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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第五章 異世界生活編01 奮闘編
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< 12 要らない子? >


ゴーレムたちが拠点を作ってくれている場所で、昼食を食べて、ゴーレムたちの作業をぼんやりとながめている。

ゴーレムたちは、【分離】の魔法で引き抜いた木を、切ったり、運んで積み上げたりしている。

それとは別に、小屋を建てているゴーレムたちも居る。

小屋なのは、建物の作り方を理解する為と、今日中に寝る場所だけでも完成させる為とのことだ。

後日、ちゃんとした建物が出来上がったら、この小屋は、お風呂場に改造するとのこと。

うん、無駄が無いね。


さて、午後は何をするかな?

街で【目玉(仮称。魔法で作られた目)】を使って、情報収集かな?

「うん。そうしよう。」と、思ったが、情報収集だけなら、”【多重思考】さん+【目玉(仮称)】”で足りるよね。

これまでに集まった情報の確認をするか。


ず、言葉が通じなかった問題だが、これは街の中の人たちの会話が理解できたことから、【言語理解】で解決したことが確認できた。やったね。

次に、街に入る方法だが、街に入る為には、身分証が必要なことが分かった。

身分証が無い場合はどうするのかは、分からない。

まだ、身分証を持たない人が門を通っていないので、知る機会が無かった。


街の中に冒険者ギルドが在った。

しかし、冒険者ギルドに加入する気は無い。

レベルが上がると依頼を強制されることがあることが、分かったからだ。

ごとけて、のんびり過ごすのが俺の望みだ。

冒険者ギルドから何かを強制されるのは御免ごめんだ。

同様に、他の組織にも加入する気は無い。


魔石の買い取りは、冒険者ギルドでしてもらえる様だ。

しかし、「冒険者でない人からは買い取れない。」とか、言われたりするかもしれない。

その場合は、魔道具屋で買い取ってもらおう。


門を入ってすぐの場所に、まきあつかっているお店が在った。

門の近くに在るということは、きっと仕入れに都合が良いからだろう。

買い取ってくれそうな気がするね。

ここで薪を買い取ってもらおう。


服を売っているお店が在ったが、値段は分からなかった。

なんとなく高そうな気がした。

手持ちのお金が心許こころもとないので、服を安く売っているお店を探さないといけないね。


お金に換える為の魔石を確保する為に、魔物を狩ろうと思い付いた。

魔法の練習も出来て、都合が良いよね。

「よし、行こうか。」と、思ったところで、「お待ち下さい。」と、頭の中でストップを掛けられた。

「確認をしたいことがあります。少々お待ち下さい。」と、言われた。

言葉に従って、ゴーレムたちの作業を眺めながら待つ。

少し待ったら、「【無限収納】の中の魔石の数を確認して下さい。」と、言われたので、確認する。

3個だったゴブリンの魔石が、4個に増えていた。

理由を頭の中で訊いて、どうしてこうなったのかを、教えてもらった。

森の中に居る【目玉(仮称)】を操作している【多重思考】さんが、【目玉(仮称)】を通して魔法を使い、ゴブリンを倒した。

そして、【分離】の魔法で魔石を取り出して、【無限収納】に仕舞った。とのことだった。

すげぇ。

勝手に魔物を倒して、勝手に魔石を回収してるわ。

そして、その魔石が俺の【無限収納】に仕舞われるとか…。

俺、要らなくね?

「要らなくないですよ!」、「あなたが本体ですからね!」なんて声が、頭の中でした。

あぁ、そうか、俺の一部か。

【多重思考】でしたね。そうでした。

要らない子でなくて良かったです。うん。


ふと、気が付いたことがあった。

「多重思考さんが、【目玉(仮称)】を通して魔法を使い、ゴブリンを倒した。」って、ことだったな。

「詠唱は? 魔法の詠唱はどうやっているんだ?」

まわりで作業をしているゴーレムたちを見る。

【風刃】の魔法を使って、地面に横たわる木を切っていた。

「詠唱していない…、よね?」

「もしかして、魔法って詠唱しなくても使えるのかな?」

空に向かって【風刃】の魔法を使ってみた。何も言わずに。

使えた。

詠唱しなくても、魔法が使える事に、今、気が付いた。

そういえば、【並列思考】さんがゴブリンを倒した時も、詠唱していなかったよね。

もっと早く気付いていても、おかしくなかったね。

うん、もうちょっと、観察力が必要だね。

何も知らない異世界に居るんだから、観察力は重要だよね。

もっと、周囲のことに注意を払う様にしよう。


他に、何かやらないといけない事って、有ったかな?

情報収集と、言葉の問題と、食料の問題と、生活環境の問題だけだったっけ?

あぁ、対人戦闘の検討が有ったね。

頭の中で、何か良い魔法がないか訊く。

「拘束する【バインド】、攻撃を防ぐ【シールド】、魔力の塊をぶつける【バレット】、空気の塊をぶつける【エアバレット】、眠らせる【スリーブ】などが使えそうです。」とのこと。

それと、「【物理無効】の結界に、【反射】を付与したり、【不可視】の結界を張って逃げるのも良さそうだ。」とも言われた。

ほう。

なんとか上手くやれそうな気がしてきた。

これで一応、考えなければならなかった事は、だいたい目途が立ったのかな?

残っているのは、街に入る方法くらいかな。


他に何かないか考える。

寝床に問題を見付けた。

枯れ葉を大量に確保したが、その上にシーツっぽいのを掛けたいよね。

森の中で、シーツを手に入れることなど、出来ない。

街の中に転移して、買って来る?

その方法で街に入って、問題になると困るので、それはめておこう。

森の中で大きな葉っぱを探す?

うーん、どうだろう。

服が緑色になりそうだ。

頭の中でひらめいた。

”大きな毛皮を確保する”

うん、これだね!

熊とか居れば良いね。

よし、熊を狩ろう。

【多重思考】さんたちに、熊を狩ることをお願いした。


熊を狩ることをお願いしたら、暇になった。

「………。」

俺は要らない子なんかぢゃないですよね?

俺は、ちょっと落ち込んだ。


しばらく、ゴーレムたちが作業しているのを眺めていた。

「熊の魔物を一体仕留めました。」と、頭の中に報告が来た。

【多重思考】さんの一人(?)が、【目玉(仮称。魔法で作られた目)】を通して魔法を使い、熊の魔物を仕留めてくれたとのこと。

”ビッグベアの毛皮”と”ビッグベアの死体”と”魔石”が、【無限収納】に入ったのを確認した。

「ビッグベアの死体は、血抜きをしてあります。」と、頭の中に情報が来た。

「血抜きって、こんなに短時間に出来る訳ないよね?」と、思ったら、【分離】の魔法で血抜きをしたとのこと。

「【分離】魔法さん、マジ便利だなっ!」

【分離】魔法さん、マジ大活躍です。

ビッグベアの毛皮を、【無限収納】から地面に出す。

毛皮は、頭と手足を切り取って、腹の部分で縦に裂いた状態の様だ。

飾り物ではなく、ベッドのシーツ代わりに使うのだから、頭とか必要ないし、これで良いよね。

手に取ると、ズシリと重かった。

「乾燥させないと、いけないのかな?」

毛皮の処理方法なんて知らないから、どうしたらいいのか分からないな。

においを嗅いでみた。

獣と血のにおいがする。

「うーん。どうすればいいのかな?」

困った。

【ドライ】と【消臭】の魔法で良いのかな?

取り敢えずやってみようと思い、【ドライ】と【消臭】の魔法を掛けてみた。

毛皮は地面に置いた状態のまま硬くなってしまった。

広げてから魔法を掛けるべきだったね。

失敗したね。

【クリエイトウォーター】で水を作り、毛皮に掛けて柔らかくしてから、地面に広げて置いて、もう一度、【ドライ】の魔法を掛けた。

状態はイマイチだった。

「うーん。」

硬いけど、割れたりはしないと思う。

においを嗅ぐ。

気にならない程度の、においになっていた。

「よし、これでいいや。」

ビッグベアの毛皮を、【無限収納】に仕舞った。


あぁ、そうだ。

猪の肉の血抜きをしておこう。

【無限収納】から取り出し、【分離】の魔法で血抜きをした。

うん。簡単だね。

【分離】魔法さんが、マジ便利すぎて、控えめに言っても最高です。


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