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OLサツキの中級編二日目、春祭り終了

挿絵(By みてみん)

 リアムの家の周辺は閑散としていた。魔術師達は、あまり地域の発展には興味がないのかもしれない。


「あの、ここ」


 サツキがリアムの家を指差した。玄関のドアノブの上にいるドラちゃんが、ちろりと小さな火を吐く。


「ドラちゃんただいま」


 ラムがドラちゃんに寄って行くと頭を撫でる。ドラちゃんがでれっとなった。


 ユラは郵便受けをじーっと見、次いで顔をパァッと輝かせた。


「やっぱりここ、マグノリアの家だ!」

「え? そうなの?」

「ほらサツキ、この郵便受け見てみろよ! マグノリア・カッセって書いてあるだろ!」


 ユラに呼び寄せられて郵便受けに行くが、そこには何も書いてない。


「ユラ、何も書いてないよ」

「え?」


 ユラが目を擦った。郵便受けを見て、今度はサツキを見た。


「あー、うん。書いてあった。正確には」

「へ?」

「リアムの中では、ここはずっとマグノリアの家だったんだなあ……」


 ユラはしみじみと家を見上げているが、サツキにはさっぱり意味が分からない。


「あのお……」

「あ、悪い。浸っちまった、はは」

「うん、まあいいけど」


 浸る程マグノリアに憧れていたのは分かった。いつも斜に構えたユラがこういう風に夢中になるのを見るのは、これまでの行動に問題が多々あったとはいえ、まあいいものだ。普通に可愛らしいし。


「ユラ、送ってくれてありがとう」


 今度はきちんとお礼を言った。ユラが笑顔になる。


「どういたしまして。明日、鑑定士のところはサツキのメタモラが解けてから行った方がいいと思う。メタモラが解けるのは午後だよな?」


 爆睡してたので正確には何時位か分からないが、日は高かったからそうだろう。


「そうしたら、午前中にサツキの内に服を返しに行こうかな」


 リアムの姿で行ってしまってはおかしなことになりそうだし。


「ラムは置いていこうかな。またあの人が居てもだし……」


 サツキ一人なら誤魔化せても、ラムはかなり特徴的で目立つ。それが少し心配だった。


 すると、ユラが突然言い出した。


「俺も行くよ」

「え?」

「また昨日みたいなことあると嫌だろ? 俺なら奴の顔分かるし」


 確かにそれはありがたい。だが、面倒臭がりのユラが一体どういった風の吹き回しだろうか。


 答えはすぐに判明した。


「だからさ、その後マグノリア邸を見せてくれない?」


 ユラにしてはおかしい位に目がキラキラしている。本当に憧れの人なんだな、そう思うと否定など出来なかった。


「うん」

「おっしゃああ!」


 ユラが今にも飛び跳ねそうな位はしゃいでいる。意外過ぎて驚くと共に、可愛いな、とまたしても思ってしまった。そう、これはアイドル達が物事にひたすら熱心に取り組む姿に覚える可愛さと一緒だ。さすがイケメン。


「じゃあ明日、午前中に」

「起きたらすぐ行くから」

「はは、分かった」


 サツキがドアを開け中に入ろうとすると、ユラがドアを手で押さえた。


「サツキ、おやすみ」


 キョロキョロと家の中を見ている。本当に見たいんだろう。


「うん、また明日。今日は色々とありがとうね」


 あれこれあったはあったが。


 すると。


「ちゃんと戸締りしろよ」


 そう言うと、ユラが軽く口にキスを残し、手を振りながらドアを閉めた。


「……え?」


 ドアが、パタン、と音を立てて閉まった。

次回はリアムバージョン。

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