↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
117/728

魔術師リアム、初級編三日目の午前開始

挿絵(By みてみん)

 祐介がベッドにうつ伏せになり目隠しをしている間に、リアムはとうとう自分一人の力でブラジャーを着けることに成功した。昨日祐介に言われたやり方でやってみたところ、あっさりと出来たのだ。


「着れた……着れたぞ!」

「サツキちゃん、想像しちゃうから黙ってようか」

「あ……済まぬ」

「うん」


 先程祐介に叱られた後から、どうも祐介の発言が大分直接的になってきた様だ。リアムが呑気にしている間、気付かぬ内に祐介は我慢を強いられてきたのだろう。恐るべしサツキの悩殺力。リアムがあまり意識せずやっていることで、祐介を困らせていることがあるのかもしれない。


 服を着ると、ベッドに腰掛け祐介の前髪を掬う。片目が合った。


「祐介、着替えたぞ。待たせたな」

「……うん」


 祐介が起き上がったので、リアムは直接尋ねることにした。


「祐介、私はどうも無頓着の様でな、恋人なる者も殆どいた試しがなかったので、いまいち男女のそういったことが分からん」

「いきなり何言ってんの」

「勿論経験はあるがな、娼館ではなかなか次もまた来いと言われず、結構傷ついたものだ」

「これ何? 何始まったの?」

「一般の女性でも好いてくれる者はいたが、先日話した様にやや特殊な傾向の者に好かれることが多くてな」

「血文字とか」

「そう、そういうのだ。だから積極的な女性は少々怖かった。ははは」

「笑ってるよこの人」

「なのでな、祐介」

「はい」

「私がどうすると、祐介は欲情してしまうのだ?」

「これ何の拷問?」


 リアムは真剣な眼差しで祐介の両肩に手を乗せ、言った。


「遠慮なく言ってくれ、祐介」

「勘弁して」

「遠慮しなくていいのだぞ?」

「遠慮させて下さい、お願いします」


 祐介は頑なだ。リアムは首を傾げた。


「もしや……性癖が特殊なのか?」

「特殊……」


 祐介が頬を引き攣らせた。この表情。きっとそうなのだろう。であれば言いにくいのも仕方あるまい。リアムはうんうんと頷いた。


「分かった、余程言いにくいことなのであれば仕方ない。私もなるべく祐介を刺激しない様には心がけるが、如何せん無意識にやってしまうこともあるだろうから、その時は遠慮せず言って欲しい」


 祐介は頭を抱えてしまっている。前髪を手で退かすと、赤い顔が出てきた。


「済まなかった、元気を出してくれ」

「とっても元気ですけど」

「そうか、ならば今日も一日宜しく頼むぞ」

「はいはい」


 ようやく祐介に笑顔が戻った。祐介が立ち上がる。


「職場の人の写真がうちにあるから、うちで説明するよ。パソコンの使い方も、会社のとちょっと違うけど大体一緒だから、うちのを触ってみて」

「うむ……じゃない、はい」


 祐介が玄関の扉を開け周囲を確認すると、あ、と言ってリアムを振り返った。


「やっぱり、特殊かもね」

「うん?」

「僕の性癖。確かに言われてみれば特殊。教えないけど」


 逆光の中、最高級の笑顔を見せる祐介だった。

次回はサツキバージョンです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。