17. ライツェント王国を散策
ホテルに到着すると、私達が取った部屋、最上階のロイヤルルームへと入る。広い4部屋が扉を挟んで続きとなっている、このホテルで一番豪華な部屋だ。一泊の料金がいくらするのか考えたくもないが、ロイヤルルームと名が付くだけあって、この国を訪れた王族がこのホテルを使う場合は、例外なくこの部屋にチェックインするらしい。なので、アンデッド王国の権威を示す為にも、「もったいないから別の部屋にして?」とは言えない。
エミリや護衛の騎士らは、私がこの部屋に泊まるのは当然だと思っていて、発着場から街へ入った直後、さっさと宿泊の手続きをしてしまった。その時は急いでいたので、さっとシャワーを浴びて部屋から飛び出したが、こうして改めてじっくり部屋の中を眺めると、調度品など、いかにも高級な家具や装飾品が置かれている。アンデッド王国が昔のように貧乏なままだったら、今回のような優雅な空の旅や、こんな豪華な部屋に泊まることもなかっただろうね。
大きなベッドが置いてある一番奥の部屋には、備え付けの広いバスルームがあり、ここが今夜の私の寝室になる。エミリは慣れた手つきで湯を張ったバスタブの中にアンデッド向けの保湿除菌消臭成分入り入浴剤を投入した。
用意してもらった黄緑色の湯に浸かりながら、先ほど見かけたコウモリの事を考える。
シンマーの控室を出てすぐに気づいた私は、コウモリの後を追おうとした。だが、廊下にあった小さな窓から、あっという間に外へと飛び去ってしまい、それ以上追う事は出来なかった。
あのコウモリの正体はきっと…
すぐに声を掛けていたら、彼は正体を現し、話をしてくれただろうか。
いくら考えても、過ぎてしまった事はどうしようもない。明日、街を少し探索して、何も成果が得られなければ、アンデッド王国に戻ろうと思う。
湯から上がると、自身のピンクの通信機に登録したシンマーの連絡先を表示させる。今回の一番の目的である、「シンマーとお近づきになる」という目標は達成出来たんだしね。今回は、これでよしとしよう。
すると、手に持った通信機に着信があった。表示を見ると、なんとシンマーからだ!
私は慌てて通話ボタンを押す。
「あ、王女様? もう寝ちゃってた?」
シンマーの美しい声が、私の通信機から聞こえる。興奮を抑えながら、なるべく平常心で答える。
「い、いえ、大丈夫ですわ。今、お風呂から上がったところです」
「え!? お、お風呂!? …そう、じゃあ、まだ服も着ていないのかしら…?」
シンマーはなぜか動揺したかのように声が乱れた。しばらくの沈黙の後、戸惑うような、色っぽい声で囁く。
「…ねえ、明日、半日だけお休みをもらったの。ちょっと朝早いんだけど、私に付き合ってもらえないかな? 今日のお詫びがしたいのよ。ほら、この国に来るのは初めてだって言ってたでしょ? いろいろ案内してあげるわ」
なんと魅力的なお誘いだろうか! シンマー自らが私を案内してくれるだって!?
「まあ、本当ですか!? とっても嬉しいですわ! ぜひ、お願いしたいです!」
「ふふっ、良かった。じゃ、明日ね!」
時間と待ち合わせ場所を確認した後、シンマーはチュッとリップ音をさせて電話を切った。なんて色気駄々洩れの電話なのだろう。こんな夜中にこの声で耳元で囁かれたら、同性であっても、きっとおかしくなってしまう。
「エミリ、聞いて! シンマーが明日、街を案内してくれるんですって!」
荷物を整理していたエミリは、こちらを向くと、ムッと顔をしかめた。
「今日あった事をお忘れなく。くれぐれも油断しないでくださいね」
エミリのお小言を右から左に流しながら、私は通信機を握りしめ、うふふと笑った。今日のお詫びって言ってたし、さすがに今日の明日で危ない事はしないだろう。私の身になにかあれば、アンデッド王国が黙っていないのだし。
しかしエミリは準備万端にサングラスなんていつの間につけていたんだろう。あれは、シンマーに術をかけられる危険を想定して用意しておいたものらしい。
「部屋に入った瞬間に、悪い予感がいたしました。念の為にと用意していたものですが、まさか使う羽目になるとは私も予想しておりませんでした」
エミリは頭もいいけど、勘も鋭いんだね。さすがだ。
ベッドに横になると、久々に手足を伸ばして眠った。
翌朝、うきうきと出かける準備を整えて、シンマーとの待ち合わせ場所に移動する。
昨日の熱いコンサートが行われた会場の入り口に、シンマーは一人で立っていた。お洒落な色付き眼鏡をかけて、昨日はオレンジ色に染めていたはずの髪は、地味な茶色の髪色に変わっている。変装用のウィッグだろうか。
だが、ショートパンツからスラリと伸びた形の良い足と、只者ではない感たっぷりのオーラを見て、一目でシンマーだと分かった。
シンマーは私達の姿を認めると、大きく手を振った。
「おはよう! あら? 昨日と同じ服ね」
いきなり痛い所を突かれてしまった。
前世で弟と妹がたくさんいた私の家は、とても裕福とはいえなかった。王女に生まれ変わっても相変わらず貧乏で、子供の頃はずっと古着を着させられていた。国が裕福になって数年経ったが、貧乏性はすぐには治らない。
昨日は服屋で一人一着づつしか買わなかった。翌日の分まで買うことなど、全く頭になかった。なので、今日着ているのは、全員昨日と同じ服だ。早朝に待ち合わせをしたので、新たに買いに行く時間もない。クラシカルなドレスや騎士の服はあるが、ファッションリーダーであるシンマーは、そんな姿の私達とは行動を共にしたくないだろう。
「そうだ! ちょうどいいわ。私の知っているお店に案内するから、ついてきて!」
シンマーは私達を連れて歩き出す。
大きな建物内に入ると、そこは駅だった。通勤客が切符を手に持ち、改札口をくぐっていく。
私達アンデッド一行は目が点になった。
お恥ずかしいことにアンデッド王国には、まだ鉄道はない。近年急速に発展してきたとはいえ、専ら飛翔船での移動と、陸上は未だに馬車での移動手段しかない。
シンマーに続いて、見様見真似で切符を買う。自分でやってみたかったので、私がアンデッド4人分の切符を買った。仕組みは前世の自動券売機と似ていたので、比較的スムーズに買えた。それを見て、エミリと騎士らは「さすが姫様だ!」と感嘆の声を上げている。
それぞれが切符を手に持ち、改札口へと向かう。私は「みんなの真似をするのよ。ちゃんとやらないと、止められてしまうからね!」と、硬い表情のエミリと騎士らに忠告する。
切符は通す仕組みではなく、水色に光る魔法陣にかざす仕組みのようだ。私はシンマーに続き、切符をかざして通り抜ける。エミリと騎士らは緊張の面持ちで私の後に続いた。
無事に通り抜けホームに着くと、すでに列車が停まっていた。昔のSL機関車のような黒くてコテコテした見た目だが、形はやっぱり違う。細い光のラインがくねくねと曲がりながら車体に張り巡らされている。あれは魔石から流れる魔力なのだろうか。
シンマーは迷うことなくその車体に乗り込んだ。もっと眺めていたかったが、はぐれないよう、シンマーの後に続いて乗り込む。
「もしかして、魔道列車に乗るのは初めてだった?」
緊張の面持ちで車内を見回す私達は、慣れていないことがバレバレだ。私は笑いながら頷いた。
商業地区で降りると、たくさんのお店が居並ぶ大通りを歩いた。開店したばかりの店のショーウインドウを眺める。店の形や色は、アンデッド王国のものより派手で目を引く。売っているものも珍しい物ばかりで、キョロキョロと左右に首を動かしながらシンマーの後を子ガモのようについて歩いた。
シンマーは一軒のシックな店構えのブティックに入った。
「ここが私が贔屓にしている店よ。気に入ったのがあるといいんだけど」
店の中には奇抜なものから落ち着いた色合いの物まで、いろいろな形の服が売られていた。全体的に若向けのお店のようだが、質の良いものが揃えられている。
「ねえ、これなんていいんじゃない?」
シンマーは次々と数着手に取り、私に勧めてくる。私は「ありがとう!」と受け取ると、エミリや騎士にもそれぞれ服を買うよう指示を出し、早速試着室に入った。
試着室内で服を広げ唖然とした。
シンマーの選んでくれた服は、どれも露出が高い。今、シンマーが来ている服もショートパンツで足が丸出しなので、彼女はこういった肌が見える服が好みなのだろう。
私はその中でも、まだ一番肌が出ないであろう一着を選んで着替え出した。
「ねえ、どう、どう!?」
カーテンの向こうで、シンマーが急かしてくる。
選んだワンピースは、タックの入ったミニスカートで、背中が開くようになっている。それをジッパーではなく、紐で閉じる形をしていた。
「あ、ちょっと待ってて。今、後ろの紐を閉めてるところだから」
私がそう言うと、「じゃあ、やってあげる!」と、シンマーが試着室の中に入って来た。
「ええっ!? ちょ、ちょっと待って!」
満面の笑みを浮かべたシンマーが、恥ずかしがる私に構わず背中に回り、ぱっくり空いた背中の紐を手に取った。
「大丈夫だから、ジッとしててね…」
シンマーは眼鏡を外すと、なぜか頬を赤くして、ペロリと自身の唇を舐めた。
え!? ちょ、ちょっと、シンマーの雰囲気が怪しいんだけど…
そこへ今度は、エミリまでもが試着室の中に乱入してきた。
「わたくしがやりますので、結構です! どいてください!」
エミリはシンマーをグイグイと押しのける。シンマーは譲らないとばかりにエミリの肩を突き飛ばした。
「なによ、私がやるって言ってるの! 入って来ないで!」
「いいえ、わたくしの仕事ですので! 姫様にむやみに触らないでくださいませ!」
シンマーとエミリは狭い試着室の中で掴み合いの喧嘩を始めた。
「ちょ、ちょっと止めなさいよ、二人とも!」
「姫様、大丈夫ですか!」
「どうされましたか!?」
騎士二人が試着室のカーテンを開ける。
「うわっ、何!? いきなり開けないでよ!」
背中の紐が閉められないせいで、とても人前に出られる姿ではない。
騎士は取っ組み合いを続けるシンマーとエミリを止めようとしながらも、頬をピンクに染めて、私の姿をチラチラと見ている。
貴様らー、許さんぞー! 後で覚えておけー!
結局、シンマーの選んだ服はすべて却下し、真っ赤なゆったりしたブラウスと、膝丈の黒いキュロットスカートに決めた。黒も鮮血が目立たなくて大変に優秀な色だ。
服を着替えた後は、ブラブラと街を見て歩く。シンマーが休みの日は、こうしてウインドウショッピングを楽しむのだそうだ。
気になるお店があると、そこへ入ってお土産を選んだ。私がお土産をあげるのは、両親とマテウスくらいしかいない。貴族のお嬢様たちとは少しは交流があるものの、どうせ数年したら国外追放になるのだし…と思って、あまり深い仲を築いてこなかった。改めて友達のいないボッチなのだと気づく。
ああ、でも、マテウスはエミリからのお土産があるから、私からはいらないかもしれない。ということは、両親しか渡す人がいなくなる。それは、いくらなんでもめっちゃ寂しい。
そうだ! ディカフェス先生やコールドウェル侯爵と夫人、そしてアンデッド王国に貢献してくれたスティーバさんにもお土産を買って行こう! アリサにも買っていきたいが、メイドは大勢いるので、アリサにだけ渡すと他のメイドからのやっかみがありそう。残念だが諦めよう。
この国の人達は派手な色が好みのようで、奇抜な色の品々を見ていると、目がチカチカしてくる。アンデッド王国にはない色目なので、一つもらう分には珍しくて良いだろう。
お母様とコールドウェル夫人にはデザイン違いの髪飾りを、コールドウェル侯爵とお父様、そしてディカフェス先生には比較的地味な色合いの模様の入った万年筆を買った。
コールドウェル侯爵と夫人にあげてマテウスが何もなしでは拗ねるだろうか。私は少し考えてから、マテウスにも万年筆を買っていくことにする。彼は若いので真っ赤な下地に金色の模様が入ったものにした。
さて、スティーバさんへのお土産が悩みどころだ。彼は商人なので世界各地を回っている。当然ここライツェント王国を訪れたこともあるだろう。彼には何を送っても物珍しくないかもしれない。というか、現金を渡すのが一番喜びそうだ。
「ねえ、シンマー。商人は何をあげれば喜ぶと思う?」
「え!? まさか、あなたの恋人は商人なの!?」
シンマーは驚いた顔をして、とんでもない事を言う。
私はブンブンと首を横に振り、仕事でお世話になっている人だと説明する。
シンマーはアハハと笑うと、「王女様と商人の身分違いの恋かと思ったわ。なあんだ」とホッと息を吐き出した。
「…そうねえ、彼らはもらった物が何であれ、王女様からいただいたという事実が重要なんじゃないかしら。彼らが欲しいのは、お金以外だったら、栄誉だと思うの」
ほほう、さすがシンマー。一流スターは、商人の気持ちまで分かるのね。なるほど。だったら、みんなに見せびらかすことが出来る物がいいのかな?
雑多な品が並ぶ店で、荷馬車をモチーフにしたブローチを見つけた。花や鳥、虫や動物のデザインが多い中で、荷馬車なんて珍しい。それに、荷馬車は商人を連想させる。私はこれをスティーバさんへのお土産にすることに決めた。
「ありがとう。シンマーのお陰でいいお土産が買えたわ」
「どういたしまして。私もいろんな品を見れて楽しかったわ!」
私がお礼を言うと、シンマーは顔を崩して笑った。
うわあ…、シンマーのこんな笑顔を間近で見ることが出来るなんて、私はなんて幸せ者なんだ!
ところで、お土産を買ったのは私だけではない。エミリや騎士らもせっせと土産を選んでいた。エミリはいいとして、騎士二人は、明らかに若い女性向けの土産を買っていた。こいつら、ちゃっかり彼女がいるのか! こんなに美しいシンマーに恋人がいないわけないし、この中で恋人がいないのは私だけかい!?
シンマーと一緒にお買い物、という幸福な時間を過ごしているにも関わらず、少々やさぐれた気分になっていると、シンマーおすすめのレストランに到着した。
お昼には少し早い時間だけれど、シンマーは午後から仕事があるので、急いで帰らないといけないのだ。売れっ子スターは大変だ。
「あなた達は昼食抜きです!」
私が告げると、騎士二人は驚いて目を丸くした。
忘れてないよ。試着中の私を、どさくさに紛れて盗み見ていたのは知っているのだ! そう、けっして、私を差し置いて恋人持ちなのをひがんでいるわけではない!
騎士らは原因を作った二人に取りなしてもらおうと、エミリとシンマーをチラチラと見ている。
だが、「姫様の肌を見たのだから、当然の罰です!」とエミリは冷たい。そしてシンマーはというと、私の隣に座って、この店のおすすめ料理を教えてくれていた。騎士らの視線は、全く眼中にない模様。
騎士は項垂れて隣のテーブルに大人しく座った。
「ボイル、ベント、反省した?」
私が騎士らの名を呼んで尋ねると、二人は顔を上げ「はい」と頷いた。
「じゃあ、食べていいわ。午後も、しっかり護衛の任務を果たしてもらわなければいけないしね。その代わり、今月は一割減給よ!」
騎士らは一瞬パアッと明るい顔をしたものの、減給という言葉で再び肩を落とした。
ふんっ、乙女の柔肌を見た罪は重いのじゃ! 試着中にカーテンを開けたことを、充分に反省してもらいたい。
騎士らはヤケになったのか、とんでもない量を注文してバクバクと食べている。国費で落ちるからって、いくらなんでも食べ過ぎだ。
私とシンマーは、シンマーおすすめの肉と野菜の創作料理を食べている。味付けはアンデッド王国の料理とそう大差はない。馴染みのある味で食べやすい。
「あら、王女様、口にソースがついてるわよ」
シンマーに言われ慌てる。
あ、ソースか。血が垂れたんじゃなくて良かった。
私が口を拭こうとナプキンを掴むと、シンマーが私の口元を指でなぞって、その指をペロリと舐めた。
「あ…、えっと、その…」
頬が熱くなるのを感じる。
エミリはジロリとシンマーを睨んだ。
「ここはデザートもおすすめなのよ。私はこのチョコのケーキにするわ」
シンマーはメニューを開いてエミリの視線から隠れた。
私とエミリもそれぞれ別のケーキを注文して、口へと運ぶ。
「わあ、本当に美味しいわ!」
このケーキは、アンデッド王国のものより断然美味しい。私が食べているオレンジのムースとスポンジが層になったケーキは、前世で食べたケーキの味にとても良く似ていた。
シンマーが食べているチョコレートケーキや、エミリが食べている赤い実のショートケーキもとても美味しそうだ。
「あ、あの…、そちらも一口いただいてもいいかしら?」
シンマーとエミリは快く了承して、エミリは皿を差し出した。
ところがシンマーは自身のフォークで一さじすくうと、私の口元へ差し出した。
「え、あの…」
「どうぞ」とシンマーは微笑む。
シンマーにあーんしてもらえるとは、なんと光栄なことだろうか。だが人目のあるレストラン内では、ちょっと恥ずかしい。
エミリは皿を引っ込め、シンマーの真似をして、フォークですくって差し出した。目がコワイ。
またもシンマーとエミリは険悪に睨み合った。
「わー、待って待って! …じゃあ、順番ね」
結局、シンマーとエミリが次々に差し出してくるケーキをパクリパクリと食べ続け、ケーキがなくなるまで続いた。そして今度はシンマーのリクエストで私のケーキをシンマーにあーんして食べさせるというイベントもこなした。エミリはまたも対抗して欲しがったので、エミリにも食べさせた。
同性とはいえ、観衆の目がある中、どんな羞恥プレイだ。隣のテーブルの騎士らの呆れた視線が痛い。
終始ご機嫌だったシンマーは、店の外へ出ると、途端に悲しそうな顔をした。これから急いで次の仕事場に向かわなければいけないのだ。
名残惜しそうなシンマーに、また会いに来るからと約束して、抱き合って別れた。
あんな大スターが、私の為に半日とはいえ時間を割いて付き合ってくれたなんて、まるで夢のようだ。
ただちょっと何度か、妙に距離が近くて怪しい雰囲気になっていたが、あれは何だったんだろう…?
私が首を捻っていると、頭の後ろで声が聞こえる。
「キーキー、キーキーキキー!!(くそー、許せん! シンマーにあーんしてもらうとは! この死人風情が!!)」
ハッとして振り向くと、レストランの屋根の下に、一匹の黒いコウモリがぶら下がっていた。
「いたーーー! 早く、あのコウモリを捕まえて! 捕まえられたら、減給はなし! さらにボーナスをあげちゃうわ!」
コウモリを指さし言うと、騎士二人は目の色変えてコウモリに掴みかかった。やはり減給は相当キツイようだ。
汗を流しながらにこやかに振り返ったボイルの手には、しっかりとコウモリが握られていた。




