電流が走る 輪
「これからどうしよう。」
目的もなく歩いていれば、再三そんな言葉が口から出るのも不思議なことではないはずだ。そう、悲しい事だ。
「本当に、どうしよう。」
私は一枚の紙を広げて、それに描いてある物を見る。私の似顔絵だ。
看守さんは、思ったよりも早く動きを見せてくれた。次の日にはもう、私は外を出歩けない身となっていた。ろくに街で買い物も出来やしない。なんて、そんな事をするお金はないのだけども。
私は私の手配書をグシャグシャに丸めて放る。
あの日のことを何度も何度も思い出しては強い自責の念に襲われる。と、言うのはおかしいのかもしれない。実際、行動したのは私だが、その時の記憶は無い。
夢にさえも見るその光景は真実の姿なのか、はたまた私が誇張ないし捏造したものなのかは分からない。だからこそ、私は不甲斐なさも感じていた。
こう、いっぺんにいろいろ来て、疲れてしまったな。
「はぁ、」
深い深い溜め息が、どこまでも私を引きずり落とす。
あれから、女神が私の前を去ってからは何も無い。まあ、何かあったら困るのだが。どちらにせよ、私にはどうする事も出来ない事は重々理解した。
「私がどうかしました?」
「うるさい。」
頭に響く変に高い声に、私は耳を塞ぐ。
「塞いでも無駄でしょうに。」
「黙れ、黙れ!」
いくら塞ごうとも入ってくる音に、吐き気がする。聞きたくない物を無理矢理聞かされるというのはとても不快だ。
私はじっとうずくまってそれが止むのを待つ。
「何してるのですか。お姉さん? 聞こえますか? お〜い。」
「え? え!?」
突然、話しかけられた。知らない子に。私はそれに気がつくと直ぐに顔を上げた。
相手の顔を見ると、私はちょうど電気が流されたように痺れた。ああ、それほどに衝撃的だったと言う事だ。その顔はリズにとてもよく、似ていた。
「大丈夫ですよね? こんな所で何をしているのですか?」
続けられる言葉に、私は再び驚愕する。私はリズの面影を感じながら、その姿にアンナを重ねていた。
一目惚れ、と言うものだろうか。
「ありがとう、大丈夫だよ。君はどうしてこんな所に?」
「僕は、お母さんの帰りを待っています。」
そんな質問をしたが、私は答えを聞いてはいない。私は足りない頭で唯一、どうやってこの子に殺されようかと、それだけを考えていた。それだけに頭を費やしていた。




