旅の意味 輪
「お願いします。」
リズにそう言われてから、幾日かがたった。
いくつかの街によっては、居るはずのないアンナの情報を集め、またあるき始める。
「ご飯つくりましたよ。」
「ああ、ありがとう。」
少しも目的に近づくことのない、言ってしまえば無駄な旅だが、私はそれが楽しいと思い始めていた。
問題は無いわけではない。むしろ多いぐらいだろう。
「すみません少し席を外します。」
「わかった。気をつけて。」
リズは相変わらず。定期的に私の側から離れようとした。
最近は、私からその事を察して離れる事もある。
「はあ。」
毎回、リズは決まってすみませんと言った。私から離れる時も、リズ自身から離れる時も。
私はそれがどうしようもなく嫌だった。
『あっちにあったよ。』
「そろそろだと思った。ありがとう。」
『どういたしまして。』
そして、女神の動向も問題だ。
私を殺しに来たであろう人を片っ端から殺している。私がいなければ、そう思うと心は痛むばかりだ。
何か言ってやろうと常に考えてはいるが、私が女神を放ってリズの元に向かったあの時から、女神を見ていない。
(こうして、痕跡だけは見つかるのだけどね。)
真紅に濡れた場所の前で手を合わせる。
『ひどいことをするよね。』
「そうだね。」
その顔を見れば、苦しみの中で亡くなった事が容易に想像できる。
(そろそろリズが戻ってくる頃だ。)
私は急いでもと居た場所に戻る。
「おかえり。」
「はい、すみません。」
私は何事も無かったように平然と変わらない態度をとる。
「行こうか。」
「はい!」
そうしてまた、あるき出す。目的地はずっとここにあるのに、私は変わらずあるき続ける。
そんな生活が、ずっと続けばいいと思っていた。
「アンナの手がかりは見つかりませんが、私はそれでも良いと思っているんです。おかしい、ですよね?」
歩いていると、突然リズがそんな事を言った。ちょうど自分が思っていた事を言われただけに、少し大袈裟な反応をしてしまう。
「そんなことない、少しもおかしくないよ。」
私が笑いかけると、リズも笑顔で応えてくれる。
「アンナに会いたいと言う気持ちは変わりません。でも、アンナに会ったらこの時が終わると思うと寂しいです。」
あの時から、リズは全て本音で話してくれた。これも、そうなのだろう。
私はそれが嬉しかった。
「じゃあずっと続けよう。目的なんて無くても。」
そうすれば、言葉は自然と出てきた。
少し前の私だったらなんて言っただろうか。拒絶したのだろうか。
興味本位で始めた旅だが、今ではここまで望んでいる。
「本当に、嬉しいです。ありがとうございます。」
その言葉で、私の胸はいっぱいになった。




