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OLサツキの中級編二日目、春祭り再チャレンジへ

挿絵(By みてみん)

 サツキは、ベッドからそっと足を降ろした。サラサラの法衣がスルリと滑り落ち、慌てて拾おうとし、それよりも先にパンツを履いてしまおうと思い急いで履いた。


 これまでの人生、パンツを履けと男にパンツを手渡されたことなどない。ユラの笑顔に見惚れてなければ、本当にメテオを降らしたくなっていたかもしれなかった。


 だが、ずっと裸のサツキにユラは何もしなかった。口では何だかんだ言うが、直接何かされたことはそういえば一度もない。


 サツキはベッドの柵に掛けてあった黒のドレスを着る。背中のボタンが大変そうだが、頑張ってみよう。ボタンを一つずつ止めながら、サツキはぼんやりと考えてみた。


 サツキはそもそもリアムという男の身体が本体だ。そもそもが男なのに何かしたいなど、ユラみたいな人間は思わないのかもしれない。アールはそれすら関係なさそうで正直引いたが。そう、そのアールだ。ユラはアールが好きなんだから、だからアールがちょっかいを出すサツキを快く思っていなかった、と思う。だけどウルスラと揉めた一件があって、サツキと協力してモンスターを退治して。あれ、でもアールも男だ。よくわからないが、でも。


 少しは仲間として打ち解けた、そういうことなんだろうか。


 何だかボタンがずれてる気がする。でも見えないし分からないので、とりあえずリボンを結ぶことにした。


 つまり、ユラは皮肉屋だからあれこれ言うけど、サツキに害を与える様なことはしないだろう、そういうことだ。


「なんだ……私、警戒し過ぎてて失礼だったかな……」


 これまで余りにも痴漢まがいの被害に遭いすぎて、仲間ですらも信じる気持ちがなくなっていた様だ。ユラは仲間なのに、信じてもらえないんじゃそれは面白くもないだろう。


 リボンを結び終わったので、ラムの着付けに移らなければ。


「あ、その前に」


 ユラが枕元に置いていったかんざしをくるくるっと巻いた髪に差し、片方のイヤリングもつける。


「えーと、メタモラ! 野原サツキ!」


 呪文を唱えたが、当然のことながら何も変わらない。ただ、体内の魔力がぐっと減ったのが分かった。昨日よりもかなりはっきりと分かった。これも成長の一つかもしれない。


「はい、じゃあ次ラムちゃんね」


 ラムがぴょんぴょんと跳ねるのを微笑ましく見る。この子のお陰で、この子が昨日ユラを呼んでくれたお陰でサツキは無事だったのだ。


 着付けをしながら、サツキは言った。


「ラムちゃん、昨日は助けてくれてありがとう」


 ラムが可愛らしくニコッとして、サツキの後ろを指差す。


「ん?」


 ユラが部屋に入ってくるところだった。ユラも着替えており、いつもの白い法衣ではなくサラッとした紺色のシャツを着ていた。やはりイケメン、様になる。


「声したから、もういいと思って」


 ユラが言った。


 そして気が付いた。まだ、お礼を言っていない。昨日はいきなり助けを求められて、訳が分からなかっただろうに。猫になったサツキを戻してくれて、気を失ったサツキを連れて帰ってくれて。


「ユラ、あの、助けてくれてありがとう!」

「あ、お礼ようやく言われた」


 ユラがにやっと笑った。

次回はリアムバージョン。

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