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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第五章 異世界生活編01 奮闘編
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< 10 目玉完成 >


目が覚めた。

結界の外に見える景色も、すっかり明るくなっている。


周囲の警戒をしてもらっている【並列思考】さんに、俺が寝ている状態でも、【並列思考】さんたちが活動できていたのかを訊く。

まぁ、訊くと言うよりは、頭の中に質問を思い浮かべるだけなんだが。

返答は、「問題無く活動できました。」と、言うものだった。

おお。これはありがたいな。

寝ている間も周囲の警戒をしてもらえるし、何か検討してもらうなんてことも出来るね。

これからの生活に、かなり役立つだろう。


各属性魔法を使いまくってもらっていた【並列思考】さんたちの、進捗しんちょく状況を頭の中で確認する。

かなりの魔法を使ってみてくれた様だ。

全てでないのは、大規模な攻撃魔法が出来なかったほか、相手が必要な【精神魔法】や【治癒魔法】や【契約魔法】なども出来なかったからだ。

それと、何が起こるのか予測しにくい【召喚魔法】もやらなかったとのことだ。

うん。これは仕方が無いね。

お願いしていた、【火】、【水】、【風】、【土】、【雷】、【闇】、【光】と【無属性魔法】の他にも、【氷属性魔法】というのも有ったらしい。

【氷属性魔法】は【水属性魔法】を担当していた人(?)が担当してくれたそうだ。

ん?

なんか、【並列思考】さんたちの数が増えてる気がするんだが…。

疑問の答えが頭の中に浮かぶ。

【並列思考】さんたちが自分たちで、さらに【並列思考】を増やしていた様だ。

そして、増やした【並列思考】さんたちと手分けして、魔法を使いまくったと。

さらに、余った時間で、”情報収集用のモノ”を作り上げてくれていた。

昨夜、俺が考えていた、「宙に浮く」、「移動可能」、「不可視」、「見る」、「聞く」、「繋がる」を、組み合わせて作ろうと思っていたヤツだ。

既に、結界の外にいくつかをはなってあるそうだ。


早速、その一つと視界を繋いでみる。

視界を繋いでみると、自分がその場所に居るかの様に、良く見えた。

視線の先には、大きな壁と、その壁に作られた門が見える。

東の方角に見える街の入り口だと、頭の中で教えてくれた。

門のそばに、人が一人立っている。警備の人だろう。

人の出入りが少ないのか、暇そうにしている。

あまり、見る物が無い様なので、魔法で作られたコイツを動かしてみる。

まず、その場で回転させてみる。

視界が横に流れていく。

ふと、縦回転させてみた。

普段経験の出来ない視界の動き方をした。おもしろい。

次に、移動をさせてみる。

壁に沿って、反対側の門まで移動させてみよう。

壁に沿って移動させる。

速度を上げていく。

時速80km/hくらい出ただろうか?

門が見えたので、急減速させて、速度を落とそうとした。

しかし、俺の予想に反して、すぐに止まった。

重さを感じさせない動きだったので、重さがほとんど無いのだろう。

コイツには、この門で情報収集をしてもらおう。

きっと、こちら側の門の方が、人の出入りが多いだろうからね。

俺は視界の繋がりを切った。

視界が戻る。

ふう。

少し気分が悪い。

乗り物酔いっぽいな。

「乗り物酔いの耐性ってないかな?」と思ったら、すぐに「有りますよ。」と、頭の中に返答があった。

【並列思考】さんに、必要になると思われていたらしい。

いや、【並列思考】なだけで、本人なんだから、分かって当然だよね。

なんか、他人っぽく接していたね。

「並列思考さん」とか呼んでいたし。

でも、なんか自分っぽくもあるし、他人っぽくもあるし、「並列思考さん」でいいや。

それはそれとして。

早速、乗り物酔いの耐性を付与しようとしたら、「先に【ヒール】を掛けましょう。」と頭の中で声がした。

ああ、これは【光属性魔法】を担当していた人(?)だね。

昨夜、「被験者が居ない。」とか言っていたから、【ヒール】の魔法を使ってみたいんだろう。

【光属性魔法】を担当していた人(?)に、【ヒール】の魔法を掛けてもらった。

乗り物酔いっぽい症状が無くなった。

おお。

初めての【治癒魔法】に感動した。

次に、【乗り物酔い耐性】を付与した。

これで、不快な乗り物酔いから、おさらばだ。

やったね。


他にもいくつか”情報収集の為のモノ”が居るらしいので、それらがどうしているのかを訊こうとしたのだが、先に名前を何とかしよう。

いずれ、カッコイイ名前を付けるとして、取り敢えずの仮称として、「目玉めだま」と呼ぶことにする。

何やら、【並列思考】さんたちの一部から、あきれた様な感情を感じるけど、気の所為せいだよね。

他の【目玉めだま(仮称)】が、それぞれどうしているのか、頭の中で訊く。

街へ行って情報収集しているのが五つと、森で獲物や果実などを探しているのが五つ。

それと、拠点候補地に四つとのことだった。

最後のやつが気になったので、頭の中で訊く。

「拠点候補地って?」

拠点を作るのに良さそうな場所を、森の奥の山脈の近くに見付けたので、その場所と周辺の調査をしているとのこと。

その場所について訊いたら、斜面を登り切ってから少し下がった場所に、そこそこの広さの平らな土地が有る場所を見付けたんだそうだ。

火山の噴火口に近い感じの形状をしていて、人が近付きにくく、見付かりにくい地形とのこと。

そして、既にゴーレムを準備していて、「ゴーサインが出れば、すぐに作業に取り掛かれます。」とのことだった。

良い場所を探し出してくれていたようだ。

ゴーサインを出して、拠点作りをお願いした。


なかいたので、朝食にする。

肉と芋を焼きながら、異世界での生活がなんとかなりそうな気がして、嬉しくなった。


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