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< 18 外伝 忘れられたガイドブック >


”名状しがたきガイドブック”


そんな呼び名で、ネット上で話題になっているガイドブックがある。

話題になった理由は、ネットに上がった画像が、普通ではなかったからだ。

その画像は、警視庁が落とし物の持ち主を探す為に、公式SNSに上げたものだった。

お店と料理の写真が沢山たくさんせられ、外国語とおぼしき言語で書かれたガイドブック。

そして、貼られている沢山たくさん付箋ふせんと、沢山の書き込み。

持ち主が日本での観光を楽しみにしていた事が、痛いほど伝わってくるガイドブックである。

持ち主が落胆してる事が十二分にさっせられる見た目から、落とし物として届けられたその日のうちに、その画像が公式SNSに上げられた。

持ち主の手元に返せることを願ってのことである。


しかし、その画像に写るガイドブックは、見た目が異常だった。

そのガイドブックには、沢山の付箋が貼られていた。

その”沢山の付箋”の数が、極めて異常だったのだ。

そのガイドブックは、沢山の付箋が貼られ、ページが開き切り、”円柱形”となっていた。

”円柱形”である。(大事なことなので2回言いました)

もう少しマシな、ガイドブックらしい画像を撮れなかったのだろうか?

その様な画像になった理由は、「縦に置いた状態が一番安定したので。(警視庁公式発表)」とのことだった。

ガイドブックの説明文には「高さ」と「直径」と「重さ」が記載されていた。

普通は「タイトル」と「用紙サイズ(あるいは縦x横の寸法)」では、ないだろうか?

文字が読めないので「タイトル」が無いのは仕方が無いが、「高さ」と「直径」と「重さ」のセットが、本の説明として記載されるのは前代未聞であると思われた。


早速、ネットの解読班が文字の解読に乗り出した。

しかし、いつまで経っても”解読成功”の文字がネットに上がることは無かった。

ネットに上がるのは、「無理っぽいぷぅ。」、「ぎぶ。」、「まぢ解読不能。」、「なんなのこれ?」、「わけわからん。」、「もう無理。(有給終了)」、「もう無理。(ペットボトル足りない)」、「21世紀最大の奇書。」、「ついになる、もう一本があるはずだ。」などなど、諦めの言葉が多かった。

”特殊な見た目”、”解読不能”、”ガイドブックが本来持っていたはずの携行性が行方不明”などの事から、いつしかネット上で、”名状しがたきガイドブック”と、呼ばれる様になった。

せめて、持ち主の手元に返せれば良かったのだが、持ち主は、なかなか現れなかった。


その後、事態はおかしな方向へ動く。

”名状しがたきガイドブック”のSS(二次創作小説)が、沢山ネットに上げられ話題になり、「這いよる円柱」、「解読班直葬」などの流行語が生まれた。

某イベントでは、段ボールで作られた大きなレプリカがまつられ、鳥居とりいが建てられ、「名状しがたきガイドブック神社」なるものが登場し、多くの人がノリで参拝した。

………日本人あたまおかしいよ。


おかしな事態には目もくれず、解読班はまだ頑張っていた。

彼らは言う。

「そこに円柱があるからさ。」、「文字ではなく、この形にこそ意味がある。」、「もう一本の円柱が見つかれば、11次元に小人さんが見える。」、「七本の円柱を決められた配置で置けば、異世界への扉が開かれる。」などなど。

もうそれ解読ぢゃないよね。オカルトだよね。


持ち主さん、早く現れてあげて。

解読班のライフはもう0よ。


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