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OLサツキの初級編三日目は変な雰囲気

挿絵(By みてみん)

 ユラはぶすっとしたまま、何も言ってくれない。


「ユラ? 何か問題あるなら言ってよ」


 ウルスラが呆れた顔で言う。アールに腕を捻られているユラは、アールを睨みつけると言った。


「離せよ」

「あ、うん」


 アールは素直に離した。ふう、とウルスラが溜息をつく。


「でも何か調子悪そうなのは確かみたいね。いつものあんたじゃないもん」

「……サツキの魔力を回復したら、一気に最下層まで行かせてくれ。今日は帰りたい」

「……分かった。そうしようか」


 いてて、とユラは起き上がると、レアものが落としたアイテムを探した。


「……ないか、残念」

「やっぱり二つ名があると違うんだろうけどねえ」

「まあそれは後の話だな。サツキ、回復するからこっち来い」


 ユラが手招きしたので、もう落ち着いていたサツキはユラの元に駆け足で向かった。ユラが両手を出す。


「手を」

「あ、はい」


 向かい合い、両手を握る。何だか照れくさい。すると、ユラが小さな声で言った。


「……悪かったな、苛ついてて、お前のことまで考えなかった」

「あ、いや、はい、うん」

「次は気を付ける」

「私……じゃない、僕も、次までにはもっと呪文を覚えるから」

「ああ、頼む」


 ようやくユラの苛つきが治まった様で、サツキはほっとした。すると、ユラがサツキを見て苦笑する。


「全く……」

「? 何?」

「何でもねえよ。ほら、目を閉じて心を楽にする。余計なこと考えるな」

「は、はい!」


 サツキが目を閉じると、ユラが呪文を唱え始めた。


「この者に精霊の力を注げ、エレ・イリカ・ヴェール!」


 すると、ユラの手を通して、何か温かいものがサツキに流れ込んでくる。それが空に近くなっていた身体の中のエネルギーの様なものを、少しずつ満たしていく感覚だ。


 このエネルギーみたいなのが魔力なのだ。どんどん身体に満ちてくる。


「――はい、おしまい」


 ユラが手を離した。サツキはそっと目を開ける。


「回復したの、分かった」

「お? じゃあ少し魔力がどれか分かってきたのかもな。徐々に慣れるよ。慣れてくると、自分の魔力残量も何となく感覚で分かるようになってくるから」

「そうなんだ……」


 ユラがウルスラ達に向き直った。


「じゃあ悪いけど、次のフロアから飛ばせてもらうよ」

「じゃあ、私とアールが前衛に戻るから」

「分かった」


 目を指で押さえながら、ユラが後衛についた。横目で盗み見る。やはり少し心配だ。大丈夫だろうか。


 すると、ユラがサツキを見て笑った。


「なーに心配してんだよ。大丈夫だって」

「え、私心配なんて思ってないし」

「嘘つけ」


 はは、とユラが笑う。顔に出さない様にしていたのに、ばれてしまった。そんなに顔に出るのかな? リアムの顔をもう少し研究した方がよさそうだった。


「さ、行きましょ」


 一行は、次のフロアの転移魔法陣目指して進み始めた。

次回はリアムバージョン。

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