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28 10日目 ナナシサイド 決着


勝負の期日きじつを迎えた。


侵入者対策として、【New目玉(仮称。”空間魔法を使った結界魔法”でおおわれた【目玉】。さわれない、見えない、魔力検知もされない)】で、ずっと王宮の内外ないがいを警戒していた。【多重思考さん】たちがね。

呪術師じゅじゅつしを二人(とら)えた後も、何人かの侵入者を見付けた。

サクッととららえて、持っていた魔道具を没収して、警備の人が居る玄関前にころがした。

侵入者対策は十分機能していると思う。

もう何も起きないよな?

何も起きないといいな。


頭の中で【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】から報告を受けた。

『メイドさんに、状態異常になっている人が居るのを見付けました。』

『何も起きないといいな。』とか思ったそばから、これです。

はぁ。

『どんな状態異常なの?』

『【鑑定】したところ、[催眠状態]でした。』

催眠状態?

何かの精神魔法かな?

のろい”とは違うものっぽいな。

呪術師じゅじゅつしに何かされた訳ではないのか。

いや、呪術師が魔道具を使って何かした可能性も有るのか。


そんな事を考えていたら、頭の中に【多重思考さん】から心配する声が。

『昨日まで[催眠状態]になっている人は居ませんでした。今日になって、いきなり現れました。侵入者はすべて排除してあるのに、おかしいです。』

『近付くと[催眠状態]になってしまう。そんな魔道具が何処どこかにコッソリと置かれているのかもしれません。』

『王宮内では、沢山たくさんの魔道具が使われているので、怪しい魔道具を発見するのは困難です。メイドさんたちに、警戒してもらう様に伝えた方がいいでしょう。』

そう言われた。

うん。そうしよう。

便箋びんせんに[催眠状態]になっているメイドさんの名前や居場所を書いて、部屋付きのメイドさんに渡して対応をお願いする。

それと、「何処どこかに怪しい魔道具が在る可能性が有るから、警戒してほしい。」とも伝えた。

頭の中で【多重思考さん】が『魔道具を鑑定する新しい魔法を検討します。』と言う。

うん。有った方が良いよね。

怪しい魔道具を発見する為にね。

それと、呪術師たちと他の侵入者たちから没収した魔道具を調べる為にも、欲しいよね。


他にも何か起こるかもしれないが、取り敢えずの対策は、”姿を消している人”や、”状態異常の人”を近付けさせなければ、大丈夫だよね。

そういう人たちを特に警戒してもらって、俺は、時間まで部屋でゆっくり過ごすことにしよう。

時々、姫様が来てお茶したり、雑談したりしながら、ゆっくり、まったりと時間を過ごした。


時間になったのだろう。

部屋に近付いて来るメイドさんの姿が【New目玉(仮称)】を通して見えた。

そのメイドさんを【鑑定】で調べて、状態異常でない事を確認した。

もちろん、まわりに居るメイドさんたちは、既に確認済みです。

迎えに来たメイドさんにうながされ、コートハンガーに掛けておいたカバンを手に持って、移動する。

廊下を歩く俺のまわりには、護衛のメイドさんがぞろぞろろ居らっしゃいます。

『白いナンチャラ』かな?(笑)


勝負を行う場所に来た。

騎士団の訓練場だ。

貴族っぽい服装をしたギャラリーが、それなりに居る。

あの公爵家の人たちはすでに来ていた様だ。

公爵家の馬鹿息子が何やら怒っているっぽいけど、【遮音】結界を、メイドさんたちも含める形で張ったので何も聞こえません。(てへ)


王様たちが来た。

王様たちが、特別感のある席に着いた。

大臣が、ルールの説明を始める。

が、【遮音】結界を張ったままだったので、何も聞こえなかった。

あわてて、【遮音】結界を解除しました。(てへ)


ルールの説明が終わり、狩って来たオークキングを披露する時となった。

ここで、公爵家側からクレームが来た。

俺が持つカバンを指差し、「我々が狩って来たオークキングを、【マジックバッグ】ごと盗まれた。」とか言ってます。

「はぁ。」

溜息ためいきが出た。


公爵家側からクレームが出ることは予想していたが、予想していた中でも一番アレなクレームだったので、なんかあわれに思えてきた。

俺は公爵家側に言う。

「あなた方の狩って来たオークキングは、どんな状態なのでしょうか? このカバンの中に、その状態のオークキングが入っていたら、差し上げます。」

「持ち主ならば、当然知っている事ですよね。」

あらかじめ考えていたセリフだ。

使う事になるとは思っていなかったんだけどねー。(呆れ)


公爵家側は、何やら相談している。

今更いまさら、相談する事が有るのかよ…。

”追い詰められている”感が、だだれです。(苦笑)

大臣もあきれている様子だ。

そして彼らは、「オークキングは首を切断した状態だ。」と、言った。

そーだよねー。オークキングを倒そうとすれば、首を切るよねー。普通はねー。

これも予想通りの返答だった。


大臣にカバンを渡し、「確認して下さい。」と、お願いする。

大臣がカバンを調べる。

調べる。調べる。

そして、大臣は公爵家側に向かって言う。

「あなたがたは、これが盗まれた【マジックバッグ】だと言いましたよね?」

公爵家側の執事っぽい人がうなずいた。

「これは、ただのカバンですよ。」

そう言って、カバンに腕を突っ込んで、腕を上にかかげてみせた。

これが【マジックバッグ】だったら、腕が肩のあたりまで中に入り込むはずなのだが、ただのカバンなのでひじあたりまでしか入っていない。

場が、ざわつく。

「カバンをすり替えられたんだ。」

そう言う、公爵家側。

「私は、首を切断した状態のオークキングなんて、持ってませんよ。」

俺はそう言って、両手を上げてヒラヒラさせる。

俺が”手ぶら”なのに気が付いた公爵家側が…、いや、馬鹿息子が笑顔を見せた。


大臣が公爵家側に、「狩って来たオークキングを出して下さい。」と言う。

何故なぜ、私たちが先なのだ!」

そう、文句を言う公爵家側。

「ナナシ殿が出したオークキングを、「盗まれた物だ。」と言うからだ。」

キッパリと言う大臣。

ハッキリ言い過ぎだよね。(笑)

場に、失笑しっしょうれる。

なおも、文句を言う公爵家側。

そこに王様が「グラスプ公爵家側が先に出すように。」と命じた。

さらに、「これ以上、はじさらさぬように。」と、一言ひとこと付け加える。

小馬鹿こばかにする様な笑いが、所々から聞こえてくる。


グラスプ公爵に命じられた執事さんが、持っていた【マジックバッグ】からオークキングを出した。

首が綺麗に落とされたオークキングだった。

「おお。」という声が上がる。

なんだ。持ってるんぢゃん。

誰かから買ったのかな?


「では、ナナシ殿もお出しください。」

大臣が言う。

「はい。」

俺は【無限収納】からオークキングを出した。

大きさをくらやすい様に、公爵家側が出したオークキングの隣に。

「おおおおお。」と、歓声かんせいがった。

俺の出したオークキングの方が、二回ふたまわりぐらい大きかった。

どちらが大きいのかは、一目瞭然いちもくりょうぜんだった。

そして、首は繋がった状態だ。

右肩から股間に掛けて切ったからね。

公爵家側も、”コレ”を盗まれた物だとは言えまい。

「そ…、そのオークキングは、我々が盗まれた物だっ!」

あれ?

言いましたよ?


「盗まれたオークキングは、首を切断されたものだと言っていましたよね?」

「どれだけはじさらせば、気が済むのですか?」

大臣が、心底しんそこあきれた様に言った。

ハッキリ言い過ぎだよね。(さっきぶり、2回目)


なおも、文句を言い、騒ぎ続ける公爵家側。

俺の周辺は、【遮音】結界を張ったので静かです。(てへ)

「勝負あった。勝者はナナシ殿だ。」

王様がそう宣言した。(のが、【目玉(仮称)】を通して聞こえた。)

そして、『見るにえない。』とでも言いたげに、席を立って引き上げて行った。


俺も、自分の部屋に戻る。

腕に姫様をまとわり付かせた状態で。(笑)



部屋に戻り、姫様とお茶しています。

姫様は、お目目めめをキラッキラさせていらっしゃいます。

まぁ、別にどうでもいいんですが。(←ヒデェ)


美味おいしいお茶を味わっていたら、【多重思考さん】から『面白おもしろいことが有りましたよ。』と報告が来た。

何でも、勝負の結果に納得できなかった公爵家の馬鹿息子が、メイドさんたちと問答もんどうになったそうだ。

そして、馬鹿息子にブチ切れたメイドさんの一人が、所謂いわゆる”昇竜拳”をぶちかましたとのこと。

なにそれ?! 見たかった!

KOされた馬鹿息子は、メイドさんたちに引きずられて留置場に入れられたとのこと。

なお、グラスプ公爵と執事さんは、大人おとなしく屋敷に帰って行ったらしい。

馬鹿息子は見捨てられたのかな?

それとも、馬鹿息子がメイドさんにぶちのめされたのを見て、もう権力が無くなった事を実感したのかな?

これからは馬鹿な事をせずに、大人おとなしくしてくれればいいね。

そんな事を思った。


あー、お茶が美味おいしい。


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