってそうな毛皮を剥ぎ取ると、足を突っ込んだ。途端、モワンと舞い上がるなんとも言えない悪臭。


「……おえっ」


 もう今日は、何も食べれないかもしれない。


 サツキは半泣きになりながら頭まで毛皮を着ると、クローゼットの中に寝転び死んだふりを始めた。

次回はリアムバージョン!

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