表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/79

夢見心地 輪

「これからどうしようかな。」


 ふらり、街から外に出る。

 何だかドッと疲れが来たみたい。少し眠くなってしまった。


「ちょっと、寝るよ。」

『おやすみなさい。』


「よい、夢を。リズさん。」


 影とは別に、誰か聞き慣れた声が聞こえた。目を開いてそれを確認しようと思ったが、私は眠気には勝てなかった。


 、 、 、

「フフフ、アハハ。」


 何だろう。笑い声? 楽しそう。そう思っても、まだ目は開かない。


「あなたは深い、眠りの最中。ちょっとやそっとじゃ起きれない。」


 何だか、騒がしいな。お祭りでもしているのだろうか。


「そんなこんなで時間が経てば、あなたは底無し夢の中。起きたい? 起こして? もう遅い。あなたは二度と、目覚めない。」


 寝ているのに、眠いな。外から叫び声のような物も聞こえてきた。気になる、けれどやっぱり目は開かない。


「カイさん! 起きて!!」


 声だけが聞こえた。これまた、聞き慣れた声が。


「リズ!」


 勢いよく目を開けた。夢か、リズの姿は無い。


「え?」


 ああ、いつか見た光景。人体の切れ端が無造作に転がっている場所。予知、だったのか? あれは。


「あぁあ、ああ゛!」


 真ん中に立っていた人影は、私?


「大丈夫さ、落ち着いて。これは殆ど私の身体が切り離された物だ。すごい力だね、私の早すぎる再生よりもずっと早く切るなんて。」


 ドクが私の両肩に両手を置いて、必死に言った。


「あれ? ドクなんで。私、なんで?」


「あぁ、これは夢だ。夢だから、目を瞑って?」


 そう言ってドクは私のまぶたをおろした。それはとても温かく、冷え切っていた私は安心したように、直ぐに眠りについた。


 夢。これは夢だ。


「夢だ。」

 私は、元居た場所に立っていた。何も、おかしな事は無い。あれだけの惨劇に、服が汚れていない筈が無い。あれ? 私、何色の服着ていたっけ。


『、、、おは、よう。リズ?』


「おはよう。どうしたの?」


 私がそう聞くと、影は何もないよ。と首を小さく横に振った。何も無いようにはとてもじゃないけど思えなかったが、今の私にそれを気にする余裕は無かった。


『早く、先に進もう?』


「ちょっと、街に戻って」

『駄目!』


 決死な感じだった。頑なだった。


「そっか、分かったよ。」


 私は受け入れる他無かった。

 

「本当に、良いんですか? 戻って、自分がした事を確認しなくても。」

 ッ!? 何、今の声?


『どうしたの?』


「いや、何でもないよ。」


 疲れていないのに、息切れしているようだ。気持ちが、悪い。


「真っ赤なお召し物が、お綺麗ですね。」


 高い笑い声と共に、その言葉が聞こえた。

 私は、街とは反対の方向に走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ