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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第五章 異世界生活編01 奮闘編
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< 08 遭遇と衝撃 >


道を東に向かって歩く。

日が沈みかけている。

遠くに見える街の壁が、赤く照らされているのが見える。

まだ街まで、かなりの距離がある様だ。

野営をするのも、選択肢の一つだ。

だけど、歩き続けることにした。

【疲労耐性】と【睡眠耐性】と【暗視】を付与してあるので、夜通し歩き続けることが可能だからね。

持っている食料は多くはないし、街の外が安全か分からない。

早く街に着いた方がいいよね。

俺は街を目指して、東に向かって歩き続ける。


周囲を警戒してもらっていた【並列思考1】さんに、「後ろから馬車が来ます。」と、頭の中で言われた。

道のはしに寄ろうとして、どちらがわに寄ればいいのか悩む。

「右に寄って下さい。」と、【並列思考1】さんに言われたので、それに従う。

道の右端を歩きながら、情報をもらう。

馬車が二台と、他に馬が四頭いるらしいとのこと。

馬車の音と馬の足音が、大きくなってきた。

立ち止まって、振り返る。

馬車の前を走る二頭の馬には、それぞれ冒険者風の男が乗っている。

その後ろを、一頭の馬が引く馬車が二台走り、その後ろにも、それぞれ冒険者風の男が乗った二頭の馬が走っている。

二頭の馬と馬車二台が通り過ぎた。

馬車の後ろを走っていた二頭の馬が立ち止まり、馬に乗る男の一人が話し掛けてきた。

「$$$$$$$、$$$$$$$$$$$$$」

その男が何を言っているのか、分からなかった。


言葉が分からない事に、衝撃を受けた。

何て返事をして良いのか分からない。

「$$$$$$$、$$$$$$$$$$$$$」

もう一度、何かを言われた。

やっぱり、分からない。

どうしよう。

馬に乗ったもう一人の男が、こちらに馬を歩かせて来る。

彼らに前後を挟まれると厄介だ。

逃げる事にした。

走って逃げた。

俺のすぐ後ろに【並列思考2】さんが、落とし穴を作る。

さらに二つ、落とし穴を作ったのを感じた。

少し走ったところで、「【不可視】の結界を張りました。荒野に向かって下さい。」と【並列思考1】さんに言われた。

走る速度をゆるめて、道をはずれて荒野に向かう。

振り返って男たちを見ると、先ほどの位置から動いていない様だった。

そして、道を外れた俺の方も見ていない。

【不可視】の結界が、きちんと仕事をしてくれている様だ。

少し、心が落ち着いたので、しゃがんで男たちを見る。

男たちは馬の向きを変え、馬車を追い掛けて行き、すぐに姿が見えなくなった。

「ふう。」

行ってくれて良かった。


しかし困ったな。

言葉が分からないとは思わなかった。

街に行くのは駄目だな。

この辺りで野営して、今後の方針を考えよう。

俺は、【不可視】と【物理無効】と【魔法無効】の結界を張って、野営することに決めた。


落とし穴は、ちゃんと直しました。



~ 冒険者さん ~


護衛の仕事は順調だ。

今、俺たちは、街が近くに見える場所で、野営の準備をしている。

明日の朝に街に入れば、この護衛の仕事は、おしまいだ。


ふと、先ほど会った男のことを思い出す。

声を掛けたら、すごく驚かれた。

何をそんなに驚くことが有ったのだろうか?

ただ、あの大きな木のことを、訊いただけなのに。

分からない。


5日前、あそこを通った時には、あの大きな木は無かった。

でも、今日、あそこには大きな木が在った。

あの大きな木は、何なのだろうか?

街に行けば何か分かるだろうか?

明日は街に行くんだ。街で訊いてみよう。

そんなことを考えながら、野営の準備を終わらせた。


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