< 08 地球の在る世界の神08 >
わたしは、事故が起きた現場に急いで戻り、漂っていた魂を回収した。
すぐそばの公園で、土で人型を作り、この仮の体に魂を入れようとする。
「ピンッ レベルが足りません。」
エラーメッセージが出た。
既に”神レベル”が下げられている様だ。ちくせう。
神の標準装備の一つ、水晶玉を使う。
水晶玉に魂が入ったことに安堵して、天界の自分に与えられた個室に転移した。
しなければいけないことは、魂の救済。
先ず謝罪。これ大事。
ふわふわ浮かぶ水晶玉の前で土下座。
「申し訳ありませんでした。」
…………………。
反応は無い。
どういう状況なのか考える。
魂が弱くなりすぎて、反応が出来ない?
いや、水晶玉ごと浮いていられるのだから、そこまで弱っていないはず。
私の”神レベル”が低すぎて、意思の疎通が出来ない?
これか?
おそるおそる、自分の”神レベル”を確認する。
”神レベル:0.1”
オーマイガー。オーマイガー。オーマイガー。
ここまでとは。……くっ。
”神レベル”が、0.5(はんにんまえ)から、0.1まで落ちていたとは。
こりゃあかんわ。
意思の疎通、無理。
どうしよう。
困り果てたところで、姉参上。
わたしの頼りになる姉。(上下ジャージに半纏姿)
…頼りになる姉。(カサカサほっぺ(+トーンくず)に、焦点の合っていない目)
……姉ェ…。(「妹よ、私に任せておけ!!!」(←制御できていない大きな声))
”姉参上”改め、姉惨状。
もうダメかもしれない。
ちょっぴりそう思ったが、口には出さない。
口に出したら本当に終わりそうな気がしたから。(半ベソand半笑い)
姉に頼る他に、出来ることが無い。
姉に状況を説明する。
意思の疎通が無理っぽいことを話し、姉に通訳をお願いした。
「よし、分かった!!!」(←やっぱり声が大きい)
姉は右手を水晶玉の中に突っ込むと、魂を引きずり出した。
「いや、分かってないでしょ!」
わたしの抗議を無視して、姉は右手に掴んだ魂を、左手に持っていた泥人形に押し込んだ。
そして、泥人形を揉みほぐす。
もみもみ。もにゅもにゅ。
手足の先にまで中身を押し込むかの様に、全体を揉んでいく。
もにゅもにゅ。もにゅもにゅ。もにゅもにゅ。もにゅもにゅ。
姉がそうするのを、黙って見る。
しばらく揉んだ後、顔の部分に指で目と口を作り、魔法を掛けた。
「私の声が聞こえる?」
「ああ。」
「目は見えてる?」
「見えてる。」
「この子が謝罪と説明をするので、聞いてちょうだい。」
意思の疎通が可能になったことに、私は、ほっとした。
そして、泥人形さんに土下座をする。
「申し訳ありませんでした。」
わたしは、やっと謝罪できたことに安堵した。