< 06 初めての食事 >
猪を狩って、肉を手に入れた。
これを焼いて食べよう。
焼き方を考えていたので、その焼き方が出来る場所を探しながら移動した。
川に来た。
川原には角張った石が転がっている。
上が平らな、そこそこ大きな石を見付けた。
「これで良いだろう。」
俺の考えた肉の焼き方は、上が平らな石を【ファイヤー】の魔法で熱して、肉を焼こうというものだ。
早速、【ファイヤー】の魔法で、石を熱する。
石が熱くなるまでの間に、別の石の上で、小剣で肉を小さく切る。
そこで、箸が無い事に気が付いた。
そこらに落ちている木の枝を拾って、川で洗う。
不格好な箸だが、まぁいいや。
箸で肉を摘まんで、熱した石の上に置く。
じゅうじゅうと美味しそうな音がする。
そこで、ある問題に気付く。
「生肉を触った箸で食べるのは、危なかったよな?」
慌てて、もう一膳分、枝を拾って、川で洗った。
焼き上がった肉を食べる。
「美味しい。」
この世界に来て、初めての食事だった。
美味しかった。
焼いた肉を食べまくった。
満腹になった。
「ふう。」
さて、箸を洗わないといけないな。
洗剤なんか無いしな。どう洗おうか?
頭の中で箸を洗う様子を思い浮かべ、何か良い魔法がないか問い掛ける。
すると、いかにもな名前の魔法が頭の中に浮かんだ。
手に持った箸を見ながら、その魔法を唱える。
「【クリーン】。」
箸が綺麗になった。
魔法って便利だな。
箸を【マジックバッグ】に突っ込んで、東の方角へ向かって歩いて行く。




