< 11 無限収納 >
朝食を済ませた俺は、森に食料の調達に向かう。
既に【目玉(仮称。魔法で作られた目)】を使って、芋とリンゴっぽい果実を見付けてくれたとのこと。
【目玉(仮称)】を目印に【転移】が出来るのか確認する為に、【転移】を試みてみようと思う。
そう思ったら、周囲の警戒をしてもらっている【並列思考】さんに、ステータスの確認をする様にお願いされた。
疑問を思い浮かべる前に、理由が頭の中に浮かぶ。
「昨日、自身の体に掛けた【結界魔法】が、まだ有効になっているか確認してください。」とのことだった。
あぁ、そうか。
結界を張った時に魔力を消費したけど、結界の維持に魔力を消費していない様だったから、有効時間があるのかもしれないと思っていたね。
確認しておきたいよね。
「【ステータス】。」と、唱えた。
目の前に”ステータスの一覧”が表示される。
”名前:”
”年齢:1日”
”性別:男”
”職業:魔術師”
”レベル:5”
”HP(Hit Point):****/****”
”MP(Magic Point):3981/****”
”STR(Strength):29”
”DEX(Dexterity):29”
”VIT(Vitality):28”
”AGI(Agility):252”
”INT(Intelligence):32”
”MND(Mind):32”
”LUK(Luck):15”
【スキル】:【全魔法使用可能】【魔法創造】【鑑定】【多重思考】【言語理解】
【耐性】:【毒耐性】【麻痺耐性】【状態異常耐性】【疲労耐性】【睡眠耐性】【乗り物酔い耐性】
【付与効果】:【暗視】
【加護】:【神サクラの加護(極小)】【神の寵愛】
【称号】:
昨日掛けた【物理無効】と【魔法無効】の結界魔法については、記載が無いね。
それと、HPとMPの値がおかしいな。
体調がおかしいということはないので、値ではなく、表示がおかしいのかな?
他にも気になったことが有ったけど、取り敢えず、今はいいや。
今日も【物理無効】と【魔法無効】の結界魔法を自分の体に掛けておく。
【付与効果】のところに、【物理無効】と【魔法無効】の文字が追加されたことを確認して、”ステータスの一覧”を消した。
さて、森に食料の調達に行くか。
森の中に居る【目玉(仮称)】を目印に、そこに【転移】するイメージを頭に思い浮かべて、唱える。
「【転移】。」
景色が変わる。
俺は森の中に居た。
「よし、上手くいった。」
【目玉(仮称)】を目印にして【転移】が出来るのは良いね。
転移先の安全を、前もって確認できるし。
「うん。良いね。」
満足して、そう声が出た。
自分の立っている場所の周囲を見回す。
【目玉(仮称)】を使って見付けてくれていた芋が、すぐそばに在った。
芋を地面から掘り出そう。
「【分離】。」
地面の上に置かれる、葉から根っこまで一繋がりになった芋。
「すごく便利な魔法だよな…。」
便利過ぎて呆れてしまう。
小剣で芋を切り離して、【マジックバッグ】に仕舞った。
もう二か所で芋を収穫し、”リンゴの木”と言っていた木の場所に【転移】した。
”リンゴの木”の前に【転移】して来た。
木を見る。
「うん。リンゴに見えるね。」
既に【目玉(仮称)】を通して、【並列思考】さんが【鑑定】してくれていて、実が食べられるのは確認済みだ。
高いところにある実を、どうやって収穫しようかと思ったが、これも【分離】でいける気がした。
赤く熟しているっぽい実を10個ほど見ながら、「【分離】。」と、唱える。
俺の足元に赤い実が転がる。
同じ事をもう一回して、20個ほどの赤い実を収穫した。
一つ食べてみよう。
「【クリーン】。」
魔法で綺麗にしてから、かじりつく。
リンゴっぽい味がした。
甘さが足りない感じがしたが、自然に生えているやつだから、贅沢は言えないよね。
ガジガジと一つ完食して、残りを【マジックバッグ】に仕舞った。
さて、食料の調達は、これでいいかな。
猪の肉がまだ残ってるし。
いや、野菜が足りないか。
しかし、森で収穫できる野菜って、何か有るかな?
山菜のイメージが頭に浮かぶが、アク抜きが必要な感じがするな。
うーん、やめておこう。
森の中で野菜を探すよりも、早く街に行くことを考えた方が良いだろう。
昨夜寝た場所へ戻ろうと考えたところで、昨夜は土の上で寝たことを思い出した。
「寝床になりそうな草を探そう。」
うん、そうしよう。
【目玉(仮称)】の手助けが欲しいなと思い、【並列思考】さんに【目玉(仮称)】を作ってもらって、森の中に放った。
自分も草を探す為に、森の中を歩くことにした。
草を見ながら森の中を歩く。
時々、【鑑定】をしながら歩く。
ふと、立ち止まる。
「そもそも、どんな草が良いのか、分からなかったね。」
枯れた藁を積んで、その上にシーツを被せる様子が、頭の中に浮かんだ。
うーん。
草を集めるって感じではなかったね。
藁なんて森の中には無いよなぁ。
むしろ、枯れ葉を大量に集めないといけない感じか。
大量の枯れ葉が有る場所を探せば良いのかな?
そんなことを考えていたら、【並列思考】さんの一人(?)から、「葉っぱはなんとかなります。」と、頭の中で言われた。
その場所に【目玉(仮称)】が居るのが感覚で分かったので、【目玉(仮称)】を目印に【転移】した。
その場所に来た。
ここは拠点を作っている場所の様だ。
沢山の木が、地面から引き抜かれて、置いてある。
根っこがしっかりと付いている事と、根っこに土が付いていない事から、【分離】の魔法を使った事が分かる。
【分離】さんマジ便利。
周りを見渡すと、ところどころでゴーレムが丸太を運んだりしていた。
頭の中に声が聞こえた。
「沢山、木を引き抜いたので、これらの葉っぱが利用できます。」とのことだった。
なるほど。
この葉っぱを集めて、乾燥させれば良いのか。
よし、葉っぱを集めよう。
そして、考える。
どんな魔法を使えば、葉っぱを集められるかな?
【風属性魔法】に何かありそうな気がする。
少し悩んでから、あの魔法が使えることに気が付いた。
切り落とされた大きな枝と、その枝に沢山付いている緑色の葉っぱを見る。
そして、唱える。
「【分離】。」
俺の足元に、沢山の緑色の葉っぱで、山が出来た。
「【分離】魔法、万能かよっ!!」
魂の叫びだった。
【分離】の魔法で集めた沢山の緑色の葉っぱに、【ドライ】の魔法を掛けて、乾燥させた。
【マジックバッグ】に入り切るか不安だったので、ドーム型に【出入り不可】の結界を張って、風に飛ばされない様にした。
残った枝の処分方法を考える。
砕いて撒くのが簡単だが、薪として売れないだろうかと考えた。
所持金が心許ないので、お金を得る為にね。
薪だから大したお金にはならないだろうけど、一度売ってみよう。
沢山の枝を【風刃】の魔法で、薪として使いやすそうな大きさに切っていく。
切った枝で山が出来た。
これに【ドライ】の魔法を掛けて、乾燥させた。
さて、これを収納しなければならないんだが、【マジックバッグ】には入り切らない気がする。
別の収納魔法が必要だね。
俺のラノベの知識から、【無限収納】という単語が、頭の中に思い浮かんだ。
そして、【無限収納】という魔法が在ることも、頭の中で分かった。
よし、コレだな。
「【無限収納】。」と、唱えた。
魔法が発動したのは分かったが、何か変化が有った様には感じられない。
取り敢えず、試してみよう。
乾燥させた枝の山を見て、収納する様子をイメージする。
すると、それだけで乾燥させた枝の山が消えた。
頭の中で、【無限収納】の中身を確認してみる。
”薪:たくさん”と、言う表示が有った。
取り出し方も確認しよう。
右手の手の平を上に向け、ここに薪を一本だけ取り出すのをイメージする。
手の上に薪が一本出て来た。
「おお、便利だな。」
薪をもう一度仕舞って、先ほど乾燥させた葉っぱも【無限収納】に仕舞った。
【マジックバッグ】に入れてある物も、全て【無限収納】に移すことにした。
先ず、リンゴを移すことにする。
時間停止させた状態でも収納できる気がするので、「時間停止で収納する。」と念じながら【無限収納】に仕舞った。
確認すると、”リンゴ:20個(時間停止)”と、なっていた。
よし。
猪の肉と芋も、時間停止で【無限収納】に仕舞った。
魔石や箸(と言うか木の枝)、”火を着けるのに便利な道具”、水筒などなど、どんどん【無限収納】に仕舞っていく。
最後に【マジックバッグ】も【無限収納】に仕舞った。
荷物がすっきりしたね。
昼食まで、まだ時間が有るので、ステータスの確認をすることにする。
目の前に”ステータスの一覧”を表示させる。
”名前:”
”年齢:1日”
”性別:男”
”職業:魔術師”
”レベル:5”
”HP(Hit Point):****/****”
”MP(Magic Point):4002/****”
”STR(Strength):29”
”DEX(Dexterity):29”
”VIT(Vitality):28”
”AGI(Agility):252”
”INT(Intelligence):32”
”MND(Mind):32”
”LUK(Luck):15”
【スキル】:【全魔法使用可能】【魔法創造】【鑑定】【多重思考】【言語理解】【無限収納】
【耐性】:【毒耐性】【麻痺耐性】【状態異常耐性】【疲労耐性】【睡眠耐性】【乗り物酔い耐性】
【付与効果】:【暗視】【物理無効】【魔法無効】
【加護】:【神サクラの加護(極小)】【神の寵愛】
【称号】:
名前が無いのは、昨日と同じ。
年齢が1日なのは、昨日が0日だったんだから、そうなるよね。
MPの値が、朝から少し増えたね。自然回復したんだろう。
表示がおかしいHPとMPは、まぁいいや。
それと【スキル】に【無限収納】が追加されているのと、【多重思考】というのが有るな。
【多重思考】は【並列思考】が進化したのかな?
昨夜、【並列思考】さんたちが、自分たちで並列思考を増やして、作業を分担していたと言っていたしな。
これからは、「並列思考さん」ではなく、「多重思考さん」と呼ぶことにしよう。
さて、【スキル】に身に覚えの無いのが有るね。
【全魔法使用可能】と【魔法創造】って、何ですかね?
「うーん。なんだろう? 神さまからの贈り物…なのか…なぁ…?」
分からないよなぁ。
沢山の種類の魔法が使えるのは、【全魔法使用可能】と言う、こいつのお陰だろうね。
【魔法創造】は、使った事が無いね。魔法を作ろうと思ったことが無いからね。
今後、何か魔法を作りたくなった時に、お世話になろう。
いや、使ったかな?
【並列思考】からさらに【並列思考】を作った時に、魔法を作ったかもしれない。
魔力を多く抜かれた様な憶えがある。
あと、【加護】にも何か有るね。
【神サクラの加護(極小)】と【神の寵愛】か…。
これは確実に神さまからの贈り物だろうね。
でも、”極小の加護”にも”寵愛”にも、身に覚えが無いね。
まぁ、”加護”ってことだから、有って困るモノぢゃあ、ないよね。
身に覚えが無いけど、まぁいいや。
これらに対して、何か出来る事も無いだろうしね。うん。
問題が有るとすると、ステータスを他人に見られた場合かな?
変なところが、色々有るからね。
でも、ステータスって、他人に見られたりするのかな?
他人に見られる恐れが無いのならば、何も問題無いね。
他人に見られる恐れが有るのなら、何か考えないといけないね。
”ステータスの一覧”を消して、昼食の時間まで、ゴーレムたちの作業をぼんやりと眺めていた。
設定
AGI(Agility)の値が9999でないのは、体の方がその値についていけないからです。
でも、レベルアップでの上昇率は高くなっているので、これからガンガン上がっていくことになります。
2019/06/20
ステータスの値を見直しました。レベルの割に値が低過ぎたので。
ステータスに、”性別”と【称号】を追記しました。




