女神の計画 輪
「一から説明してあげましょう。」
女神は玩具で遊ぶ子供のような笑いを見せた。今すぐにでもその笑顔をやめさせたいと思うが、私の身体は動かない。
どうして? と思いながらも、それすら自分の意思なのではないかと思う。
「いまさら、何を説明することがある。」
「嫌がらせですよ。」
女神は心底愉快そうに、私を見て、ゆっくりと近付いてきた。それでも私は指一本動かさない。
「あなたに授けたのは不死と予知。それに私が呪いと言いました物が混ざりました。」
「死ぬと入れ替わる。」
女神が嬉々として話している。私はそれに相槌をうつかのようにボソリと呟く。
「そう! それのせいで私の計画に支障を来しました。」
「兵器?」
それには流石に女神も驚いたのか、目を見開いた。
「よく、知っているじゃないですか。でもその顔ではあまり詳しくは知らない様子。」
そう言って女神は話を続ける。
知らない男に言われた事を、勘で口に出しただけなので説明は助かる。
「私専用の兵器を作ること、それが私の目的でした。あなたはそれを実現し得る。」
「どうして? ドクで駄目な理由は?」
私よりも不死に近かったドクの方が、私よりも強いと思ってそう聞くと、女神の眉間にシワがよった。
「あの子達の事も知っているのですか。全く、黙って聞いていればいいのに。あなたは本当に、可愛くない。」
少し顔が曇った女神は、私から目をそらしてため息をついた。
「あの子達は必要な物がなかったし、逆に再生力が強すぎました。それに、」
「変な情が生まれてしまいました。」
少し言葉を詰まらして、女神が言った。予想外な事を言われた事に加えて、女神はひどく疲れたような顔をしていて、私は少し反応に困る。
「再生が強いって、いい事でしょう?」
「超回復。知っていますか?」
あまり聞き慣れない単語を言われる。
「人は、筋繊維を傷付ける事でより強い筋繊維をつくります。あの子達は、再生が速すぎるが故にそれがありません。現在の身体を保つ事しかしないのです。」
「私は、動けば動いただけ力がつくのか。」
えぇ、と口だけ動かして、女神が頷いた。
「あなたの身体は衰える事なく成長し続けるのです。」
鉄を曲げられるこの力も、そのためか。
「だが、それがどうした! 私はお前に従わない。」
「はあ、まだ分からないのですか?」
女神は落胆に近いような声を出して、直ぐにわかりますよ。と後ろを向いた。
「のんびりと訳の分からない話を! 何故! 私の仲間が殺されたのか!?」
いつの間にか、看守さんが少し遠くに居る。機関銃のような物を構えて……!?
その時、数多の白い線が見えた。
「あなたは避けてくださいね。」
「え?」
銃声が響く。
迫りくる銃弾の全ての動きが、手に取るように分かった。女神の声に応えるように、私は銃弾を避けていた。




