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君と会う日  作者: 高嶋 偀
1/1

残業のちデートのち学校

20XX年  12月31日 22時28分 某ブラック企業


「あぁ・・・この仕事辞めたい・・・・・」


ポツリと愚痴をこぼすこの男、藤川文は会社員だ。年は26歳。背は平均よりやや高めでやせ型だ。   

 

「先輩が辞めたらいやっすよ!」  


この俺の事を先輩と呼ぶのは、中野有紗。年は24歳。小学生と間違えられるほどに小柄な元気系少女だ。

二人の出会いは3年前の新社員歓迎会で知り合い趣味が同じだったことで意気投合し、交際。来年つまりあと1時間と少しで2年目になる。


「まだ辞めやしねぇーよ・・・・ちょっと言ってみただけだ」


「なら良いんすけどね、じゃあ、でも何でこの会社にしたんすか?」


「それは・・・・給料が良さそうだったんだよ、まぁ、仕事の割に合わねぇんだがな」 


「じゃあ、私と同じっすね・・・・まぁ、やりがいはあるっすけどね」

 

そんな会話を続けていると、近くの神社から突如として騒音が聞こえてくた。


「あれ、除夜の鐘っすかね?」


「そうだろうなぁ」


「・・・そだ、除夜の鐘と言えば先輩こんな噂知ってるッスか?除夜の鐘の都市伝説!」 


「知らん、煩悩が消えるとかか?」


俺がそう言うと有紗はキラリと目を輝かせ。


「知りたいっすか?知りたいっすよね!?結論から言うと願い事が叶うらしいっす!具体的には年明けちょうどにつかれた除夜の鐘の後にその日最後に願った事が叶うって噂っすね!・・先輩は叶えたい事とかないっすか?」 


文は少し考え、ポツリと呟くように


「自由な時間が欲しい・・・・ってかさ、そもそもその日最後の願いってどうやってわかるんだよ?やっぱ都市伝説はあやふやだな」


「まったく先輩は夢がないっすねぇ・・・」

 

有紗はヤレヤレっといった様子で手を肩くらいに上挙げ首を左右に2回3回と振った後いつものように仕事に戻った。


~約40分後~


「うぅっ、早く帰りたいっす!会社の床が寝床なんてもう勘弁っす!家のおふとぉんに包まれたいっす!」


まだ仕事は残っているし、さらに、いつも定期的に上がる話題で本来ならばスルーするのだが。


「じゃあ、帰るか」


立ち上がりながらググッーと背伸びをし、パソコンの電源を落としながら文は言った。


「えぇっ!まじすか帰るんすか!?」


有紗も口ではさも驚いたよではあるが、その実、文より早く帰り支度を済ませ「早く帰りますっすよ!」といった雰囲気をただよわせていた。


「・・・・じゃあ、ついでにメシでもどうだ?おごっ」


「ありがとございまーっす!」 


普段はのほほーんとしているのに、こうゆう時の反応は社内一だ・・・


外に出ると雪が降っていた、銀世界とはいかなかったがそれでも都会の人工的な光が照らし出し幻想的な風景だった。


まぁ、有紗曰く、座右の銘が「花より団子花は経らぬが飯は減る」だそうで。


「どこ行くんすか?やっぱ焼き肉っすかね?あっ!それともおしゃれなレストランでオ・ト・ナなディナーっすかね?・・・・・ご飯の後は先輩のお家で朝まであんな事やこんな事を・・ムッフフフッ」


「・・・あぁ、お行儀良くできるなら大人なディナーでもいいぞぉ?もちろん下ネタはなしだ」


「げぇっっ・・・あっ!じゃあ、立ち食いそば食ってみたいっす!」 


少し考えると目をキラキラさせそう言った、どうやら、前から興味はあったが一人では入れなかったそうだ。

なんて安上がりな性格だ。


「じゃあ、行こうか」


文は右手をコートに入れ左手を有紗に差し出す。なれてないないせいか文の耳は赤みがかかかっていた。


有紗少し意外そうな表情をしたが嬉しそうにニシシッと笑むと自分の右手を差し出した。


~数十分後~ 


あと少しで新年を迎える頃に食べ終えた俺たちはそのままその足で駅へとむかいながら、会話を弾ませていた。


「やっぱ、立ち食いの店の料理は良いですね、そこらの店とは違うって言うか・・・とにかくすっっごくうまいっす!」


満足そうに有紗が言った、が俺は違う。


「そうかぁ?・・・俺は少し物足りない気がしたが?」  


実際物足りなかった、なぜなら、俺たちが食ったそばの麺はひどく煮えすぎていてクッタクタでその上量を多く見えるようにか天かす超多めで申し訳程度にネギがちょこんとのせられた残念年越しそばだったからだ。

が、


「こういのは雰囲気が一番す!」


だそうだ。

雰囲気・・・ねぇ?


「それにしては油汚れが目立つ店だったよな?」


文がポソッと言うと有紗は頬をプゥウと膨らませ。


「それも含めてっすよーだ」

 

と言った。


「・・・さいですか」


駅の階段を下りきると、数人の学生たちが騒いでいた。とうやらカウントダウンをしようとしているらしい。


「おっ!あと5秒だ!」


がたいの良い体育会系の男が言うと、


「じゃあいくよっ!」 

 

「「「「「スリー!ツー!ワン!明けましておめでとーー!!!」」」」」


「皆ー!あけおめことよろ!」


「しゃあ!今年も遊ぶぜーッ!」


「おい!お前は今年受験だろ!?」


学生たちが新年を告げ思い思いに騒いでいた時突如としてその時は訪れた。


ズブッッ


?急に背中が熱くなったなと思った、次今まで感じたことのない形容しがたい痛みが全身を駆け巡った。

あまりの激痛に耐えられなくなった体が重量に引っ張られ冷たい床に叩きつけられたように倒れてしまっていた。 


「先輩!?」


有紗はなにが起きたのか分からないと言った表情で文を抱きかかえる。

その、文の後ろにはヨレヨレの服を着て髪はボサボサで無精ヒゲの目立つ男が赤く染まったナイフを持って立っていた。すると、男は狂ったように笑い始めた。


「・・・ふふふふふっアハハッハッッハ!おめでとう!!お前今年初めて殺された奴!そしてぇぇっ!今年初殺人犯の俺!!最っっ高の気分だぜ!!あー笑いが止まらねぇハッッハー!!!!!・・・・さぁ、次はどれにしよーかなーーー!・・・・・・・・決ーめた!そこの女ぁだぁぁ!!」


男の濁った目が有紗に向けられた。

次に男が有紗に手を伸ばす。


「逃げろーーーーッ!!」


俺は腹の底から声を出し、有紗を手で押し、足で思いっきり男を蹴り上げた。

少しは怯んでくれるかと期待したが。

男は少しふらついただけだ。


「何蹴ってんだぁッ!!・・・クソが・・・もっともっーと刺してやるよ!」


そう叫ぶとこいつはまるで子供が砂場をスコップを刺して遊ぶかのように俺の背中にナイフを刺し3度目か刺されようかと言う時。



「やめろッ!このサイコ野郎!」


一人のがたいの良い学生が男にタックルを喰らわし男を突き飛ばすと。よろけた男の手からナイフが滑り落ちた。


「おいッ!お前ら今だ捕まえろ!」


周りにいた2人の学生が男を取り押さえもう一人が。

 

「△◯駅でナイフを持った男が男性を刺して血がいっぱいで・・・とにかく大変なんです!」


と、この状況を伝えようと必死に電話をしていた。


「先輩っ!」


誰よりも必死な声がホーム響き、涙でグジャグシャの有紗がそこにいた。


──そんな顔すんなって、それに意識しっかりしちゃったら絶対痛いだろ。


いつものような冗談を話そうにも声が出ない。


「ぜん・・ばいっじっかりして・・くだざいっ・・」


有紗は文の手を力強く握ったが文はもはや握りかえす力すら残っていなかった。


──あぁ、俺ここで死ぬのか・・・でもまぁ、恋人に看取られるだけ良いか、あぁ、欲を言うならあいつらに会いてぇなぁ


これが、藤川文の人生の()()だった・・・はずだった。


バシンッ!背中にヒリヒリとした痛みがした。

文は意識がハッと戻ると、近くから声が聞こえてきた。


「ほら、起きたじゃない」


そこには、栗色ポニーテールの褐色の女が腕を組み俺を見下ろしていた。どうやら、俺の背中を叩いたのはこいつらしい。

すると、


「ちょちょっと雫ちゃん!?それは可哀想だよぉ」


と、その辺の女より女々しくオロオロしていたのは、黒髪ショートヘアの男子制服姿の男の子いや男の娘が一人いた。


──あれ?こいつらって?


見覚えがあるなんてものじゃあない、こいつらは


「そんなこと言ってる時じゃないでしょう!?早く降りるよ!」


──えっ?降りる?どこに? 


周りを見渡すと文はバスの中にいた。


「寝ぼけてんの?・・・・ったく!」


と、少女は俺の手をとると自分の定期を運転手に見せると慣れた手つきで文の定期もパッと見せ、文の手引っ張りながらさっさと降りてしまった。


「雫ちゃんは文君の彼女さんみたいだねぇ」


俺達の後を付けるようにニコニコしながらショートヘア美少年が降りてきた。


──やっぱこいつら

 

「なっなな!そんなんじゃないッ!こいつとはあんたと同じ幼なじみ!」


顔をリンゴのように染めていた。


あぁ、このやり取り懐かしいな・・・って


「はぁ!?えっ、俺ッ死んだんじゃあ!!?」


考えるよりも叫んでいた。急いで体中を確認し上半身が半裸になるというとき。


「ちょっと!あんた、まだ寝てんの!?大きい声出さない!服脱がない!!」

  

「寝てる・・・?そうか!これは夢だな!なら醒めろ!俺!!!」


「えーっと・・・二人ともー声大きいよー?周り見て」


ハッと辺りを見渡すと、文を含んだ3人を不思議そうに見ている生徒がいて、中には残念な人かわいそうな人を見る目を向ける者もすくなからずいた。


「むーぅ・・・文君ちょっと疲れてる・・・かも?とりあえず保健室連れてこっか」


「・・いや・・・・大丈夫だ」


そう言うと、俺は、お姫様抱っこで保健室へと連れていかれたのだった。























 


 




















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