< 10 地球の在る世界の神09 >
謝罪を終え、姉の担当する世界への転移を了承してもらえたので、一安心しました。
泥人形さんを胸に抱く姉の体が、すごくふらふらしていますが、大丈夫ですよね。
泥人形さんの表情も、少し冴えない気がします。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。えへへ。」
「今夜、6ページ仕上げれば、女神さまが猫鍋作ってくれるんだぁ。えへへへ。」
「大丈夫な要素がまったく無いよっ! それ食べちゃダメだからねっ!」
このまま、一人で行かせるのはマズい。
そう思い、一緒に付いて行こうとすると、後ろから肩を掴まれました。
「どこへ行くのかね? 君はこれから毎日説教だよ。」
「ひぃぃ。」
お目付け役の方のお顔が怖いです。
「じゃあ、お姉ちゃん行くね!! 全力全開で頑張るよっ!! かわいい妹のためにっ!!!」
来た時よりも、さらに目の焦点が行方不明な、声の大きな姉は、泥人形さんを胸に抱いて転移して行きました。
途端に場が静かになります。
本当に大丈夫でしょうか?
心の中は不安でいっぱいです。
その静けさを、お目付け役の方の声が振り払います。
「先ずは正座だね。」
わたしは従います。
お目付け役の方のお顔が怖いので。
「事故が起きてしまったのは仕方が無い。でも、その後の対応がダメだった。分かってるね?」
「…はい。」
「君には、これから毎日説教だよ。」
姉のところへ行けるのは、お説教の後ですね。諦めます。
お目付け役の方の言葉に、気になったことが有ったので、小さく手を上げて質問します。
「質問よろしいでしょうか?」
「何かね?」
「毎日説教なのですか? クビではないのですか?」
「クビなんだが、後任が決まるのに時間がかかるんじゃ。」
「大勢の神たちが殴り合いの大乱闘をしておる。いつ終わるのか誰にも分からん。」
「やらかしそうな新神を送り込む時以外は、いつもこんな感じじゃな。」
「お前が行って、後任を決めて来てくれれば、すぐに済むけどな。」
「レベル100超えの神たちが殴り合ってるところに分け入って止めて、後任を指名して来てくれるかね?」
レベルが1違うだけでも力の差があるのに、片や100オーバー、片や0.1…。
うん、無理。
チリすら残らない気がします。
いや、そもそも近付くことすら、出来ないかも。
余波だけでもオーバーキルだわ。
「無理です。」
「じゃあ、今から説教じゃ。」
説教は、すごくすごく長かったです。




