嵐の前の、 輪
「よし! これぐらいで大丈夫かな。」
旅の準備。リズの荷物をまとめ終わった私はその言葉で静寂を破った。
「あ、結構軽くなりましたね。」
リズが自分の荷物を持ち上げてそう言うが、足は震えている。
「重いでしょ。こっちを持ってよ。」
私は自分の荷物とリズの荷物を交換する。
自分の荷物と言っても入っている物と言えば、一本のサバイバルナイフのみだが、
「そんなの、申し訳無いです。」
「でも、それじゃ歩けないでしょ。」
私はリズの荷物を奪う。
「ああ、」
「早く、おいて行くよ?」
「待ってくださいよ。」
急いで付いてくるリズ。肩には私の荷物をしっかりと下げている。
「さぁ、新しい旅の始まりだ。」
『頑張ろうね。』
「お願いします!」
3人に変わって賑やかになった。
それも、いつまで続くかは定かでは無いが。
「じゃあ、この道をずっと歩いていこうか。」
「はい!」
その道は前にフェイルに会った道だ。
少なくとも私よりはこの呪いの核心を知っていた風であった。あわよくばまた会って話が出来ないかと思う。
「大丈夫?」
「はぁ、はぁ。」
リズから荒い息遣いが聞こえてくる。
「はい、大丈夫です。」
まだ歩いて数分と経っていない。大丈夫だろうと思って私は歩を進める。
そのまま、しばらく歩き続ける。
ドサッ、
突然そんな音が後ろから聞こえて来た。自然と後ろに振り返る。
「リズ!」
地面に倒れ込んだリズから返事は無かった。
私はそれをなるべく涼しい場所へと運ぶ。
「大丈夫かな?」
『どうだろう、水でも飲ませてあげたら?』
言われた通りにすると、案外簡単にリズは目を覚ました。
「すみません。もう大丈夫です。」
「え?」
『駄目だよ!』
すぐに起き上がろうとするリズを影がやめろと言った。私も少し遅れて止めに入る
「今日はここらで休憩しようか。」
「すみません。」
リズが申し訳なさそうに顔を下に向けた。
「私、元々身体が弱かったんです。」
「そうなの?」
特に聞いてもいないのに、リズが自分の話を始める。何故今? とは思ったが、気になるところではあったので私は相槌を打つ。
「だから、ろくに歩いた事もなければ街の外になんて出ようと思った事も無かったんです。」
「そうなんだ。」
「家の中に一人で居るのは寂しかったから、私は。」
そこでリズの口が止まる。
何やら複雑な顔を浮かべながら、リズは再度口を開く。
「すみません。一人になってもいいですか?」
「いいけど、」
私がそう言った途端、リズは足早にどこかに行ってしまった。
「行っちゃった。」
『何か、あったのかな?』
その言葉に私は、さあ? といったポーズをとった。
「そういえば、いままでからしてそろそろ予兆が来てもいい頃だけど。」
『来ない?』
来ないことが悪いことでは無いのだが、少し不気味にも感じた。
何も無ければ良いのだが、
そんな事を思いながら、私は横になった。




