< 14 ある男の話03 やっと異世界に到着 >
「知らない天じょ……、って、天井が無い!」
視線の先には、青い空と、葉を茂らす大きな木が見えた。
俺は体を起こして、周りを見る。
「荒野?」
周りは荒野だ。
視線の先の、それほど遠くないところに、森が見えた。
「何で…。」
見覚えのない景色に戸惑うが、少し前にあった出来事を思い出す。
「別の世界か…。」
神さまたちとの会話を、少し思い出した。
「そうか、別の世界か…。」
気持ちを落ち着けて、立ち上がる。
360°、周りを見渡した。
荒野と森しかない様だ。
そう言えば、神さまが、「荒野が6割、森が4割」とか言っていたな。
次に、自分の服装を見る。
綿で出来た、質素な服の様だ。
ポケットを探るが、何も持っていない。
「何も知らない土地で、何も持っていないのか…。」
ヤバイだろ。
辺りを見ると、色々な物が落ちていた。
足元にコートっぽい物が有り、他にも剣や袋っぽい物が落ちている。
「神さまたちからのプレゼントかな?」
何も持っていないのは心許ないので、辺りに落ちている物を拾うことにした。
辺りに落ちている物を拾い集めた。
フードの付いたコート? ローブ?と、小剣が一本。
袋と、袋の中に在った、読めない文字や記号が書かれた紙が一枚と、水筒が四つ。
そしてお金が、金貨2枚、銀貨3枚、銅貨3枚。
そして、使い捨てライターが一つ…。
うん。使い捨てライターです。
日本語が書かれたシールが貼ってあります。
「あれ? もしかして、ここ地球だったりするの?」
思わず、そんな疑問が口から出た。
手に持った使い捨てライターで、ばしゅっ ばしゅっ と、火を着けてみる。
「………。」
”火を着けるのに便利な道具”を、手に入れたと思う事にして、袋に入れた。
ファンタジィェ…。
別の問題に気が付いた。
「食料が何も無いな。」
食料を手に入れる方法を考える。
幸い、お金が少し有るので、街へ行けば買うことが出来るだろう。
それ以外の方法だと、森へ行って、動物を狩ったり、果実を採ったりになるな。
素人が動物を狩れる訳が無いので、街に行く一択かな。
言葉が通じないなんてことはないだろう。
神さまの失敗が原因で、異世界に来ることになったんだ。
そのくらいのサービスは、期待してもいいだろう。
街に行くことにして、次に身を守る方法を考える。
小剣を鞘から抜いてみる。
振る。
見た目通りの重さの様に感じられる。
振れなくはないが、素人だからな。
役に立つのかどうかは、分からない。
これに頼るのは危険だと、そう思っていた方が良いだろう。
「そう言えば、この世界には魔法が有ると言っていたな。」
魔法が使えるか確かめてみよう。
ラノベなどで見る初級魔法と言えば、【ライト】だな。
これをやってみよう。
先ず、魔法をイメージしよう。
イメージが大事らしいからな。ラノベだと。
「ラノベの知識でいいのか?」と、言う気持ちも有るが、他に参考に出来そうな物も無いのだから、仕方が無いよね。
”異世界転移した際の行動の仕方”とかいう本を、国が作ってくれるとも思えないしな。
いや、日本なら有り得るか?
いや、無いな。
いや、有るかな?
…話が逸れたね。
【ライト】の魔法を使ってみよう。
宙に浮く光る球体を、頭の中でイメージして、「【ライト】。」と、唱える。
視線の先、1mほどのところに、電球を思わせる光る球体が現れた。
「おお、出来た。」
本当に魔法が使えたことに驚く。
しかし、体の中から何かが抜かれる様な感覚があった。
今感じた、”体の中から何かが抜かれる様な感覚”は、魔力とやらが消費されたということなのだろうか?
しかし、球体を光らせておくのには、あまり魔力を消費しない様だ。
魔法の発動に魔力を多く使うということなのだろう。
魔法が使えることが確認できたので、光る球体を消した。
次に自分のステータスを確認してみよう。
魔力があまり残っていなかったら困るから、それを確認したい。
早速、イメージする。
HP(Hit Point)やMP(Magic Point)。それからSTR(Strength)やDEX(Dexterity)などの値や、名前とレベルとかが一覧表示されるのをイメージする。
イメージが出来上がったところで、「【ステータス】。」と、唱える。
先ほどよりも多く、体の中から何かが抜かれる様な感覚があった。
俺は気絶した。
やっと、主人公が異世界に到着しました。
長かったです。無駄に長かったです。
信じられるか? 王都に着くまで、まだかなりあるんだぜ。
タイトルに”姫様”を入れたのは失敗だったが、割と好き勝手に書き続けていきます。(泣)




