OLサツキの中級編二日目、春祭りからの帰還
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サツキは半ば混乱した状態で、ユラの腕を掴まされて且つその上から手で押さえられて引きずられていた。そのユラの腕には、ラムが乗っている。ラムは何事が起きたのかを見ていない。なので、可哀想に、彼女もとても困惑している様だった。ユラとサツキを交互に見ては、どうしたの? という顔をしている。
「ちょっとやり過ぎた」
ユラがラムにそう言っているのが聞こえた。ちょっと? あれがちょっとだと? 人のファーストキスを奪っておいて、しかも合計四回もしておいて、ちょっと?
「酒って怖いよな」
同意を求められた。サツキは唖然とするしかなかった。
「まあでも飲みたいって言ったのサツキだし、俺はほら、それに付き合っただけというか」
いやまあそうだけども。確かに飲みたいとは言った。でもユラが一杯なら大丈夫と言ったから飲んでみたんだけど。何故さもサツキの所為の様な言い方をされているのだろうか。不可解だった。
ユラがサツキの顔をラムを避けながら覗き込んで、聞いた。
「どうだった? 初めてのキスの味は」
「それは聞いちゃ駄目なやつ!」
思わず大きな声が出た。辺りの人がびっくりしてこちらを見ている。ああ、穴があったら飛び込みたい。もういっそのことここでメテオを唱えて穴開けまくってやろうか。
「……そんなに怒らなくてもいいだろ、減るもんじゃないし」
「減った……何か大事なものが減った……」
「俺は久々だったからちょっとホクホクが増えたかな」
かな、じゃねえ。ホクホクってなんだ、ホクホクって。
「ほらサツキ、元気だしてさ、広場に着くぞ」
「昨日見た」
「つれねえなあ。俺は昨日は見てないんだよ」
「祭りは不参加なんじゃなかったっけ」
「ここまで来ておいてそれ言うか?」
「……見る」
昨日は中央広場にアールとアールの両親がいたので、邪魔しては悪いと思って早々に立ち去ってしまった。だから正直まだそこまでしっかりとは楽しんではいなかったのは事実だ。
中央広場は昨日よりは人が少なく、心なしかカップルが多い様な。それを眺めて、ユラが言った。
「昨日の内に出来上がった奴らかな」
「言い方」
「だってまあそういう目的の祭りだからなあ」
「目的完全にそれ?」
花の中を進んでいく。むせ返るような花の匂いに、まさかこの中にラーメニアの花は混ざっていないだろうな、と不安を覚えた。でも何となく聞きたくない。
「この花祭りは地域の発展の為に開催される祭りなんだよ。地域の発展てことは要するに、産めよ増やせよだ。人口が増えれば街は活発になるからな」
もう何も言い返せなかった。だからって媚薬入りの酒を配るのか? 自治体が?
ぐるりと歩き終わり、広場を出ると、ユラが尋ねてきた。
「なあ、サツキんちっていうかリアムんちって、もしかしてマグノリア・カッセの家だったりするのか?」
「どうなんだろう? 広い家だったけど。本だらけで」
「表札なかった?」
「分かんないなあ」
そういえば一人で住むには随分と広い家だ。
「表札見てみよう」
ユラがわくわくしてそうな表情で言った。
次回はリアムバージョン。




