私の中の 輪
「ああ、着いたのか?」
私はとても大きな街の前に立つ。
(アンナ? 居ないのか。)
死んでいる時に何度か声が聞こえた気がしたのだが、
(会話ができるならアンナの気持ちが知りたい。)
この身体を渡せるなら、それをアンナが望むならそうしたい。
『そんな事、出来ないよ。』
「うるさい、お前は呼んでない。」
『ひどいなぁ。』
望んではいないが、私の影とは話せるようになった。姿も見える。
『アンナに変わりたい所だけど、アンナが嫌だって。』
「は? お前の物真似には興味ないぞ。」
『違うよ、それとは別。』
何を言っているのか。
「アンナがお前の中に居るのか?」
『まあ、そんなところ。』
「何故?」
『え、なぜって?』
影は何を聞かれているのか分からないといった様子。
「輪廻とやらは? 生まれ変わりは?」
影はその問に少しの間考えるような仕草を取る。
『君は言わばダム。伝わるかな?』
「伝わるわけないだろ!」
『水が魂。ダムが君。』
「私のせいで、皆も生まれ変われないって事?」
『まぁ、そうなるかな。』
「ダムは、水を調節する物だろう?」
それに影はニッコリと笑った。
『いつか出来るようになるよ。』
「は? それって」
『あ! アンナから伝言。』
私の言葉を遮って影が大きな声でいった。
『あ~でもあんまり良くないな。』
「どんなでも良い、言ってくれ。」
影は渋々口を開く。
『許さない。結果的にアンナが死んだことじゃない。貴方が全てを投げ出そうとしたことを。』
「そうか、」
本来、胸が苦しむ事が自然な台詞。
でもアンナの本当の気持ちが知れて、何だか嬉しかった。
「こっちからアンナに伝える事は出来るのか? アンナ以外とも話せるのか?」
『どっちとも出来るよ。』
「そうか。」
許しては貰えないと思う。
でも、
「もう二度としない、申し訳無い。そう伝えてくれ。」
『わかったよ。』
他の皆とも話をしてみたいが、ここでずっと立っているのも不自然だろう。
私は街の中に足を踏み入れた。
(人が多い、気持ち悪い。)
『あはは、人酔い?』
(答えないぞ。)
『声に出さなくても成り立つから大丈夫だよ。』
調子が狂う。
『そんな事思わないで。』
(辞めろ!)
「わっ!」
意識が前に向いていなかったため、人とぶつかってしまった。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ。こちらこそごめんなさい。」
アンナと同じくらいの女の子。
『アンナの方が可愛いね。』
(うるさい。)
この子も相当、整った容姿をしていると思うが。
なんだろう何処か決定的に違う。
「ツッ!」
その時、脳裏に焼きつく光景。牢、屋?
「どうかしました? 顔色がすぐれないですけど。」
「いえ、大丈夫です。すみませんでした。」
私はその子から急ぎ離れる。
「とっても可愛い子、欲しいわ。」
、 、 、
『本当に大丈夫?』
(いや、気分悪い。)
さっきのは何だったのか。予知? いや、牢屋なんてあるわけ無い。
私は私をそう言い聞かせる。
「お腹へった。」
『お金ないよね。』
どうしよう。
(森に取りに行こう。)
ちょうど人混みから離れたかった。私は街から出る。
「!!」
街から出た所、突如私の口に布が当てられる。逃げようとしたが、直ぐに力が入らなくなって。
私は力無く、倒れた。




