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30 ある者の話 カーティー08end


今日は反省会です。


いつもだったら、森から帰って来たその翌日くらいに開かれるのですが、今回はその後に大きな仕事が有りましたので先送りになっていました。


ず最初に、ねぎらいの言葉が有りました。

「大きな仕事の前にいきなり始まった仕事でしたが、皆よくやってくれました。ありがとう。」

おお。笑顔です。

作戦の成功がよほど嬉しかったのですね。

私も嬉しくなります。

見れば、まわりの仲間たちにも笑顔が見えます。


次に、作戦の全容を知らされました。

まず、冒険者たちについて。

A、B、C級で有能な冒険者と冒険者パーティーが今回の事態に巻き込まれない様に、急な依頼を出して王都から遠ざけたこと。

王都から遠ざけることが出来なかった者たちは、グラスプ公爵家からの依頼からのがれられる様にくしたこと。

依頼を受けてしまった者たちは、”オークの集落の殲滅”に参加しない様に手を尽くしたこと。

それらがすべて上手うまくいった事が報告されました。


想定外だったのは、ギルドマスターが公爵家からの依頼を受けたこと。

なぜ、ギルドマスターが依頼を受けたのかは調査中とのことでした。


グラスプ公爵家の依頼を受けた冒険者たちは、オークどもとの戦闘で全滅しました。

ギルドマスターと、同行していた斥候せっこうたちもすべてです。

妨害をした私たちの部隊が良い仕事をしたと、めていただけました。

あと、【バインド】の魔法が妨害で有効だった事も報告がされました。

「ナナシ様も妨害をしていました。それについては後で話します。」

「妨害をしたついでに狩って来たオークキングは、公爵家がイイ値段で買ってくれました。(笑顔)」

その報告に、「おおっ!」、「やったー!」、「やっほー!」という声が聞こえます。

この様にして得たお金は、おやつの材料費になりますからね。

私も嬉しいです。(笑顔)


次に、グラスプもと公爵家について。

グラスプもと公爵は、妹のとつぎ先に身を寄せたそうです。

わずかな人数しか連れて行かなかったとのことで、そのまま隠居いんきょするのかは、まだ不明とのこと。

グラスプもと公爵家の持っていた情報網は崩壊したとのこと。

情報網のまとめ役の後継者候補たちは、勝負が行われる事が決まるとぐに情報を持ち出して逃げたんだそうで、持ち出された情報は散逸さんいつしてしまった模様もよう

彼らが何処どこに身を寄せるかは、追跡調査中とのこと。

一人だけ、追わない事の見返りに情報を持って来た者が居て情報を受け取ったが、その情報の真偽しんぎを慎重に調べているそうです。

他の後継者候補たちからこちらに売り込みに来た者は居なかったが、その下の者たちが十数人来たそうで、その対応を検討中とのことでした。


「最後にナナシ様について。」

意識を集中させて、話を聞きます。

「ナナシ様は、ずっと王宮にいらっしゃいました。」

「ええっ?」

思わず声が出てしまいました。

「勝負が行われる事が決まった翌日には、オークの集落を9つ発見されました。」

「ちなみに、冒険者ギルドの斥候せっこうが期間中に調べ上げる事が出来たのは3つでした。」

「その情報は地図にまれたのですが、ナナシ様は一瞬で地図をげられたそうです。」

「地図は、【火属性魔法】を使い、紙をがしてえがかれたそうです。」

「魔術師団に訊いたところ、『出来る気がしない。』とのことでした。」

「オークキングの大きさを測る方法については、苦労しているご様子だったそうです。」

「メジャーの用意を頼まれ、用意しておわたししました。」

「オークキングの大きさを測り、地図に書き込んだ後は、何やら落ち込んでおられたそうです。」

「メジャーを必要とした事から想像すると、魔法で気絶させ、遠隔操作が出来る”目”や”腕”を使ってオークキングの大きさを測ったものと思われます。」

「なぜ、すべてのオークキングを殺してしまわなかったのかは、不明です。」

「ナナシ様は、公爵家に雇われた冒険者たちの妨害も行われました。」

「かなり大きな【ファイヤーボール】とおぼしき魔法を数発使い、オークを冒険者たちの元へ誘導されています。」

「妨害で、オークやオークジェネラルを冒険者たちの背後に【転移】させています。」

「同じく、大きなオークキングを洞窟どうくつの中に【転移】させています。大きく重い物でも精密な【転移】が出来る様です。」

「冒険者たちの妨害をさせた部隊に持たせた魔道具のうち、姿を消した仲間を見る事が出来る魔道具に興味を持たれたそうです。」

「どの様な魔法なのか実験して調べて理解をされた様です。一時的に視界を奪う事になってしまったと、謝罪の手紙をいただきました。」

「ナナシ様は、王宮にしのんだ者を多数(とら)えて、引き渡して下さいました。」

「その中には、2名の呪術師じゅじゅつしが含まれていました。」

「その呪術師じゅじゅつしたちは、天井裏にひそんでいたのだそうです。その者たちが、どの様に我々の警戒網をくぐり抜けたのかは不明です。」

「引き渡された者たちは、何も魔道具を持っていませんでした。ナナシ様が回収したものと思われます。」

「ナナシ様が回収したであろう魔道具については、後日、ナナシ様に教えていただこうと考えています。」

「ナナシ様が狩って来られた大きなオークキングは、右肩から股間に掛けて切断されていました。」

「【風属性魔法】ではなく、【火属性魔法】で切断したとおっしゃっていたとのことです。」

「魔術師団が調査を行いましたが、『げているので【火属性魔法】だろうが、どの様な魔法なのかはサッパリ分からない。』とのことでした。」

鎖骨さこつが素晴らしい? 誰ですか、こんな報告書を混ぜたのはっ!」

「お祭り騒ぎはおしまいです。いつまでも浮かれていない様に。」

「何か質問は?」

「無いなら、おしまいです。皆、お疲れ様。」


反省会は終わりました。

姫様とナナシ様との結婚式も、すでに終わっています。

やっと、いつもの王宮のメイド(●●●)の仕事に戻れます。


ホッとして、私はいつもの仕事場に向かいました。


この章の本編はこれで終わりです。

この後、外伝が3つ続きます。


2022.03.17 脱字修正 など

誤字報告していただいた脱字を修正しました。ありがとうございました。

ついでに、ルビの追加、語尾の見直し、文章の繋がりの微修正などをしました。

お話の内容は変わっていません。

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