< 02 魔術師 >
自分がどんな魔法が使えるのか、確認をすることにした。
魔法には、属性と言うのが在ったな。
”火”とか、”風”とか、”水”とか。
ラノベの知識だけどね。
取り敢えず、それぞれの属性の簡単な魔法が使えるのか、確認をしよう。
先ず、火属性。
【ライト】の魔法でやってみた様に、宙に浮く”火”を、頭の中でイメージして、「【ファイヤー】。」と、唱える。
視線の先、1mほどのところに、ソフトボールほどの大きさの火が現れた。
「おお、出来た。」
やったね。
そして、魔力の消費が少なくなっていることに気が付いた。
やはり、レベルが上がったのだろう。
次に、水属性を試す。
宙に浮く”水の球”を、頭の中でイメージして、「【クリエイトウォーター】。」と、唱える。
【ライト】と【ファイヤー】と同様に、視線の先、1mほどのところに、ソフトボールほどの大きさの水の球が現れた。
「おお、これも出来た。」
そして、宙に浮く”水の球”を見て、思う。
「この水って、飲めるよな?」
宙に浮く”水の球”に口を付けて、飲んでみる。
普通の水の味の様に感じた。
残った水の球を水筒の中に入れ、内側をゆすぎ、もう一度作った”水の球”を水筒の中に入れた。
「よし、水を確保できる手段を手に入れた。」
一日に何度でも使えるのだったら、水筒なんか要らないのだが、一日に何回この魔法を使えるのか分からないので、毎日水筒に水を溜めることにしよう。
「よし、次だ。」
他に、風属性の【ウィンド】、土属性の【クリエイトストーン】、雷属性の【スパーク】、闇属性の【ダークウォール】を試した。
ここまで、全ての属性の魔法が使えた。
全ての属性の魔法が使えて良いのか、疑問に思わなくもなかったが、損する訳ではないから、良いことにした。
治癒魔法は試し様が無いな。
その為に怪我をするのも嫌だし。
機会が有るまで、保留にすることにした。
機会が有る方が良いのか、無い方が良いのか、分からんけど。
一通り、魔法を使ってみた。
「次に何をしようか?」と、考える。
ふと、袋の中に在った、読めない文字や記号が書かれた紙のことを思い出した。
魔法で読める様にならないだろうか?
試してみよう。
袋の中から、読めない文字や記号が書かれた紙を取り出す。
見る。
うん、読めない。
この読めない文字が読める様になる魔法を、イメージする。
そんな都合の良い魔法が、この世界に存在したりしないかを、ふと、考えた。
すると、頭の中に沢山の文字が浮かんだ後で、その文字が残った。
その文字が、望む魔法だと感じたので、それを口に出して言ってみた。
「【リード】。」
すると、先ほどまで、まったく読めなかった文字や記号が、読める様になっていた。
驚いた。
読める様になっていたことにも驚いたが、【リード】の魔法が頭に浮かんだことに、より驚いた。
我流で、いくつかの魔法を使っていたが、本来の魔法の使い方を知った様な気がした。
何より、魔力の消費量が、とても少なかった。
これは、助かる。
これなら、もう気絶しなくなるかもしれない。
やったー。
なんだか、素人からちゃんとした魔術師になれた様な気がして、嬉しかった。




