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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第五章 異世界生活編01 奮闘編
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< 15end ナナシ >


身分証を持たない人は、街に入る時にステータスの確認をされる事が分かった。

色々おかしいステータスを、何とかしなくてはいけなくなった。


「ステータスを偽装する魔法って在るのかな?」と、頭の中で問い掛ける。

すると、すぐに「在りますよ。」と、返事が返ってきた。

魔法が既に在るのなら、それ程の手間は掛からないだろう。

さっさと済ませて、夕食にしよう。


ステータスのおかしい部分をいじっていく。

ずは、名前。

ここには何も書かれていない。

「このままぢゃ、マズイよね。」

以前の自分の名前を思い出そうとする。

思い出せなかった。

「あれ?」

家の近所の景色や、大学の講義室、友人の名前とかは思い出せるのに、自分の名前や両親の名前、住所なんかは思い出せなかった。

「なんで?」

ひどく困惑した。

頑張って思い出そうとするが、どうしても思い出せなかった。

神さまの言っていた、「俺の存在が無かったことになってしまった。」と言う、その言葉の意味を、俺は初めて理解した。


ショックだった。

とてもショックだった。

しかし、そういうものだと思って、諦めるしかないだろう。

「諦めるしかないよな…。」

「うん、諦めるしかない。」

記憶から失われたのは、自分に関する、ごく一部だけの情報の様だし、学んだ知識や友人たちの事は憶えているのだ。

それらだけでも憶えているのだから十分だろうと、自分に言い聞かせた。


ショックからなんとか立ち直って、名前を考えることにする。

少し考えて、”ナナシ”と決めた。

色々な感情が湧いてくるが、そう決めた。

理由はいくつでも考えられるだろうが、ただ、そう決めた。

そう。

なんとなくだ。


次に、年齢を決める。

元の世界の年齢が22歳だったから、22歳にした。


レベルは1にした。

俺は、この世界の常識が無い。

その言い訳として、「ド田舎から出て来たばかりだから。」と、言おうと考えているからね。

変にレベルが高いと、おかしいと思われてしまうから。


値のおかしい、HPとMPを、どのくらいの値にするか考える。

他の値と見比べながら、HP:20、MP:25とした。

あと、何故か他の値と比べて突出しているAGIの値もいじってAGI:20とした。

【スキル】、【耐性】、【付与効果】、【加護】、【称号】は、すべて無しにした。

すべて無しにしてから、少し考える。

全ての人が何らかの【加護】を持っている世界だったら困るか。

他の人たちは、何か【加護】を持っているのだろうか?

確認する方法って有るのかな?

”身分証が無い人は、水晶玉の様な物に手を触れて、ステータスの確認をされる”とのことだったな。

それって、”他人のステータスを確認する魔法”が在るって事だよね。

頭の中で、「他人のステータスを見れる魔法って何?」と、問い掛ける。

返答は【ステータス】だった。

なんだ、【ステータス】って、自分にも他人にも使える魔法だったのか。

情報収集をしている【多重思考】さんたちに、街の人たちのステータスを確認してもらって、【加護】を持っている人がどのくらいの比率で居るのか確認してもらう。

しばらくして返答が来た。

「【加護】を持っている人が見当たらない。」とのことだった。

【加護】も無しで、問題無いね。


偽装したステータスは以下の様になった。


”名前:ナナシ”

”年齢:22歳”

”性別:男”

”職業:魔術師”

”レベル:1”


”HP(Hit Point):20/20”

”MP(Magic Point):25/25”

”STR(Strength):19”

”DEX(Dexterity):19”

”VIT(Vitality):20”

”AGI(Agility):20”

”INT(Intelligence):25”

”MND(Mind):25”

”LUK(Luck):15”


【スキル】:

【耐性】:

【付与効果】:

【加護】:

【称号】:


街に入る方法も分かったし、ステータスの偽装も済んだ。

言葉が通じない問題も解決している。

街へ行く準備は整ったな。うん。

「よし。明日、街へ行こう。」

そう決めた。


夕方、小屋が完成した。

内部は三畳くらいの広さだ。

取り敢えず、寝るには十分だし、お風呂場に改造しても、ちょうどいい大きさだろう。

脱衣所を増設しないと、いけないかもだけど。

早速、枯れ葉を床に敷き詰めて、その上にビッグベアの毛皮を被せた。

その上で横になってみる。

「うん、いいね。」

毛皮が少し硬く感じたが、まぁまぁだ。


夕食を食べて、街の情報を確認してから、この日はさっさと寝ることにした。

昨日と今日で、この世界で生きていく為の準備を沢山たくさんした。

いよいよ明日から、この異世界での”普通の生活”が始まるね。

ワクワクして、寝れないかもしれない。

「遠足前の小学生かよ。(笑)」

「「家に帰るまでが遠足です。」って、言ってたっけな。」

「…帰る家が無いけどな。」

「………。」


ちょっとへこみつつ、寝た。


2019/06/20

ステータスに、”性別”と【称号】を追記しました。


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