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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第五章 異世界生活編01 奮闘編
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< 05 初めての狩り >


森に入って狩りをする為に、身支度みじたくを整える。

そうは言っても、腰に小剣を差し、ローブを着て、袋を手に持つだけなんだが。

現在、太陽はほぼ真上に在る。

この世界に来た時には、斜めの位置に太陽が在ったので、だいたいの方角が分かった。

現在位置の西と北に森が在り、北に在る森は、東にずっと続いている。

西は、街と反対方向だから、行かない。

真北に向かい、最短距離で森の中に入り、東へ向かって歩いて行くことにする。

俺は真北に向かって、歩き始めた。


森の手前まで来た。

東西方向に向かう道が在った。

道が在ることには、この場所に来るまで、まったく気が付かなかった。

俺がこの世界に来てから、誰も通らなかったんだと思う。

「人が少ない国なのか、人の少ない場所なのか、どちらなんだろうな?」

まぁ、いいや。

道を横切って森に向かった。


森に入った。

獲物を探しながら、【並列思考】で周囲を警戒する。

しばらく森の中を歩いてから、気が付いた。

そう言えば、【気配察知】の魔法を使うのを忘れていた。

準備とは何だったのか。(笑)

【気配察知】の魔法を使って、獲物を探しながら、森の中を歩く。

しばらく歩くと、【気配察知】の魔法に反応が有った。

10匹ほどの何かが居る様だ。

動いたり止まったりしながら移動している。

その”何か”が、何なのかを見てみる為に、追い掛けてみる。


”10匹ほどの何か”から、少し離れた場所で立ち止まり、見てみる。

猿だった。

「食べようという気には、ならないなぁ。」

周囲に鳥が居ないか、【気配察知】の魔法で調べてみる。

居るには居たが、小鳥しか居なかった。

果実でもないかと探してみるが、それも無かった。

猿たちを避けて、東へ向かって歩く。


森の中で、ミカンの木っぽいのを見付けた。

沢山の黄色い実を付けている。

実の一つに意識を集中して、【鑑定】してみた。

「みかん。まだ熟していない。すっぱすぎる。まだ食べるのには適さない。」と、出た。

「みかんという名前なのかな? それとも、俺の知識に在るものに翻訳されているのかな?」

食べられないとの鑑定結果だったので、スルーして、東へ向かって歩く。


森の中を東に向かって歩いていると、再び【気配察知】の魔法に反応が有った。

その方向に向かう。

近付いてみると、猪だった。

鼻先で地面を掘っていた。

食べられそうな獲物だ。やったね。

先ず、この場所に、【ウォール】で、高さ1.5m、幅4mの土の壁を作った。

猪は気付いていない。

作った壁の90°ずれた方向に、【ウォール】で同じ大きさの土の壁を作った。

猪は気付いていない。

かどの部分に隙間の空いた”コ”の字の形になる様に、もう一つ土の壁を作り、壁と壁の間の隙間に、【ピットフォール】で落とし穴を作る。

よし、準備が出来た。

猪に気付かれない様に遠回りして、壁の反対側に移動した。

猪に向かって、【ストーンボール】を放つ。

ドガッ!

ぶもっ!

驚いて、作った壁の方向へ逃げて行く猪。

それを走って追い掛けながら、猪に【ストーンバレット】を打ち込みんで、壁の方へ追い込んでいく。

猪を追って、森の中を走る。

意外と簡単に追うことが出来た。

この世界の環境が地球と違うのかな? 重力が軽いとか。

それとも、神さまがこの体に何かしてくれたのだろうか?

今は、それは後回しだな。

猪を追い掛ける。

猪は、壁の阻まれ、壁に沿って走って、隙間に堀った落とし穴に落ちた。

「やったー。」

急いで落とし穴に向かう。

「ふう。」

少し息が上がる。

ほぼ、全力で走ったと思うのだが、その割には疲労が少なく感じた。

そう言えば、【疲労耐性】を、付与していたな。

【疲労耐性】さんが、良い仕事をしてくれた様だ。

落とし穴を覗き込むと、穴の底で猪がオロオロしていた。

よし、仕留しとめるぞ。

【ストーンボール】を何発も放って、猪を仕留めた。

「ふう。疲れた。」

肉体的ではなく、精神的に疲れた気がした。

落とし穴の底で倒れている猪を見ながら、【分離】の魔法をとなえる。

落とし穴の底に毛皮を残して、俺の足元に毛皮をがれた猪が転がる。

この魔法は、転移魔法の一種の様だ。

さらに【分離】の魔法をとなえると、その場に骨と内臓を残して、その隣に肉だけになった猪が転がっていた。

よし、肉を【マジックバッグ】に仕舞い、後片付けをしよう。

足元に残った猪の骨と内臓を、落とし穴に蹴り落とす。

あとは、落とし穴を埋めればいいのだが、どうすればいいのかな?」

魔法で作った落とし穴を元に戻す魔法が在りそうな気がするが、落とし穴の中に物が在った場合どうなるんだろうね。

埋まってくれる気がしないな。

「うーん、良く分からん。」

頭の中で、魔法で作った壁を崩して落とし穴を埋めるイメージを浮かべながら、何か良い魔法がないか問い掛ける。

【転移魔法】で壁の土を移動させる方法が、頭の中に浮かんだ。

「めんどくさそうだが、仕方が無いね。」

【転移魔法】を何回も使って、壁の土を落とし穴に移して、埋めた。

「はぁ、疲れた。」

これは、魔力の無駄遣いな気がするな。

一撃で絶命させて、燃やせばいいじゃん。

安全に狩りをしようと考えたのは、失敗だったかもしれない。

狩りの仕方を考え直そうと思った。


設定

”【転移魔法】で壁の土を移動させる方法が、頭の中に浮かんだ”のは、レベルが上がったからです。

それまでは、詠唱する”文字”でした。

レベルが上がったのは、魔法を色々使ったことと、魔法を使って猪を倒したからです。


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